住みながら家を売る方法は?3つのパターンと注意点を解説

家

さまざまな事情により、現在お住まいのご自宅に住み続けながらご自宅を売ることを検討される方は少なくありません。「住宅ローンの支払いが難しいため、家を売却したいけれど、売却した後も今の家に住み続けたい」という方や、「自宅を売却して引っ越しをしたいけれど、いつ売れるかわからないので、住みながら家を売却したい」という方もいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は、住み続けながら家を売却する方法や注意点などについて解説します。

1.住み続けながら家を売る3つのパターン

住み続けながら家を売る方法として、大きく分けて、一般市場での売却、リースバック、リバースモーゲージという3つのパターンがあります。

それぞれ特徴があるので、まずはどのような売却方法なのか説明します。

(1)一般市場で住みながら売却する

住み替えを検討している方の多くが利用するのが、一般的な不動産市場での売却です。不動産仲介会社に依頼して買主を探してもらい、自宅に居住したまま売却活動を進めるケースが多いです。

自宅に住み続けながら売却活動を行うため、引っ越しのタイミングや新居を手配する時期には注意が必要です。

(2)売却後賃貸として住むリースバック

持ち家を不動産会社や投資家に売却し、賃貸住宅として住み続けるリースバックという方法もあります。「住宅ローンの支払いが困難な状況に陥って、売却を考えているけれど、今住んでいる自宅に思い入れがあるので住み続けたい」という場合や、「自宅を売却したいけれど、子供の受験が終わるまでは今の家に住み続けたい」などという場合に適しています。

リースバックの売買契約は、相手が一般人ではなく不動産会社であることから、条件面では一般の売買より厳しくなることも多いです。

リースバックの詳細はこちらの記事にまとめていますので、リースバックをご検討されている方はこちらの記事を参考にしていただければと思います。

関連記事:リースバックとは?メリットとデメリット、注意点も解説

(3)家を担保に借り入れをするリバースモーゲージ

リバースモーゲージは、自宅を担保としてお金を借り、死後に売却代金で元本を返済する不動産担保ローンの一種です。

リバースモーゲージの最大の特徴は、主に65歳以上のシニア層を対象としており、存命中は原則として利息のみの返済で借り入れができることです。老後の生活資金や家の修繕費用など、さまざまな資金使途に活用できます。

ただし、担保の価値に応じた貸付限度額が設けられていることが一般的で、超過すると一括返済を求められるケースもあります。

リバースモーゲージの利用条件などの詳細はこちらの記事にまとめていますので、リバースモーゲージをご検討されている方はこちらを参考にしていただければと思います。

関連記事:リバースモーゲージの利用条件となる年齢制限は?50代でも利用できる?

2.住みながら家を売るメリット

「自宅を売却したいけれど、いつ売れるかわからないので、住みながら家を売却したい」という方もいらっしゃるかと思います。住みながら家を売ることには、費用面や売却活動の面でメリットがあります。具体的なメリットについて説明します。

(1)売却代金を新居の購入や初期費用に使える

最大のメリットは、家の売却代金を、新居の購入や賃貸の初期費用に使えることです。

仮に、買い替えなどで新居に引っ越してから売る場合、一時的にとはいえ預貯金から費用を持ち出さなければなりません。賃貸の場合でも数十万円かかることが一般的なため、経済事情によっては資金の捻出に苦労する場合もあります。

住みながらの売却であれば、売却代金で新居を購入したり手配したりできるため、経済的な負担は減少するでしょう。買い替える場合は売却価格が確定してから新居を探せるため、資金計画も立てやすくなります。

(2)家の劣化や犯罪発生リスクを抑えられる

引っ越してから売却活動をする際に心配なのが、家を空き家にするリスクです。

無人の住宅は、しばしば治安悪化の原因となるためです。知らない人が勝手に居住する、放火など犯罪行為のターゲットにされるなどのリスクがあります。売却活動が長期化する場合は、見回りや清掃など管理の手間も無視できません。また、無人家屋は長期間放置すると建物が劣化してきます。

