競売開始決定後の流れ・家に住み続けるための対処法は?

競売

住宅ローンや税金の支払いを滞納していると、ある日突然、裁判所から競売開始決定通知が送られてきます。競売開始決定通知を受け取り、「家が競売で売られてしまう!」と慌ててしまう方も多いようですが、この段階からでも競売を阻止できる場合があります。

この記事では、競売開始決定通知が届いた後の流れや、競売を回避して家に住み続けたい場合の対処法などを解説します。

1.競売開始決定とは

競売開始決定通知は「あなたが債務の担保にしている家を競売で売却することが決まりました」という旨の、裁判所からの通知です。

税金やローンの滞納が発生すると、債権者は差し押さえている不動産を現金化すべく、裁判所に競売を申し立てます。競売開始決定通知は、競売の申し立てを裁判所が受理し、手続きの結果、競売で売却することが決まった際に送達されます。

競売開始決定通知書の概要や、通知を無視した場合のリスクについては、こちらの記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

2.滞納から競売開始までの流れ

住宅ローンを滞納したからといって、すぐに競売の手続きが始まるわけではありません。

滞納してから競売が開始されるまで、どのような事が起きるのか、順番に説明します。

(1)金融機関からの支払い督促

住宅ローンを滞納して1か月~3か月の間は、金融機関から電話や書面による支払い督促が行われます。この時点ではまだ事態はそれほど深刻ではなく、滞納分を支払うことができれば、今まで通り分割で返済できることが多いです。

滞納分を支払うことが難しい場合は、この時期に住宅ローンを組んでいる金融機関で返済計画の変更について相談すれば、一時的な減額や返済期間の延長を認めてもらえることもあります。

(2)催告書の到着

住宅ローンを延滞してから3か月から6か月程経過すると、催告書が届きます。それまでの督促状とは異なり、内容証明郵便で送られてくるため、この時点で事の重大さに気づく方もいらっしゃいます。

催告書に記載されているのは、以下の二つの内容です。

  • 期日までに支払わなければ期限の利益(後述)を喪失すること
  • これ以上遅延する場合は法的手段により回収を図ること

催告書は、実質的な金融機関からの最後通牒となります。

(3)期限の利益の喪失

催告書記載の期日に入金が間に合わなければ、期限の利益を喪失します。期限の利益とは「支払い期日を守っている限りは分割払いができる権利」のことです。つまり、期限の利益を喪失した後は、住宅ローンの残金を一括払いで返済する義務が発生します。

しかし、残金の一括払いができるような経済状況であれば、このタイミングまで滞納が続くことはないでしょう。そのため、多くの場合、代位弁済が行われることになります。

(4)代位弁済の実行

代位弁済とは、債務者が契約している保証会社が、債務者に代わり債権者に残金を一括返済することです。代位弁済が行われると、債務者に郵送で「代位弁済通知」が送られてきます。

保証会社が代わりに支払ったからといって、支払い義務がなくなるわけではありません。保証会社からの代位弁済により、金融機関が保有していた債権と抵当権が保証会社に移行します。以降は、保証会社が債権者となり、保証会社から支払いを求められるようになります。

(5)競売開始決定通知

新たに債権者となった保証会社は、担保である住宅を売却し、売却代金で債権の回収を図ります。保証会社が裁判所に競売を申し立て、受理されると、自宅に競売開始決定通知書が送られてきます。

3.競売開始決定後の流れ

競売開始の決定から売却までは、おおむね半年から8か月程度となります。では、その間の手続きはどのように進むのでしょうか。競売開始決定後の流れを時系列で説明します。

(1)現況調査の実施

競売開始決定通知の到着後、現況調査が実施されます。現況調査とは、裁判所の執行官と不動産鑑定士による物件の下見・訪問査定のことです。不動産の状況を詳しく見て、どの程度の価値があるのかを確認します。

現況調査では、執行官が室内に立ち入ったうえでの写真撮影や、物件情報の聞き取りが行われます。日程は事前に通知されますが、原則として日程を変更することはできず、立ち入りの拒否も認められません

所有者が鍵を開けないなど非協力的な場合や留守の場合、執行官は鍵の破壊等により強制的に立ち入ることもできます。

(2)期間入札の通知の到着

現況調査が完了すると、次に期間入札の通知が届きます。これは入札がいつからいつまで行われるかを知らせるものです。

期間入札の通知が届いた後、外部に向けた期間入札の公告が行われます。これにより、物件情報・写真が新聞やインターネット(不動産競売物件情報サイト「通称:BIT」)に公開され、「家が競売にかけられている」という事実が外から知られるようになってしまいます。

知人や近所の方に知られると経済状況を知られかねないため、プライバシー面でのダメージを受けることになるでしょう。そのため、可能であれば期間入札の公告までに対処することが望ましいです。

