みなし贈与とは?家族・親族に不動産を売却する際の注意点を解説

みなし贈与とは?家族・親族に不動産を売却する際の注意点を解説

家族や親族に不動産を売却したい場合は、「みなし贈与」に注意が必要です。みなし贈与と判断された場合、贈与税がかかる可能性があります。

住宅ローンの支払いが困難になったので親へ安く売却してそのまま住みたいと考える方や、相続税の負担を軽減するために生前から不動産を子供へ安く譲りたいと考える方は十分注意しましょう。

今回は、みなし贈与の意味、みなし贈与に該当するケース、家族や親族に不動産売却する場合の注意点などについて解説します。

1.みなし贈与とは?

「みなし贈与」とは、どのようなことを指すのでしょうか。まずは、贈与の意味や、みなし贈与と通常の贈与との違いなどについて説明します。

(1)贈与とは

「贈与」とは、第三者へ自分の財産を無償で与えることを意味します。

例えば、親が子供へ自宅を無償で与えれば、「贈与」を受けたことになります。贈与の対象となる主な財産としては、不動産、金銭、自動車、有価証券などが挙げられます。

贈与を受ければ贈与税が発生しますが、生活費や仕送り、お祝い金など妥当な金額の場合、贈与税はかかりません。ただし、年間110万円を超える財産を受けた場合には、贈与税が発生します。

(2)みなし贈与と贈与の違い

「みなし贈与」とは、贈与とみなされる行為のことです。

双方に贈与だという認識がなくても、実質的には贈与を受けた場合と同じような経済的利益があれば、贈与とみなされます。

みなし贈与に関して法律で明確な基準が設けられているわけではありませんが、相続税法第9条に「対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」と定められています。

2.みなし贈与に注意すべき理由

みなし贈与の場合、当事者が贈与だという認識がないため、贈与税の申告漏れが発生する可能性があります。そうなると、延滞税などが追加で発生することもあるため、注意が必要です。また、当事者がみなし贈与と気付いていなければ、後から高額な税金を支払わなければなりません。

贈与税の税率は、以下のようになっています。

基礎控除後の課税価格
税率 一般贈与 特例贈与
10% 200万円以下 200万円以下
15% 300万円以下 400万円以下
20% 400万円以下 600万円以下
30% 600万円以下 1000万円以下
40% 1000万円以下 1500万円以下
45% 1500万円以下 3000万円以下
50% 3000万円以下 4500万円以下
55% 3000万円超 4500万円超

参照:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

上記の表の一般贈与は、兄弟・夫婦間・親から子供への贈与、子供が未成年者の場合などに該当します。特例贈与は、直系尊属(父母や祖父母など)から18歳以上の子どもや孫への贈与が該当します。

3.みなし贈与になるようなケース

実は、家族や親族間で何気なくやり取りをしている金銭や不動産のやり取りの多くは、みなし贈与になる可能性があります。みなし贈与の判定は税務署によって行われますが、どのような場合にみなし贈与と判定されるのでしょうか。具体的な例を紹介します。

(1)適正価格より安すぎる価格で売買した場合

適正価格よりも著しく安い金額で譲渡をした場合、みなし贈与と判断される可能性があります。例えば、親が5,000万円の不動産を1,000万円で子供に売却した場合、差額の4,000万円がみなし贈与として課税対象になります。不動産だけではなく、美術品や車なども同様です。

著しく安い金額の判断は法律で明確にされていませんが、時価の80%を下回る場合は、著しく低い価額に該当すると判断される可能性が高いです。

(2)借金を免除してもらった場合

親子や親族間でお金の貸し借りをするようなケースもありますが、返済が厳しい場合には身内だからという理由で借金を免除してもらえることもあるかもしれません。しかし、身内であっても返済を免除すれば、みなし贈与に該当します。

例えば、親に1,000万円借りていたが200万円だけで返済が終わった場合、800万円に贈与税がかかる可能性があります。

(3)家族が債務を肩代わりした場合

家族が債務を肩代わりして返済することも、みなし贈与に該当します。例えば、子供が金融機関で住宅ローンを組んでいたものの返済ができなくなった時に、親が残額を返済するなどのケースが考えられます。

