競売と任意売却の価格差はどれくらい?競売の方が安い理由を解説

価格差

住宅ローンを滞納している場合の自宅の売却方法には、競売と任意売却の二つの種類があります。自宅に競売の通知が届き、任意売却と比較して、どちらがよいか検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな中でしばしば目にするのが「競売の売却価格が安い」という情報です。実際のところ、競売と任意売却にはどのくらいの差があるのでしょうか。この記事では、競売と任意売却の価格差や、価格差が生じる理由などを解説します。

1.競売とは

まずは、前提となる競売の知識について、簡単に説明します。

(1)裁判所の手続きを経た差し押え財産の売却のこと

競売は、裁判所に申請して行う、差し押さえた財産の売却のことです。

住宅ローンなどさまざまな債務を債務者が返済できない場合、債権者は裁判所に申し立てて、債務者の財産に対する差し押さえ(売却や譲渡ができないようにすること)が可能です。その後も返済されない場合、差し押さえた財産は、裁判所主導の競売で売却されます。

差し押さえられる財産はさまざまで、住宅や土地、山などの不動産に加え、宝石類などの貴金属や自動車などの動産も対象となります。動産については、インターネットのオークションサイトなどで売りに出ているところを見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。

(2)不動産の売却は期間入札で行う

動産に関しては、一般的なオークション形式で買い手を募るのが一般的ですが、売却する財産が不動産の場合、主に「期間入札」という売却方法が採用されています。

期間入札では、あらかじめ決められた入札期間中に、各購入希望者が一度だけ入札を行い、最も高額で入札した人が買受人となります。開札期日の前日までは、競売を申し立てた債権者が手続きをすることにより、競売を取り下げることができます。

2.任意売却と競売の価格差はどのくらい?

住宅ローンの滞納が原因で家を手放す場合、売却価格は残債の額に直結します。少しでも高く売却して、残債を少なくしたいところです。では、任意売却と競売では、どの程度の価格差があるのでしょうか。

(1)任意売却は市場価格での売却が見込める

任意売却は、債務の担保となっている物件を競売以外の方法で売却することです。通常は、一般的な不動産市場で、他の物件と同じように仲介会社を通して売却活動を行います。売り出す市場が同じなので、基本的には市場価格と同程度での売却が期待できます。

ただし、任意売却物件は「契約不適合責任を追及できない」「停止条件付の特約がつく」など、通常の物件と比べると買主にとって不利な条件の物件です。購入希望者がこの点に難色を示すようであれば、リスク分の値引きを行うこともあります。

関連記事:任意売却の必要書類と契約書の基礎知識・事前準備はいつから始めるべき?

(2)競売の売却価格は市場価格の5割から7割

競売の売却価格は物件によって大きく異なりますが、おおむね市場価格の5割から7割程度といわれています。中古相場2,000万円の住宅であれば、1,000万円から1,400万円での売却になる計算です。

3.競売物件で高い価格が付きにくいわけ

なぜ競売で売却する場合、低価格での売却になるのでしょうか。具体的な理由を説明します。

(1)売却基準価格が安い

競売の価格が安い理由の一つは、売却基準価格が安いためです。

売却基準価格とは、裁判所の定めた物件の参考価格のことです。現況調査の際の鑑定評価のほか、住人の状況など、個別の事情も加味した上で決定されます。

競売に参加する購入希望者は、この売却基準価格を目安に入札価格を決定します。一般的に、売却基準価格は市場相場の4割程度になることが多いです。入札の参考となる売却基準価格が相場より大幅に安いため、高値で売却されにくいのです。

(2)内見ができない

一般の不動産市場に出ている物件と競売物件の大きな違いは、購入希望者が立ち入ることができず、内見が不可能であることです。

自宅が競売にかけられている所有者は、そもそも売却を望んでいません。現況調査や引き渡しに非協力的なことも少なくないため、原則として内見は不可能です。

物件の中に入れないため、購入希望者は物件の評価や権利関係の情報をまとめた三点セットと呼ばれる書類と、現地で外観を見る程度で入札の可否を判断しなければなりません。

家の状況を直接確認できないのは、購入希望者にとっては大きな不安要素です。この点が価格に反映されることも、売却価格が安くなる要因の一つです。

(3)購入を決めるまでの考慮期間が短い

競売に出る不動産は、情報が公開された時点で入札期日が決まっています。そのため、入札を検討する期間が短いというデメリットがあります。

期間入札の場合、物件の情報が公開されてから入札開始までは約2か月から3か月程度です。住むための家を探す人は、他の物件とも比べながら、じっくりと時間をかけて検討するのが普通なので、この期間は決して長いとはいえません。入札期日ギリギリに物件を見つけた場合などは、入札の可否をほぼ即断しなければなりません。