(3)入札開始

期間入札の通知に記載の日付になると、購入希望者が入札を始めます。

競売の各物件には、現況調査によって決定した「売却基準価格」が存在し、この価格を参考に、参加者は入札価格を決定します。

裁判所の競売の方法は、参加者が一か所に集まって競り合う、一般的なオークション形式とは異なります。あらかじめ「〇日~〇日まで」と入札可能な期間を公開し、購入希望者はそれぞれ価格を決めて一度だけ入札を行うという形式です。

(4)買受人の決定(落札)

開札日になると、入札の結果、最も高い価格をつけた人が買受人に決まります。この後、裁判所からの売却許可決定が出され、物件の代金を買受人が納付すると、正式に所有権が移転されて売却となります。

買受人が決定すると、以降は債権者の一存では競売の取り下げができません。そのため、競売をキャンセルしてもらいたい場合は、買受人が決まる前に手を打たなければなりません。

(5)立ち退き

買受人に所有権が移転すると、物件は既に他人の所有物となるため、元所有者は物件から立ち退かなければなりません。期日までに立ち退かなければ、不法占拠状態となってしまいます。「引っ越し先がまだ決まっていない」などという事情は一切考慮してもらえません。

不法占拠を継続していると、債権者からの申し立てにより「強制執行による立ち退き」が行われることもあります。人が住んでいても、強制的に荷物や家財を運び出され、鍵を換えられてしまうため、精神的なダメージは非常に大きいでしょう。

なお、強制執行による立ち退きが発生した場合、新たな所有者はかかった費用を元の所有者に請求できます。

4.競売開始決定後いつまで家に住める?

競売開始決定通知を受け取った際、多くの人が心穏やかではいられません。「家から追い出されてしまう」とパニックになってしまう方も少なくないでしょう。

しかし、前述した通り、競売開始決定通知が到着したからといって、すぐに家が売られて追い出されるわけではありません。では、具体的にどのくらい住み続けることができるのでしょうか。立ち退きまでの期間について詳しく説明します。

(1)合法的に住めるのは半年から8か月程度

競売開始決定通知の到着以後、合法的に住める期間は、新たな所有者に所有権が移転されるまでです。通知の到着後から所有権移転までは、おおむね半年から8か月程度の余裕があります。家を競売で売却する場合、この期日までに引っ越し先を決めなければなりません。

所有権移転以降も、以前の所有者が住み続けた場合、前述した通り不法占拠となります。強制執行に踏み切られて、強制的に追い出されることもあります。

(2)立ち退き料はもらえないことがほとんど

競売で売却した後の居住期間について調べていると、しばしば「新たな所有者から立ち退き料をもらえる」という情報を目にします。以前は占有者の権利が強く、賃借人を用意するという方法による居座りが横行し、高額な立ち退き料を受け取れたこともありました。

しかし、現在の制度では新たな所有者の立場の方が強いため、立ち退き料を受け取れることはほとんどありません。

(3)強制執行の申し立てから断行まで2か月もない

実際に強制執行によって追い出されるまでの期間はケースバイケースですが、長くて2か月程度であり、それより前に立ち退きを迫られることも多いです。

所有権の移転後は、新たな所有者の住宅に勝手に住み続けることになり、所有者の権利を侵害することになります。所有権の移転前に自主的に退去した方が、精神的・経済的負担も軽くなります。

5.競売開始決定の到着後にやること

競売開始決定が届くと、「家が競売で売られてしまう」と絶望される方もいらっしゃいますが、実は競売開始決定が届いた後でも、競売を回避できる可能性はあります。では、通知が届いたら、どのように対処すればよいのでしょうか。

(1)競売は債権者の申し立てにより取り下げが可能

競売は、開札期日の前日までであれば、競売を申し立てた債権者の意思により取り下げることが可能です。すなわち、競売を回避するには債権者を説得すれば良いのです。

ただし、何の用意もなく取り下げを依頼しても、債権者はまず応じません。そもそも、債権回収のために競売を申し立てているからです。

そこで、「他の方法で家を売り、返済する」ことを条件に交渉を進めることになります。これが、任意売却という方法です。

(2)競売を回避するための任意売却に着手

任意売却とは、何らかの債務の担保として差し押さえられているオーバーローン状態の不動産を、債権者の同意のもと抵当権を解除してもらい、競売以外の方法で売却することです。

任意売却には、以下のようなメリットがあります。

  • 売却のスケジュールをある程度調整できる
  • 競売よりも高く売れる
  • 引越し費用を捻出できることがある

「結局、家を売らなければならないなら意味がない」と思われるかもしれませんが、任意売却の場合、売却後も家に住み続ける方法が存在します。具体的な方法については後述します。

(3)任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談する

任意売却を実現させるためには、任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社に相談することが大切です。任意売却は一般的な不動産の売却にはない特殊な業務が多く、地域密着型の不動産会社では対応できないことが多いからです。(差押や競売の申立てが既に行われていれば、売却依頼を断る不動産業者もございます。)

特に、物件を抑えている債権者の説得を成功させるためには、納得させられる配分案(売却代金の内訳)の作成を行うための専門的なスキルとノウハウがなければ難しいです。そのため、不動産会社を選ぶ際は、任意売却の実績がどの程度あるかを必ず確認してください。

なお、自称“任意売却専門会社”の中には、経済的に困窮した依頼者を狙う悪徳業者も存在するため、相談の際は言動に不審な点がないか慎重に判断する必要があります。悪徳業者の特徴などについては以下の記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

(4)任意売却ができる期限は?

