離婚により住まなくなった家の売却方法(オーバーローンの場合)

離婚

安住の地として、ローンを組んで自宅を購入したが、離婚をした。1人で住むには広すぎる。
養育費や慰謝料の支払いが重く、住宅ローンの支払いが厳しい。そのような場合には、自宅を売却するしか方法はありません。
しかし、残ローンを完済できる金額で売却を依頼しているが、中々購入者が見つからない。
このまま売れないのなら賃貸物件として賃貸に出してみてはどうだろうか等、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
このように自宅を残ローン額で売却できないオーバーローンの場合にこれから取れる対策とリスクについて解説いたします。

1.売却を依頼しているけれど、なぜ売れないのか

自宅をローン残高以上で売却できれば、何ら問題ありません。売却を依頼して3ヶ月以内に売却できれば、通常の範囲内です。

しかし、自宅を購入した不動産会社や地元の不動産会社に売却を依頼しているが、数カ月経っても購入者が現れず、本当に売れるのかと疑念を抱くことがあるかと思います。平均的な売却期間となぜ売却できないのかについて解説します。

⑴ 市場との乖離

売出し価格が適正な価格であれば通常は、「3ヶ月程度」で購入者は見つかります。ですので、購入者が見つからないのは売出し価格が市場と乖離しているためです。
地元の不動産会社や大手の不動産会社は、「高受け」と言って相場より高い金額で査定し、売却依頼を受ける傾向にあります。あくまでも査定なので実際に売れる金額ではないのです。
なぜ、「高受け」をするのかというと、複数の不動産会社に売却の査定をとった際に、例えばA社の査定額が1,500万円、B社が1,700万円、C社が2,000万円と査定額の提示があった際にどこにお願いしようかとなると、C社が一番高い査定額を出してくれたのでC社に任せてみようと思うのが人間の心理だと思います。しかし、本当はA社の1,500万円が相場だということがよくあります。
C社は「高受け」をしてどうするかというと、何かとつけて売れない理由を並べ、売却期間とともに徐々に売出し価格を下げる提案をしてきます。一度お願いしたので今更、他社に依頼することも煩わしくそのままC社に任せるという方も多いかと思います。それがC社の狙いです。

⑵ 購入者のほうが金額にシビア

特に中古住宅となると、購入者のほうが金額にシビアになってきます。それは、他の売出し物件と比較検討しているからです。昨今ではインターネットで売出し物件情報を容易に検索できます。購入者も損をしたくないため、複数のエリアを検討し、市場価格をよく調べて購入するかどうかを判断しています。

2.賃貸物件として賃貸することのリスク

残ローン以上で売却できないのであれば、賃貸物件として賃貸し、賃借人から徴収する賃料を住宅ローンの返済に充てようと思う方も多いのではないでしょうか。賃貸物件として賃貸するにはリスクが伴います。そのリスクについて説明いたします。

⑴ 修理費の負担

賃貸で借主が見つかったとしても、突発的な支出を要する可能性があります。それは、入居中の設備の故障の修理費用は貸主が負担しないといけないからです。軽微な修理であれば懐を痛めずに済むかもしれませんが、給湯機の故障等で本体交換となれば何十万という費用がかかってきます。固定資産税もこれまで通りかかります。

⑵ 賃料の未収入期間・原状回復費用

賃貸人からの解約は基本的には1ヶ月前予告のため、継続的に賃料収入があったのに、翌月からは賃料収入が無くなるというリスクがあります。
次の入居者が見つかるまでの間は、住宅ローンの支払いはあるのに、賃料が全く入ってこないため、預金を切り崩す必要があります。すぐに次の賃借人が見つかればよいですが、長期間の空室となると損失も大きくなります。
また、賃借人の退去に伴い、次の入居者を見つけるためにリフォーム(壁紙の交換やハウスクリーニング等)をしなければいけません。リフォーム費用は、通常損耗・経年劣化は基本的には前入居者に請求できないため、退去があるごとに数十万円の費用を要します。

⑶ 住宅ローン契約違反になり、一括弁済を要求される

住宅ローン契約をする際には、自己居住用として契約しているため、賃貸をすると契約違反となります。住宅ローンは、自己居住用ということで金利の優遇を受けており、一般的なローンよりも安い金利で借入ができています。
ですので、自己居住ではなく、賃貸をして契約違反が明るみにでれば、金融機関から契約違反として残ローンの一括弁済を求められる可能性があります。

