住み替えローンの審査は厳しい？審査に落ちた場合の対処法も解説

現在住んでいる家の住宅ローンが残っていても利用できる「住み替えローン」は非常に便利ですが、審査が厳しいといわれています。実際に審査を受けて通らなかったので困っているという方もいらっしゃるかもしれません。住み替えローンの審査はなぜ厳しいのでしょうか。

この記事では、住み替えローンの審査に通るためのポイントや、審査に落ちた場合の対処法などについて解説します。

1．住み替えローンとは

住み替えローンとは、現在住んでいる家の住宅ローンの残債と、新しい家を購入するための資金を合算して借入できるローンです。まずは、住み替えローンの概要について解説します。

（1）住み替えローンのメリット

住宅ローンが残っている家は、売却額や手持ちの資金で住宅ローンの残債を返済できなければ抵当権が外せないため、売却することができません。しかし、住宅ローンの残債が売却額よりも上回る「オーバーローン」の状態でも、住み替えローンなら借入れができます。

「自己資金がない」「残債がある」などの理由で住み替えができないと考える方にとってはメリットの大きいローンだといえるでしょう。

また、住み替えローンでは売却と購入を同時に行うため、仮住まいすることなくスムーズな住み替えを実現できる点もメリットといえます。

（2）住み替えローンのデメリット

住み替えローンはメリットもある反面、デメリットも存在します。

まず1つ目のデメリットとして、一般の住宅ローンよりも金利が高いという点が挙げられます。住み替えローンは一般的な住宅ローンのように優遇金利が適用されないため、金利が高くなるケースが多いです。

2つ目のデメリットとして、借入総額が増えるということが挙げられます。現在の家のローン残債と住み替え先のローンが合算されるため、借入額は増えることになり、返済期間も伸びてしまいます。また、審査が厳しいという点も住み替えローンのデメリットといえるでしょう。

（3）住み替えローンを利用できる条件

住み替えローンは誰でも利用できるというわけではなく、利用するには以下の要件を満たしている必要があります。

• オーバーローン（住宅ローンの残債が自宅の売却価格を上回っている）状態である
• 自己資金で住宅ローンの残債を完済できない
• 自宅の売却と新居の購入を同時期に行える
• 住宅ローン返済を滞納したことがない

住み替えローンは、返済中の住宅ローンが完済できないものの住み替えをしたい人が利用するためのローンなので、自己資金や売却額で住宅ローンを完済できる場合は利用できません。

また、過去に住宅ローンの滞納などの履歴がある場合、審査に通らない可能性があるので注意が必要です。

2．住み替えローンの審査が厳しい理由

オーバーローン状態で住み替えを希望する人にとってメリットの大きい住み替えローンですが、利用したいと考えても審査が厳しくて通らないことも多いようです。なぜ住み替えローンの審査は厳しいのでしょうか。主な理由について説明します。

（1）借入額が高額になる

住み替えローンでは、現在返済途中の住宅ローンと新居の購入費用が合算された金額を借入することになります。そのため、借入額は通常の住宅ローンよりも高額になってしまいます。

借入額が高額になれば、年収や返済履歴、年齢など審査でチェックされる項目は厳しくなります。住宅ローンの審査に通った方でも、住み替えローンの審査には落ちてしまったというケースも珍しくありません。

（2）担保以上の借入になる

住宅ローンを組む際には、購入する家を担保として借入を行います。これは、住宅ローンの返済が滞った場合、担保になっている家を差押え、融資したお金を回収することが目的です。

住み替えローンの場合は新居の購入に加えて現在の家のローンの残債も合算されるため、担保にする家よりも借入額が大きくなります。

そうすると、金融機関はローンの返済が滞った場合に担保の家を処分しても融資した金額を回収できないというリスクがあります。そのため、金融機関は損害を回避するために通常の住宅ローンよりも厳しい審査を行います。

3．厳しい住み替えローンの審査を通るためのポイント

住み替えローンの厳しい審査を通るためには、ポイントを理解しておく必要があります。

審査に落ちてしまわないように、審査を受ける前に以下のポイントを確認しておきましょう。

（1）住宅ローン以外の借入れは返済しておく

年収に対する借入額が大きい場合、返済負担率が高くなるので審査が通りにくくなります。

住宅ローン以外の車や学費、クレジットカードのキャッシングなども含めた借入額が審査の対象です。借入金が既に多ければ、返済負担率が高いので審査が通らない可能性が高まります。

また、審査が通った場合でも、借入れできる金額が少なくなる可能性があります。住み替えローンの審査前には住宅ローン以外の借入れを全て返済しておくことが望ましいでしょう。

