病気や怪我で住宅ローンが支払えなくなった場合にとるべき手段・解決方法

住宅ローンを契約する上でのリスクのひとつが、病気や怪我です。実際、当社にも病気や怪我のせいで住宅ローンを滞納してしまい、相談にいらっしゃる方は少なくありません。

もし、病気や怪我により住宅ローンを返済できなくなった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。この記事では具体的な対処法について解説します。

1.病気や怪我で住宅ローンが払えない場合の確認事項

まずは、現在加入中の保険や保障で対処できないか確認してみましょう。

確認の手順について説明します。

(1)高度障害に該当するか確認

まず最初に、現在の状態が高度障害に該当しないか確認しましょう。高度障害とは、病気やケガを原因として体の機能が損なわれ、日常生活を送ることが著しく困難な状態のことです。

公益財団法人生命保険文化センターによると以下、7つに分類されています。

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護をようするもの
  • 両上肢ともに手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢ともに手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

引用元:生命保険に関するQ&A|生命保険文化センター

上記いずれかに該当する場合、団体信用生命保険に加入していれば残っている住宅ローンを補償(肩代わり)してくれます

(2)団体信用生命保険の特約を確認

団体信用生命保険は、高度障害を負った場合や死亡した際に、住宅ローンの残債を保険金として一括返済してくれる生命保険の一種です。団体信用生命保険は、住宅ローン契約をする際に加入条件になっていることが大半を占めます。通常は、死亡時や高度障害に該当する場合のみが対象となります。

ただし、金利が増加する代わりに補償の対象となる疾病が増える「3大疾病保障」「5大疾病保障」「8大疾病保障」などといったオプションを追加できる保険もあります。この場合に該当すれば、残っている住宅ローンを肩代わりしてくれるので、加入している団体信用生命保険の補償内容を確認しましょう。

(3)債務返済支援保険の加入の有無を確認

債務返済支援保険」は病気やケガによる収入減に備える保険です。病気やケガで30日以上の長期の療養を余儀なくされた場合、住宅ローンの返済を保険金でサポートしてくれます。

1回の入院で、最大25ヶ月間住宅ローンの返済金相当額が支払われます。

※補償内容は、加入されている保険によって異なります。

団体信用生命保険以外にこのような任意の保険に加入していないか、住宅関係の書類などを再確認してみてください。

(4)加入している医療保険の内容を確認

一般的な医療保険は入院や手術が保障の対象となりますが、医療保険の加入時に「就業不能保険」に加入されている場合もあります。

「就業不能保険」とは病気やケガにより長期間働けなくなった際に保障を受けられる保険です。直接的に住宅ローンの返済を行う保険ではありませんが、このような保険に加入してないかも併せて確認しましょう。

※保障内容は、加入されている保険によって異なります。

(5)労災保険が活用できるか確認

病気やケガが業務に起因するものであった場合は、「労災保険」の適用を受けることも可能です。その他、通勤途中の事故によりケガを負った場合にも労災保険の適用対象になります。

仕事を休まなくてはいけなくなった際は、「休業補償給付」を受けることができます。「休業補償給付」は、平均賃金の60%相当の支給を受けられる制度です。また休業補償給付に加え、休業特別支給金として平均賃金の20%相当の支給を受けられます。総合すると、給料の8割程度の補償を受けることができます。

(6)傷病手当金が活用できるか確認

一般的な会社に勤めている会社員なら全員が加入している「健康保険」も病気やケガの時に役立ちます。病気やケガが原因で働けず、勤め先から十分な給料の支払いを受けられない場合、「傷病手当」を受給できます。

給付を受けられるのは最長1年6か月で、支給される金額は月額給料の2/3程度です。

2/3程度が支給されれば、家計を見直すことで住宅ローンの支払いを続けられる可能性があるのではないでしょうか。

※労災保険の休業補償給付と重複して補償を受けられないこともあります。

以上のような保険に加入していない、加入しているけれど住宅ローンの返済に充てるほどの補償が受けられない、などの場合は以下の方法を検討する必要があります。

2.病気や怪我で住宅ローンが払えない場合の相談先

各種保険や公的制度による保障が利用できない場合、住宅ローン自体への対策が必要となります。この場合は、どこに相談すればよいのでしょうか。

(1)金融機関にリスケジュールを相談

まずは、生活が苦しく今まで通りの支払いが難しいことを金融機関に相談し、リスケジュールを打診してみてください。リスケジュールとは、「毎月の住宅ローン返済計画の見直し」のことを意味し、「リスケ」とも呼ばれます。

リスケジュールを行うと、例えば35年で返済予定だった住宅ローンを40年で完済する形に変更できます。これにより、毎月の支払い額を抑えることが可能です。申請は、住宅ローンを契約している金融機関に対して行います。

