持ち家ありの場合の老後資金・自宅を活用した資金調達方法は?

老後を迎えるにあたり、老後資金がどの程度必要なのか、またどのように確保するべきか悩まれている方は多いでしょう。自宅を所有している方の中には、自宅を有効活用して老後の資金を調達することを検討している方もいらっしゃるかと思います。

今回は、持ち家を活用して老後資金を調達する方法、老後に安定した生活を送るための資金計画の立て方、老後の資金計画を考える際のポイントなどについて解説します。

1.持ち家ありの場合はどれくらい老後資金が必要?

老後資金の調達について考えるにあたり、まずは老後どのくらいの資金が必要になるのか知っておく必要があります。

持ち家ありの場合、どれくらいの老後資金が必要になるか、老後の生活費や年収などから考えてみましょう。

(1)老後の生活費の平均額

総務省統計局の2023年度の家計調査によると、65歳以上の1カ月の支出の平均は無職単身世帯で145,430円、無職夫婦のみの世帯で252,086円でした。持ち家ありのケースではそこから住居費用を引いた支出額になるため、無職単身世帯で132,866円、無職夫婦のみの世帯で235,436円になります。

あくまでも平均なので生活水準によって異なりますが、価格高騰も相まって支出額は年々増え続けている状況といえます。

参考:総務省統計局「家計調査年報」

(2)老後の収入の平均額

老後の収入に関しても、総務省統計局の2023年度の家計調査から1カ月の平均収入を知ることができます。65歳以上の無職単身世帯で126,905円、無職夫婦のみの世帯で245,242円が平均収入です。

一方で、世帯主が65歳以上でも仕事をしている世帯は平均収入が397,452円と高額になります。

参考:総務省統計局「家計調査年報」

(3)老後必要になる資金の計算方法

老後の生活費と収入の平均について解説してきましたが、ここからは老後必要になる資金を計算してみましょう。

老後資金を把握するには、まずご自身の家計の収入と支出の計算が必要です。そして、1カ月の家計の収入から1カ月の支出額を引き、12カ月を掛けることで1年間に必要な金額から不足している分を把握できます。そこから年数をかければ、今後必要になる資金の目安を割り出せるでしょう。

一般的には、65歳の定年後には1000万円~2000万円は必要になると言われています。

(4)老後は特別な支出も必要になる

老後資金を計算する場合、生活費用以外にも介護費用や葬儀費用など老後にかかると考えられる特別な支出についても考慮しなければなりません。

また、持ち家ありの場合には、修繕費用や老後の生活に向けてバリアフリーにするなどのリフォーム費用もかかる可能性があります。

2.持ち家を活用して老後資金を調達する方法

まずは、持ち家を有効活用して老後資金を調達したいという方に向けて、主な方法を紹介します。

(1)リバースモーゲージを利用する

持ち家を有効活用して老後資金を調達する方法として、近年、多くの人から選ばれているのが、リバースモーゲージを利用した資金調達です。

リバースモーゲージは自宅を担保とする不動産担保ローンの一種で、シニア層を対象とした商品です。死後に不動産を売却して元金を一括返済することを条件に、存命中は金利のみの返済で資金の借り入れが可能です。

自宅を活用して老後資金を得られる方法として魅力的な方法ですが、長生きした場合のリスクには注意が必要です。想定していた以上に長生きした場合、借り入れた資金を使い切り、高齢になってから資金が不足するという事態に陥る可能性があります。

また、利用するには、不動産の立地や、土地・家屋の評価額などに関する条件を満たす必要があります。条件は商品によって異なるので、複数の商品を比較して、自分に合うものを選ぶことが大切です。

(2)自宅を売却してコンパクトな家を購入する

子供たちがすでに独立して広い家を持て余している場合、自宅を売却して、コンパクトなマンションなどに住み替えることを検討してもよいでしょう。

現在暮らしている自宅がファミリー向けの間取りになっている場合、老後の夫婦二人の生活や一人暮らしには広すぎると感じる方も多いです。今より狭い家に住むことにより、固定資産税や毎月の光熱費を安く抑えられる分、老後資金を確保しやすくなります。

この場合は、新居を先に確保するか、売却を先にするかというタイミングを考えることが大切です。売却後に新居を探す場合、新居が見つかるまで一時的に住むための住宅が必要です。一方、新居への引っ越しを先にする場合、新居の購入や引っ越しにかかる費用を用意しておかなければなりません。