住みながらの売却であれば、こうしたトラブルに巻き込まれるリスクや建物の劣化を回避することができます。

(3)購入者に生活をイメージしてもらいやすい

実際に人が住んでいる家は、内覧の際に生活をイメージしてもらいやすいというメリットがあります。

買い主からすると、現在の住人の家での暮らしをイメージできるため、引っ越し後の生活を具体的に想像しやすいのです。家具付きのモデルルームのように理想の暮らしをイメージしやすいため、申し込みに直結するケースも多いです。

(4)住人しか知ることができない情報を伝えられる

家を購入する際、実際に住まなければ知ることができない情報はとても貴重です。例えば、近隣住民のマナー、隣人の人柄、どのような家族構成の世帯が多いのかなどの情報は、実際に生活する上で非常に重要な情報です。

このような住人しか知ることができない情報を購入希望者に伝えられることは大きなメリットといえます。

購入後の不安を解消し、購入希望者の背中を押す良い機会になるため、内覧時の対応を不動産会社任せにせず、質問には積極的に応じることをおすすめします。

3.住みながら家を売るデメリット

住みながら家を売ることには、メリットだけではなくデメリットもあります。具体的なデメリットについて説明します。

(1)購入希望者が内覧に抵抗を持つ

注意すべき点の一つが、購入希望者が内覧に抵抗を持つことです。居住中の家の内覧は見知らぬ他人の生活圏に踏み入ることになるため、遠慮して隅々まで見て回りにくくなります。

特に、子供部屋や夫婦の寝室などのプライベートルームはじっくり見て回りにくいです。結果的に「部屋の中をよく見られなかったし、今回は見送ろう」という結論になる可能性があります。

(2)新居を手配するタイミングが難しい

家を明け渡した後の引っ越し先を探すタイミングが難しいのもデメリットの一つです。売却活動中はいつ売れるかわからないため、新居への入居日を確定できません。

賃貸住宅に移る場合は、なかなか契約に踏み切れないかもしれませんが、買主が見つかってから引っ越し先を探し始めるのでは間に合わないこともあります。

4.住みながら家を売る際のポイント

住みながら家を売る際、より売却をスムーズにするために抑えておくべきポイントがあります。

(1)内覧に備えて自宅を整理整頓しておく

前述した通り、住みながら家を売る場合、購入希望者が隅々まで見て回りづらいという問題があります。この問題を解決するために、売却活動が始まった時点で自宅を整理整頓しておくことが大切です。

いずれ引っ越すので、売却準備を始めた時点で不用品や粗大ごみなどを徐々に減らしていきましょう。また、内覧当日に備えて掃除をし、なるべく生活感を感じさせないよう、洗濯物や日用品などは片付けておくとよいでしょう。

(2)売却の進行に応じて新居や仮住まいを手配

住みながらの家探しでは新居の手配が問題になるため、売却活動の進行に応じて、徐々に新居や仮住まいを探し始めることをおすすめします。

あらかじめ複数の候補物件を見つけておき、売却が進んだタイミングで、素早く内覧の申し込みを行うとよいでしょう。

他の方に先を越されることはもちろんありますが、その場合は新たな候補物件を補充する形で、常時2~3件キープしておくと、急に売却が決まった場合でも短期間で新居を決められる可能性が高くなります。

(3)水回りの掃除は入念に

家の内覧を行う際に必ず確認されるのが、水回りの状態です。トイレやお風呂、キッチンなどは、購入後の生活の質を左右する重要な設備なので、厳しくチェックされることが多いです。

家の売却を検討している段階から、少しずつ水回りの掃除を進めておきましょう。特に、カビやタイルの剥がれ、配水管の臭いなどは印象を大きく左右するため、必要に応じて業者への依頼を検討するとよいでしょう。

(4)タバコやペットなどの臭いにも注意

ペットを飼っている人やタバコを吸う人は、臭いにも注意しておきましょう。自宅に染み付いている臭いは、住人自身は慣れてしまって気付かないことも多いです。自分では自覚がない場合も、対策をしておくことをおすすめします。

特に、カーテンやカーペット、布団などの布製品は臭いが付着しやすいです。定期的な消臭や洗濯をすることで家の臭いを予防できます。除菌効果のあるスプレーや、置くタイプの消臭剤も効果的です。