ただし、リスケジュールには審査があるため、申し入れたからといって必ずしも認められるとは限りません。

リスケジュール後の毎月の返済額は契約者の状況によって異なり、数年間は利息の支払いのみで元本を据え置いてくれる場合もあります

一点注意が必要なのが、リスケジュールは返済期間を延ばしているため、総合的な返済額は増えることです。今後、収入回復が見込める方にとっては得策となりますが、支払い期間を延ばしたがゆえに、老後にも住宅ローンの負担が発生するリスクもありますので慎重に検討する必要があります。

(2)法律事務所や不動産の専門会社に相談

保険の適用とリスケジュールの検討をしたけれど、今後住宅ローンを支払い続けることが困難な場合、専門家への相談が必要です。

相談先の候補は、「不動産会社」「弁護士・司法書士」です。

不動産会社へ相談する

住宅ローンを払えない場合の相談先は、一般的な不動産会社ではなく、任意売却の実績が豊富な不動産会社です。

任意売却とは、オーバーローン(残債>市場価格)状態でローンを全額返済できないが、債権者の同意を得て不動産を売却する方法です。

世間的には不動産の価格が上昇しているといわれていますが、恩恵を受けているのは都市部のマンションが中心です。地方の戸建住宅は、大半がオーバーローン状態になっています。こうしたケースでは、任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談するのが適切です。

また、任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談することによって「親子間売買」「リースバック」という手段で「住み続ける」方法を提案してくれる可能性があります。

弁護士や司法書士に相談する

「弁護士・司法書士」への相談は、住宅ローン以外の借入が多く、多重債務に陥っている場合に適しています。

ただし、不動産の売却に関していえば法律家にできることはあまりありませんが、相談すると不動産を紹介してくれる場合もあります。

3.住宅ローンの滞納を放置するリスクと回避策

住宅ローンを滞納した場合に、やってはいけないのが滞納を放置することです。放置するとどのようなことが起きるのか具体的に説明します。

(1)連帯保証人に督促が届く

住宅ローン契約時に連帯保証人を立てていると、連帯保証人にも督促が届きます。「迷惑はかけないから」と頼み込んで連帯保証人になってもらった場合などは、お互いに気まずい思いをするかもしれません。

(2)一括返済を求められる

3ヶ月以上無断で滞納を続けると、期限の利益(分割払いの権利)を失い、一括返済を求められます。これ以降は、リスケジューリングなどの支払いの調整に関する相談には応じてもらえないことがほとんどです。

多くの場合、一括返済ができる経済状況ではないため、一括返済の請求まで放置してしまうと、高確率で競売手続き開始に進みます。

(3)経済状況を知人・近隣に知られる恐れがある

住宅ローンの滞納を続けたまま放置しておくと、いずれ家は競売にかかります。競売では、物件の購入者を一般から広く募るため、物件情報をインターネット上に公開します。所有者の氏名など、一部の個人情報を除くほとんどの家の情報が掲載されることになるのです。

当然ながら、家を知っている知人が見れば、競売にかけられていることは一目瞭然です。また、現況調査(下見)などで裁判所の職員が訪問するため、近所の人からも競売の事実を推測されてしまいます。

(4)滞納を続けると最終的には競売になる

住宅ローンの滞納が長期間継続すると、債権者は債権を回収するために「競売」の申立てを行います。

「競売」とは、裁判所が行う公的なオークションのことで、差し押さえられた財産を合法的に換金するための手続きです。指定された期間内に一番高い価格で入札した方がその不動産を購入できます。以前の所有者は、売却されて以降は「不法占有者」となり、立ち退かない場合は強制執行による立ち退きが行われることもあります。

詳細については、こちらで解説しておりますのでご参照ください。

参考:競売後の自宅にいつまで住める?住み続ける方法も解説

(5)競売を回避するなら早めに売却を検討

競売は、所有者にとってのデメリットが多く、可能な限り回避したい売却方法です。では、競売を避けるためにはどのようにすればいいでしょうか。その方法として考えられるのが、家の売却です。

不動産の売却は大きく分けて「一般売却」「任意売却」の二種類に分類されます。

一般売却とは、不動産仲介で買い手を探し、自宅を第三者に売却することです。ここで注意しなければならないのが、住宅ローンの残高です。

住宅ローンを組んでいる場合、残っているローンを全て返済しないと、自宅の売却はできません。

ローン残高より自宅の価格のほうが高い場合は、売却代金によって残っている住宅ローンの返済はできます。しかし、ローン残高が自宅の価格よりも多い場合(オーバーローン:残ローン>自宅の価値)、貯金から不足分を補填しなければなりません。この問題を解消するのが、次に説明する任意売却です。