(4)占有者がいる可能性がある

競売物件を購入する買主の立場から、最も懸念される点の一つが、購入した物件に占有者がいることです。ここでいう占有者とは、競売物件に住み続けている住人のことで、多くは家を競売にかけられた元所有者です。

占有者が退去に応じない場合、買主は裁判所に申し立てて、強制執行で元所有者を追い出す必要があります。手続きの手間や費用がかかる上、心理的にも良い気持ちはしません。

買主にとって、占有者の存在は厄介ごとに他ならないため、競売物件が敬遠され、価格が上がりづらい理由の一つとなっています。

4.価格差以外にもある競売のデメリット

前述した通り、さまざまな理由から、競売では物件を高く売ることが難しいです。売却価格の安さはそのまま残債が多くなることに繋がるため、デメリットが大きいといえます。

また、競売のデメリットは価格の安さだけではありません。具体的なデメリットについて説明します。

(1)売却代金が全額返済に充てられる

競売では、家の売却代金は全額返済に充当されるため、元所有者の手元にお金は残りません。引越しに必要な費用は別途自分で用意しなければなりませんし、マンションの管理費などを滞納していても、自分で全額支払う必要があります。

「ローンを滞納しているのだから、そんなことは当たり前ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、任意売却の場合、交渉次第で売却代金から引越し費用などを持ち出せることがあります。

任意売却では、最終的な売却予定価格が決定した際に、売却の代金を各債権者にどのように配当するのか、内訳(配分案)を作成します。このときに引越し代や他の債務の一部を捻出できることがあるのです。

どのような結果になるかは債権者との交渉次第ですが、持ち出しができれば、再スタートまでの経済的負担を軽減できます。

(2)手続きは裁判所が決めたスケジュールで進む

競売では、手続きの開始から明け渡しまでのスケジュールは、すべて裁判所が決定します。各日付は書面で通知され、一方的に決められたスケジュールに従わなければなりません。

競売で所有者側の対応が必要なのは、現況調査(執行官による現場での不動産の下見・評価)と、売却後の明け渡しです。予定があり対応できない場合も、変更は原則として不可能です。

現況調査の際に不在の場合は、鍵を破壊して立ち入られますし、明け渡しに応じられない場合、買主は強制執行によって占有者を立ち退かせることができます。

このように、競売では所有者の事情は一切考慮されません。

(3)物件情報が外部に公開される

競売の対象となった物件は、広く入札を募るため、物件情報を公開されます。物件の住所や外観、権利関係なども公開資料に掲載されるため、知人が見れば誰の家なのかわかってしまいます。

競売にかけられている家の所有者は、経済的に困窮していることがほとんどのため、所有者にとっては経済事情を公開されることに他なりません。この点も、競売の大きなデメリットといえます。

任意売却であれば、他の物件と一緒に情報が公開されるため、経済事情を知人に知られる可能性は低いです。

(4)残債処理は自力で交渉しなければならない

競売にせよ任意売却にせよ、売却後に残債の返済が待っていることは変わりません。しかし、競売で物件を売却した場合、残債処理の交渉は自分で行わなければなりません。

無理のない範囲での分割払いを頼んでも、断られる可能性もあります。支払えなければ、債権者が給与の差し押さえなどの手段をとることも考えられます。

任意売却であれば、売却時点から専門の不動産会社に依頼することになるので、残債処理については提携している法律の専門家がサポートしてくれます。自分で交渉する場合と比べ、各段に希望が通りやすいです。

5.まとめ

競売では、買主が一定のリスクを負うこと、そもそもの売却基準価格が安いことが理由で、相場より安価で落札されることが少なくありません。相場で売却できる任意売却と比較すると、3割から5割程度の価格差です。

また、競売は売却価格が安い以外にもデメリットの多い売却方法です。そのため、ローンを滞納した場合の売却方法としては、競売より任意売却をおすすめします。

当社は、数多くの任意売却を手掛けてきた住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。法律の専門家と連携しており、任意売却後の残債処理まで含めた生活再建のサポートを行っています。

「競売だけは回避したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

参考URL:相談から解決までの流れ

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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