任意売却により競売を回避できるのは、債権者を説得して競売を取り下げてもらえた場合です。つまり、債権者の意思により競売の取り下げが可能な期限が、任意売却のタイムリミットとなります。具体的には、競売の開札日の前日期限です。滞納開始から起算すると、11か月から13か月程度になることが多いです。

ただし、このタイムリミットは、あくまでギリギリで売却を完了させる場合のデッドラインです。売却までの期間が延びるほど競売の手続きが進行し、所有者が受ける精神的な負担も大きくなるため、なるべく早めに売却することが望ましいでしょう。

6.家に住み続けたい場合の対処法

前述した通り、任意売却では、売却後も家に住み続ける方法があります。リースバックと親族間売買という方法です。具体的な内容について説明します。

(1)リースバックで売却後賃貸として住む

リースバックとは、家を投資家やリースバック会社に売却し、売却後に賃貸住宅として住み続ける方法です。愛着のある自宅から離れる必要がなく、経済状況が回復した際に買い戻せる場合もあります。

リースバックで売却した後は、所有権は売却先に移転するため、固定資産税やマンションの管理費などの支払い義務はなくなります。

リースバックの主な注意点は以下の2つです。

  • 高く売却するほど家賃が上がる
  • 期限付きの定期借家契約での居住になることがある

リースバックは、売却先と、債権者である金融機関との折り合いが難しいので、リースバックの経験を豊富に持つ会社のサポートを受けることが成功の秘訣です。

(2)親族間売買で親戚・家族に売る

親族間売買は、家族や親戚などの親族に家を売却することです。売却後も家に住み続けられる可能性が高く、大切な自宅が他人の手に渡らないというメリットがあります。

親族間売買では、以下の2つの点がネックとなることが多いです。

  • 適正価格での売買
  • 住宅ローン審査

本来、親族間では、相続によって不動産を譲渡することが一般的です。あえて売却という形をとることで、「相続税逃れのための売却ではないか」と税務署にマークされることがあります。そのため、しっかりと契約書・重要事項説明書を作成し、相場で売買することが重要です。

また、上記の理由から、金融機関からも敬遠されやすい取引です。親族間売買に積極的に融資してくれる金融機関は少ないため、親族間売買の実績を豊富に持つ不動産会社から紹介を受けて審査に臨むのがもっとも効率的といえます。

(3)個人再生で借金を整理する

個人再生とは、裁判所の手続きで債務を整理する方法の一つで、住宅ローン以外にも借金があり、いわゆる多重債務状態に陥っているケースで有効です。

個人再生には、住宅ローンだけを整理対象から除外する「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があり、再生計画が認められれば家を残すことができます。

ただし、返済期間が3年から5年と短いため、短期的な負担は増加するケースもあります。個人再生が利用できるケースはやや限定的なので、利用したい方は専門家に相談してみるとよいでしょう。

(4)いずれの場合も早期着手がカギ

どの手段を利用する場合も、大切なのは早い段階で着手することです。親族間売買とリースバックは、通常の任意売却と同様に、開札期日の前日までに売買を完了していなければなりません。

個人再生の住宅ローン特則を利用するには「巻き戻し」という手順を踏む必要があります。この場合、代位弁済から6か月以内に再生手続の申し立てを行わなければなりません。

いずれの場合も、競売開始決定通知が到着した後は時間の余裕がないため、できる限り早めに専門家に相談して準備に着手することが大切です。

7.まとめ

今回は、競売開始決定通知が届いた後の流れや、競売を回避して家に住み続けたい場合の対処法などについて解説しました。

競売開始決定通知が届くと、競売で家が売却されるまであまり時間がない状態です。売却されると、最終的には強制的に退去させられることもあるため、開札期日の前日までに債権者に競売を取り下げてもらう必要があります。

競売を取り下げてもらうには物件を売却し、代金で債務を返済する必要がありますが、任意売却であれば、売却後も家に住み続けられる可能性があります。まずは、競売開始決定通知が来た段階で、専門の不動産会社に相談することをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱い、数多くの親族間売買やリースバックを成功させた実績を持つ不動産会社です。「競売開始決定通知が届いたけれど、どのように対処するべきかわからない」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一

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