任意売却とは、上記でも説明した通り、住宅ローンの返済が難しくなった方が、残ローン以下で自宅を売却することにより、まとまった資金を債権者に返済する方法です。

任意売却を成功させるためには、実績を豊富に持つ不動産会社に相談することが大切です。

任意売却の相談先の選び方については、こちらの記事にまとめましたので、参考にしていただければと思います。

参考記事:任意売却の相談先の選び方・悪徳業者の特徴も紹介

4.病気や怪我で収入が低下した場合でも、自宅に住み続ける方法

病気や怪我で住宅ローンの返済ができなくなった場合でも、必ずしも自宅を手放さなければならないわけではありません。では、自宅に住み続けるにはどのような方法があるのでしょうか。

(1)個人再生

個人再生とは、債務を最大8割程度圧縮できる債務整理手続きです。裁判所に事前に作成した再生計画を提出し、3年から5年かけて計画通りに返済することで、残額の支払いを免除してもらいます。

個人再生には、住宅ローン特則(住宅資金特約条項)を利用して住宅ローンを整理対象から除外することで、家を残して住宅ローン以外の債務を削減できるというメリットがあります。

ただし、この方法は住宅ローン以外の借入が多い方には効果的ですが、住宅ローンのほかに借り入れがない場合には利用できません。

あくまで、多重債務を負っており、他の借金のせいで住宅ローンが返せない場合などに検討できる方法です。

(2)リースバック

リースバックとは、賃貸住宅として自宅に住み続ける方法です。賃貸経営をしているリースバック会社や、個人の不動産投資家に自宅を買い取ってもらい、その買主に毎月家賃を支払って住み続けます。

うまくいけば住宅ローンを返済しつつ自宅に住むことができます。ただし、買取価格がローン残高より安い場合や、毎月の家賃が高く支払い続けるのが難しいようであれば、リースバックのメリットを享受できません。利用できるケースはある程度限定されるため注意が必要です。

リースバックについての詳細はこちらで解説しておりますのでご参照ください。

参考:リースバックの相談先は?選定基準と注意点を解説

(3)親族間売買

親族間売買とは、その名の通り親族間で不動産を「売買」することです。親族に現状のまま住み続けることを前提に買い取ってもらうことで、自宅に住み続ける方法です。

親族間売買の詳細についてはこちらで解説しておりますのでご参照ください。

参考:親族間売買の相談先の選び方・選定基準と注意点を解説

5.長期入院等で働けない状態が続いた場合の生活再建

長期入院で働けない状態が継続した場合、いかにして日々の負担を軽減し、生活を立て直すかが重要です。このような場合に利用できる制度を3つご紹介します。

(1)生活保護

病気やケガによって働きたくても働けないという方は、生活保護制度の利用も検討しましょう。

ただし、自宅を保有している状態では、生活保護の申請をしても不動産という財産を持っていることで生活保護制度の利用ができない場合があります。この取り扱いは、各市町村によって分かれますが、売却前でも自宅の売却活動をしていることを示すことで申請を受け付けてくれる自治体が多いです。

(2)自己破産

自己破産は、簡単にいうと「財産と債務を清算して債務を帳消しにする手続き」です。

不動産を保有した状態で自己破産の手続きを行うと、多くの場合、自宅は換価処分(現金に換えて清算する)の対象となります。自己破産には、不動産売却と並行して自己破産手続きを行うパターンと、不動産売却の終了後に自己破産をするパターンがあります。

それぞれ手続きの種類が異なり、必要な予納金(手数料)も変わってくるため、専門家と相談しつつ検討することをおすすめします。自己破産は裁判所に申立てをしますが、基本的には自身ではできず、弁護士・司法書士に依頼しなければなりません。

自己破産については、「任意売却後の残債の処理方法・経済的負担を軽減する方法は?」にて解説しておりますのでご参照ください。

(3)障害年金の受給

団体信用生命保険の対象外となった場合でも、労働に支障をきたすほどの障害が残っている場合、障害年金の受給対象となる可能性があります。日常生活にそれほど支障がないケースでも、3級相当に該当するケースでは、障害厚生年金の受給が可能なことがあります。

まずは、担当の医師と年金事務所に相談してみてください。

6.まとめ

当社の初回面談では、現状をお伺いし、これからどのようにしたいのかという希望を確認させていただきます。その上で、経験豊富なスタッフが、ご希望に沿うにはどのような手段を取るべきか、最善の結果となるよう解決策を提案させていただきます。

初回面談時点では、特に用意していただく書類はありません。ご所有の不動産の所在と、住宅ローン残高さえ分かればアドバイスが可能です。相談料やコンサルタント料なども一切かかりませんのでお気軽にご相談ください。

参考サイト

障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患の方も対象です(政府広報オンライン)

生命保険に関するQ&A(公益財団法人生命保険文化センター)

傷病手当金(全国健康保険協会)

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一

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