経済状況や売却時期などを考慮して、どちらを先にするべきか慎重に判断しましょう。

(3)自宅を売却して賃貸住宅に住む

自宅を売却して、賃貸住宅に住むという選択肢もあります。この場合、自宅の売却時にまとまった資金を得られるでしょう。賃貸住宅は持ち家とは違い毎月の賃料がかかりますが、固定資産税や家の修繕費用はかかりません。経済状況の変化に合わせて柔軟に引っ越しができることも賃貸住宅のメリットです。自宅を売却しておけば、自分の死後に相続人が家の相続を巡って争う心配もありません。

ただし、高齢者の入居を断る賃貸住宅オーナーも一定数存在するということは認識しておきましょう。

(4)自宅を売却して高齢者向け住宅に住む

身体機能の衰えに不安を感じている場合、高齢者向け住宅への住み替えも選択肢の一つです。高齢者向け住宅とは、高齢者に配慮した賃貸住宅のことです。バリアフリー仕様の住宅や、見守りや生活相談・軽度の介護支援などのサービス付きの住宅もあります。老人ホームとは違い、一般的な賃貸住宅のように賃貸借契約を締結して入居します。

サービス付き高齢者向け住宅、シニア向け賃貸住宅など、複数の種類の高齢者向け住宅があるので、検討する際は、付帯サービスの内容をよく確認して、複数の住宅を比較しながら検討しましょう。

(5)親族間売買

実家の相続を希望している子どもがいる場合や、「老後の生活のために住み替えをしたいけれど、今住んでいる家は子どもに譲りたい」という場合は親族間売買を検討するとよいでしょう。親族間売買は、文字通り親族間で不動産売買をすることです。

ただし、親族間売買は住宅ローンの審査に通りにくい、みなし贈与とみなされるおそれがあるなど、注意が必要な点が多いため注意しましょう。親族間売買を検討する場合は、親族間売買の実績を豊富に持つ不動産会社に相談することが大切です。

3.持ち家を活用する以外に老後資金を調達する方法

持ち家を活用して老後資金を調達する方法を紹介しましたが、持ち家を活用する以外の方法も併用して老後資金を調達したいと考える方もいらっしゃるでしょう。

持ち家を活用する以外にできる老後資金の調達方法を紹介します。

(1)支出の見直しをする

根本的なことになりますが、支出を見直すことは非常に大切です。

老後は現役で働いていた頃よりも年収が激減するため、支出が同じようなままでは家計が赤字になってしまいます。無駄な出費をしていないか確認をして、出費を抑える努力をしましょう。

客観的に家計の出費の無駄や出費を抑える方法を知りたい場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談すると、プロの視点から有益なアドバイスをもらえるでしょう。

(2)年金を繰り下げる

年金は65歳から受給することができますが、繰り下げ受給の制度によって65歳以上75歳未満で受給を開始すれば増額した年金を受け取ることができます。

65歳になって年金を受け取らなくても生活に余裕がある場合、年金の繰り下げ受給をすることで生涯の年金を増やすことが可能です。

(3)仕事をする

近年では老後も健康で体力がある場合、仕事をしている方が多いです。定年までに働いていた会社から再雇用されるケースも多く、この場合は同じ職場で収入を得られ続けることができます。

また、定年退職後に別の職場でパートとして働く方や、退職金で事業を新たに始めるという方もいらっしゃいます。仕事をすることで老後の資金も貯蓄として増やすことができますし、社会とのつながりを持ち続けられるなど仕事をすることにはメリットが多いです。

4.老後に安定した生活を送るための資金計画

老後の生活を安心して送るためには、しっかりと資金計画を立てることが大切です。資金計画を立てる手順について説明します。

(1)理想の老後をイメージする

まずは、ご自身にとって理想の老後の生活を具体的にイメージしましょう。理想の生活は人それぞれ違うはずです。高齢になってから後悔しないためにも、ご自身が本当にやりたいことを考えることが大切です。「やりたいことリスト」を作って、以前からやってみたかった習い事や、行きたいと思っていた場所などを書き出してみるのもよいでしょう。

理想の老後の生活をしっかりイメージすることが、充実した老後の生活を送るための出発点となります。

(2)必要な費用を見積もる

理想の老後の生活をイメージできたら、その生活を実現するために必要な費用を見積りましょう。老後の生活費については、現在の生活費をもとに計算するのが一般的です。

生活費、旅行やレジャーなどにかかる費用のほか、必要に応じて医療費、介護費、葬儀費用なども見積もっておきましょう。医療費や介護費は、現在は不要でも将来必要になる可能性があるので、余裕を持って見積もっておくと安心です。