3.残ローン以下で売却する方法

残ローン以下で売却する方法は「任意売却」「競売」の2つあります。任意売却と競売のメリット・デメリットとについて解説していきます。

⑴ 「任意売却」と「競売」

任意売却」とは、諸事情により住宅ローンの支払いが困難になった方が、債権者(金融機関)の同意を得て、残ローン以下で不動産を売却する手法です。
競売」とは、裁判所が行う手続きの一種で「公的なオークション」になります。
任意売却と競売の違いは下記表をご覧ください。

任意売却 競売
スケジュール ある程度調整可能 調整不可
売却価格 市場相場と同程度 相場より5割~3割安い
経費 一部捻出できることがある 捻出できない
引越代 一部捻出できることがある 捻出できない
プライバシー 通常の売却と同様のため、プライバシーは守られる インターネットや官報で広く公告される
売却後 親族間売買・リースバックと組み合わせて住み続けられることもある 期限までの明け渡しが必要

表のとおり、競売よりも任意売却のほうがメリットが多いのです。

任意売却は売却に協力することで市場により近い価格で売却できる可能性が高く、債権者も高く売却できた方が回収できる金額も多くなります。

任意売却を成功させるためには、実績が豊富な不動産会社を慎重に選ぶことが大切です。

⑵ 滞納することによるリスク

「任意売却」「競売」に共通していることは、ローンの滞納をして返済が不能な状態とみなされないと行うことができないということです。
滞納をすることにより個人信用情報(俗に言うブラックリストに載っている状態)に滞納情報が登録されてしまうため、今後借入(オートローン等)がしづらくなります。
また任意売却で売却できなかった際は、競売により売却されてしまうため、多くの残債が残り、プライバシーも脅かされてしまいます。

4.売却後の残債の支払い方法

任意売却や競売で自宅の売却ができたとしても、残ったローンは当然に無くなることはありません。自宅を売却したのに残ったローンを支払わないといけないかと嫌悪感を抱かれることもあるかと思いますが、不動産を現金化してローンの支払いに充当したのに過ぎないため、残債の支払いが必要になります。
ただ、残った残債次第では、支払いが免責や減免されることもあります。
その点を踏まえたうえで「任意売却」「競売」後の残債の支払い方法について解説いたします。

⑴ 毎月定額を支払う

住宅ローンの支払いが困難になったのは債権者も把握しているため、無理な金額の返済は求めてきません。大半の方は毎月1万円~3万円の返済になります。
どのように返済額が決まるかというと、購入者が見つかったタイミングで「生活状況確認書」を提出し、毎月の返済額を申告することが多いです。
例:収入25万円、支出23万円であれば、余剰が2万円になるので毎月2万円の返済が求められます。自己申告制のことが多いので生活に支障のない範囲で返済額が決定します。
※債権者・サービサーによって異なります。

⑵ 債務整理をする

収入にもよりますが、「任意売却」「競売」後の残債が500万円以上残るようであれば、次にあげる法的整理も検討をされたほうが今後の生活は楽になります。

① 任意整理

「任意整理」とは、将来の利息の免責や減免ついて債権者と交渉を行う手続きです。カードローン等の一般的に高金利の借入であれば効果はあるかもしれませんが、元本が据え置きのため住宅ローンの残債のみであれば、あまり効果はありません。

② 個人再生

「個人再生」とは、債務整理の一種で概ね債務を5分の1に圧縮できる裁判手続きになります。
債務が5分の1に圧縮されるので残債は大幅に減少しますが、〇年以内に返済しないといけない等、条件があるので毎月の返済が負担になることもあります。

③ 自己破産

「自己破産」とは、借金の返済を免除してもらう手続きです。自己破産が認められれば、基本的には税金以外の債務が免責されるので住宅ローン含めその他の借金が無くなります。
いずれも自身で行うことは困難ですので弁護士・司法書士に依頼をすることが必要になります。
当社では、不動産の売却をして終わりではなく、売却後にご要望であれば適切な弁護士・司法書士の紹介をさせていただき、サポートいたします。

5.まとめ

こちらでは、「離婚により住まなくなった家の売却方法」について解説しましたが、離婚によらずとも近隣とのトラブル、転勤等、転居せざるを得なくなった方にも応用できますのでご参考ください。

ご相談の際は、電話やメールでお問合せください。ご相談事項をお伝えいただければ、
3,000件以上の実績から得た経験をもとに、どのような手段が取れるのかを明示させていただきます。事前に用意していただく書類もなく、相談料やコンサルタントフィー等もかかりませんのでお気軽にご相談ください。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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