(5)土日祝日や夜はなるべく空けておく

家の売買における内覧は、希望者の都合で突然決まることが多いです。「早く見たいので明日にでも」といったスピード感で進むこともあるため、急な内覧に対応できるよう、なるべく予定を空けておくことが大切です。

土日祝日や平日の夜などは、平日の昼間に仕事をしている人が内覧を希望することが多いです。外せない用事がある場合なども、夫婦のどちらかは内覧対応のために予定を空けておくという在宅するなどの工夫ができると早期売却につながりやすくなります。

もちろん、お互いに都合の良いタイミングに合わせて内覧日を調整することもできます。しかし、先に別の家の内覧に行き、そちらを気に入ったので契約したなどというケースは不動産売買では日常茶飯事です。売却のタイミングを逃さないためにも、なるべく内覧希望者の都合に合わせるようにすることが望ましいでしょう。

5.リースバックを利用する際の注意点

リースバックは、売買と賃貸がセットになっている契約です。「自宅を売却した後も今まで通り住み続けたい」という方がご検討されることが多いですが、いくつか注意が必要な点もあります。

リースバックを利用する際、事前に注意しておきたいポイントについて説明します。

(1)賃貸借契約の形態を確認する

売却後の賃貸借契約がどのような形態になるのか、必ず確認しましょう。リースバックの賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約という二つの種類があり、住める期間が異なるからです。

①普通借家契約

1年から2年に一度更新を繰り返し、長期的に居住することを前提とする契約形態です。一般的な賃貸契約と同じく、特別な事情がない限りは居住者が望む期間住み続けることができます。

②定期借家契約

更新を前提とせず、おおむね2年から3年で賃貸借契約が終了します。居住期間が限定されるため、長期間の居住には向きません。

リースバックでは、住宅の売却で利益を出す不動産会社も多く、定期借家契約も一般的です。そのため、居住期間については必ず確認する必要があります。

(2)売却価格と家賃を確認する

リースバックの買い取り価格は、不動産会社の物件の仕入れ値となるため、一般的な売買より大幅に安くなることも珍しくはありません。そのため、一般的な売却価格の相場と、買い取り価格を比較することが大切です。一般的な売却価格の相場を知るためには、仲介会社の査定を利用するとよいでしょう。

また、売却価格だけでなく、賃料もしっかり確認しましょう。リースバックで提示される賃料は、仕入れ値に対する割合を優先して決定されます。そのため、地域の家賃相場を大きく上回ることもあるため、注意が必要です。

各種契約条件によっても賃料は変化します。毎月の経済的な負担に直接影響を及ぼす部分なので、相場と照らし合わせて確認しましょう。

リースバックではなく、一般的な売却価格で自宅を売却して、家賃の安い物件を探した方が、その後の生活が安定する場合もあります。売却価格や家賃を確認した上で、慎重に判断することが大切です。

(3)買い戻す場合は条件を明確にしておく

リースバックでは、事前に取り決めることで一度売却した家を買い戻すことも可能です。この場合、トラブルを防止するために、買い戻しの条件などを明確にし、売却時の契約書に記載しておくことが大切です。

よくあるトラブルとしては、買い戻しの価格が想定していたよりも高い、買い戻しを断られるといったケースが挙げられます。そのほか、物件を転売されて、新たな所有者に買い戻しの条件などの情報が伝わっていないという事例もあります。

こうした事態を防ぐためにも、買い戻しの可否と価額、条件などの詳細を決めて、契約書にしっかり記載しておきましょう。

(4)リースバックに詳しい不動産会社に相談する

不動産に関する契約は専門的な知識が必要ですが、特にリースバック契約は内容が複雑です。トラブルを防止するためにも、信頼できる不動産会社に間に入ってもらうことが望ましいでしょう。

リースバック契約のリスクを最小限に抑えるためには、リースバックの実績を豊富に持つ不動産会社を選ぶことが大切です。

当社で手がけたリースバックの事例はこちら

6.まとめ

自宅に住みながら売却する方法はさまざまな方法があり、それぞれに異なる特徴があります。検討する際は、自分の状況に適しているのはどの方法なのかを理解した上で、実績を豊富に持つ専門家に相談することをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」「自宅に住み続けながら、売却したい」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

参考URL:相談から解決までの流れ

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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