(3)現在の貯蓄と収入、将来得られる収入を把握する

次に、自分が現在持っている資産と、これから得られる予定の収入(年金や仕事からの収入など)をリストアップします。リストアップできたらその結果と老後に必要な資金とを比較して、必要な資金と現状の資産・収入との差を確認します。

(4)資金不足の場合は不足分を補う方法を考える

資金が不足するからという理由で、自分がやりたいことを我慢すると後悔するかもしれません。必要な資金に対して現状の資産や収入が不足している場合は、不足分を補う方法を考えましょう。具体的な方法としては、医療保険や生命保険の見直し、定期預金や投資信託などの適切な資産運用などが考えられます。

資産運用の方法がわからない場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家からアドバイスを受けながら進めてもよいでしょう。

5.老後の資金計画を考える際に大切なポイント

老後の資金計画を考える際に大切なポイントを3つ紹介します。

(1)健康寿命を延ばすための費用を確保する

老後の医療費や介護費は、予想以上に高額になる可能性があります。医療費や介護費用に備えるためには、余裕を持って資金を確保することも大切ですが、健康寿命を延ばすための費用を確保することも大切なポイントです。

健康寿命を延ばすことは、医療費や介護費用を最小限に抑えることにつながります。また、長く健康を維持できれば、趣味や旅行やレジャーなどを存分に楽しむこともできるでしょう。

健康寿命を延ばすための費用としては、定期的な歯科検診の費用、フィットネスクラブなどの会費などが考えられるでしょう。必要に応じた費用を確保しておきましょう。

(2)金融知識を身に付ける

金融知識は、老後の資産を適切に管理し、充実した老後の生活を送るためには欠かせません

まず、貯蓄と投資の基本的な知識が必要です。貯蓄は、将来のためにお金を積み立てることです。例えば、定期預金や積立投資信託などの金融商品を利用して、定期的にお金を貯めていくことが一般的です。投資は、将来の資産を増やすためにリスクを取りながら運用することです。株式や債券、不動産など、さまざまな投資先がありますが、自分のリスク許容度や目標に合った投資先を選ぶことが重要です。

また、リスク管理に関する知識も必要です。投資にはリスクが伴いますが、適切なリスク管理を行うことで、リターンを最大化し、損失を最小限に抑えることができます。具体的なリスク管理の方法としては、ポートフォリオの分散投資やヘッジファンドの活用などがあります。これらの方法を理解し、実践することが大切です。

投資の始め方や金融商品の選び方などがわからない場合は、ファイナンシャルプランナーなどのプロに相談することを検討してもよいでしょう。

(3)リバースモーゲージの利用や住み替えは家族に相談する

リバースモーゲージの利用や住み替えによって老後の資金を確保したい場合、早い段階で家族に相談することが大切です。

現在住んでいる自宅をどうするのか、住み替え先は家族が気軽に会いに行ける立地なのか、保証人を頼む必要があるのかなど、家族に影響することも多いからです。リバースモーゲージを利用する場合は、推定相続人の了承が必要なことも多いです。

住み替えを検討している場合、家族に住み替えの相談をすることにより、二世帯同居や親族間売買などが実現することもあります。すでに家を出て行った子どもにとって、生まれ育った実家は思い出が詰まった大切な場所です。今は遠方で暮らしていても「いつかは実家を相続したい」「生まれ育った実家を残したい」と思っている可能性があるので、実家の処分を考えている場合は必ず事前に相談してください。

6.まとめ

今回は、持ち家を活用して老後資金を調達する方法、老後に安定した生活を送るための資金計画の立て方、老後の資金計画を考える際のポイントなどについて解説しました。

老後資金について考える際は、ご自身にとっての理想の老後の生活をしっかりイメージし、それを実現できるような資金計画を立てることが大切です。持ち家があるなら、持ち家を上手に活用することで、充実した老後の生活を送れる可能性は高いでしょう。

持ち家を活用した資金調達の方法について、どの方法が自分に適しているかわからない場合は専門家に相談することをおすすめします。

当社は、数多くの親族間売買を手掛けてきた不動産会社です。ご相談者様の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な方法をご提案します。

「子どもに実家を譲りたい」「住み替えを検討しているけれど、住宅ローンの残債が多いために売却できない」などというご相談にも対応しています。

こちらでは当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

参考URL:当社の相談から解決までの流れはこちら

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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