（2）頭金の比率を高くする

住み替えローンを利用する際の頭金の比率を高くすれば、審査が通りやすくなります。なぜなら、頭金の比率を高くすることで借入額は少なくなり、金融機関の損害リスクも軽減されるからです。

頭金は金融機関の返済能力の判断の基準にもなるため、比率が高いほど審査は通りやすくなるでしょう。

（3）夫婦二人で借りる

住み替えローンの審査が通らない可能性がある場合、夫婦二人で借りることを検討してもよいでしょう。夫婦二人で借りるローンは、ペアローンと呼ばれるローンです。

夫婦共働きの場合、ペアローンを利用することで夫婦二人の収入が合算されるため、審査には通りやすくなります。ただし、ペアローンはそれぞれが団信へ加入しなければならず、金利も二人分になるので注意が必要です。

（4）転職直後の申し込みは控える

住み替えローンの審査では、勤続年数も判断基準のひとつになります。

金融機関によっては3年以上の勤続年数でなければならないなど規定が設けられている場合もあるため、転職直後は申し込みを控えるべきでしょう。勤続年数の規定がない金融機関もありますが、転職して数カ月は会社を辞めてしまうリスクがあるため、審査に通りにくいです。転職直後の申し込みは避け、3カ月以上の期間を経てから申し込みすべきといえます。

（5）評価額が低すぎる家への住み替えは避ける

住み替えローンでは、新しく購入する家が担保の対象になります。

新しい家の評価額が低ければ、借入額に対して担保も小さくなるため、審査に通りにくくなるでしょう。評価額が低すぎる家への住み替えは避け、評価額が高い住み替え先を選ぶことが審査に通りやすくするコツだといえます。

ただし、評価額を気にするあまり高額な家を選んでしまうとローンの返済が大変になるので、無理なく返済できるかどうかという点もしっかり考慮することが大切です。

（6）不動産会社に紹介してもらう

住み替えローンを利用したい場合、不動産会社に金融機関を紹介してもらうことで審査が通りやすくなることがあります。不動産会社は売買のやり取りで金融機関との付き合いがあるため、借入れの際に口添えしてもらえれば強い味方になります。

金融機関と連携しているなどツテのある不動産会社であれば、借入額の優遇や低金利などの良い条件で審査が通る可能性もあるでしょう。

4．住み替えローンの審査に落ちた場合の対処法

住み替えローンの審査は厳しいため、いろいろなことを試してみたけれど審査に落ちてしまうというケースも珍しくありません。住み替えローンの審査に落ちた場合の対処法を紹介します。

（1）つなぎ融資を利用する

つなぎ融資とは、住んでいた家の売却前に新しい家を購入したい場合などに利用できる一時的な融資のことをいいます。融資を受けて新しい家を購入し、前に住んでいた家が売れれば、その売却額で融資を一括返済することになります。住み替えローンが利用できない場合、つなぎ融資を利用して新しい家を先に購入できる可能性があるでしょう。

ただし、つなぎ融資は借入期間が3カ月～1年以内と短期間であることが多く、一括返済しなければなりません。そのため、確実に売却することができ、一括返済の見込みがある場合のみ選択できる方法だといえます。

（2）ダブルローンを利用する

ダブルローンとは、名前の通り2つのローンを利用することをいいます。二重ローンとも呼ばれ、現在住んでいる家と新しい家のローンを並行して借りるという形になります。

ダブルローンを利用すれば住み替えローンを利用しなくても新しい家に住み替えることができますが、返済負担は大きくなります。また、住み替えローンと同様に審査も厳しいため、審査に通らない可能性があります。

（3）複数の不動産会社に査定依頼をする

住み替えローンの審査が落ちた場合に限ったことではありませんが、不動産の査定は複数の不動産会社に依頼することが大切です。

会社ごとに査定額は異なるため、複数の会社に査定依頼することで少しでも高く売れる可能性があります。1社だけでは売却価格の相場が分からず、安い価格で見積もられてしまうことも考えられます。

複数の会社の査定を受けて家を高く売却できる見通しが立てば、住み替えローンに再度申し込むことで審査に通るかもしれません。

まとめ

この記事では、住み替えローンの審査に通るためのポイントや、審査に落ちた場合の対処法などについて解説しました。

住み替えローンの審査は厳しいため、審査を受ける前に他の借入れを返済するなどの準備が必要です。住み替えローンの審査が通ったとしても借入額が高額になるので、無理なく返済できるかシミュレーションすることも大切です。

住み替えローン以外の方法も検討したい場合は、信頼できる専門家に相談して、ご自身の状況に合う方法を提案してもらうとよいでしょう。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。

「住み替えローンの利用を検討しているけれど、他にも良い方法があるなら比較したい」「住宅ローンの支払いが困難な状況に陥っているけれど、本当は今の家に住み続けたい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。