債務を肩代わりすることは金銭を贈与することと同じことなので、贈与税の対象になります。

(4)名義を無償で親族に変更した場合

家などの名義を無償で親族に変更すれば、贈与したものとして贈与税の対象になります。

例えば、親が名義の家の評価額が3,000万円であり、子供が対価を支払わずに名義変更で取得すれば、3,000万円の利益を得たことになります。

また、子供が親名義の家の増改築費用を出して増築工事を行った場合、その増改築部分は名義人である親のものになります。そのため、親が増改築費用を支払わなければ、みなし贈与に該当する可能性があります。

(5)共同購入した不動産の持ち分割合と出資額が異なる場合

親子や兄弟姉妹などで不動産を共同購入した場合、持ち分割合と出資額が異なれば、差額分がみなし贈与になります。

例えば、6,000万円の不動産を3,000万円ずつ親子で共同購入した場合、持ち分割合が2分の1ずつならば問題ありません。しかし、親の出資額が5,000万円で子供の出資額が1,000万円だったにも関わらず持分割外が2分の1ずつになっていれば、子供は差額分の4,000万円分の贈与を受けたことになります。

(6)離婚の財産分与で多すぎた場合

離婚時には婚姻生活中に築いた夫婦の財産を分け合う財産分与の手続きを行いますが、財産分与によって得た財産は原則として贈与には該当しません。

しかし、さまざまな事情を考慮しても財産分与で得た財産が多すぎるという場合には、みなし贈与になる可能性があります。

4.贈与税がかからない制度を活用する方法

みなし贈与になるケースはさまざまですが、控除や特例などの制度を活用すれば、贈与税が一定額までかかりません。贈与税がかからない制度を活用する方法について説明します。

(1)生活費は贈与税がかからない

家族や配偶者間であっても無償で財産を与えれば、贈与税が発生します。

しかし、生活費や子供の教育費、親の介護のための費用など、社会通念上で妥当だと認められる内容と金額であれば、贈与税はかかりません

ただし、一括で高額な贈与を受ければ、贈与税の対象になるので注意が必要です。

(2)非課税枠を活用する

贈与税には、いくつかの非課税枠が存在します。非課税枠を活用すれば、贈与税が発生しないようにできる可能性があります。

具体的な非課税枠の制度と非課税になる金額は、以下の通りです。

  • 基礎控除:110万円まで
  • 相続時精算課税制度:一時的に2,500万円まで
  • 住宅取得資金等の贈与:最大1,200万円まで
  • 贈与税の配偶者控除:2,000万円まで
  • 教育資金の一括贈与:1,500万円まで
  • 結婚・子育て資金の一括贈与:1,000万円まで
  • 特定障害者への贈与:最大6,000万円まで

上記のような制度を利用すればみなし贈与を避けられる可能性がありますが、自分では判断が難しいというケースもあるでしょう。判断が難しい場合には、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

5.家族や親族に不動産売却する場合の注意点

みなし贈与が起こりやすい例として、家族や親族間での不動産売却が挙げられます。

住宅ローンや相続など、さまざまな事情で身内へ不動産売却をすることもあるでしょう。

しかし、家族や親族に不動産売却をする際には、みなし贈与やトラブルが起きないように以下の点に注意することが大切です。

(1)適正価格をしっかり調べる

親族間での不動産売却でみなし贈与になるのは、適正価格よりも著しく低額で売買した場合です。つまり、適正価格で売買していれば贈与とみなされないということです。そのため、みなし贈与を回避するには、まず適正価格を調べることから始めることが大切です。適正価格を調べるためには、複数の不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。

自分で周辺エリアの価格から調べることもできますが、間取りや築年数、面積などを考慮して適正な価格を判断することは難しいです。不動産会社へ査定を依頼しても担当者の判断などで価格に差が生じることもあるため、複数社を比較すると適正な価格を把握しやすいでしょう。

(2)口約束で契約しない

身内で不動産取引をする場合、口約束だけで契約してしまうケースも少なくありません。

しかし、口約束だけでは「言った・言わない」のトラブルが起きる可能性があります。

また、みなし贈与の疑いをかけられ場合に、口約束では客観的に証明できる書面などがありません。不動産取引は金額が大きなものになるため、身内同士の売買の際でも必ず契約書を作成するようにしましょう。

(3)不動産業者に仲介を依頼する

身内同士の不動産売買は当事者だけで済ませることも多いですが、不動産業者に仲介を依頼することをおすすめします。不動産業者が仲介に入ると仲介料は発生しますが、売買取引におけるトラブルの予防につながります。査定を受ければ適正価格を把握できますし、契約書も不備なく準備してもらうことが可能です。

当事者だけで契約書を作成すれば法的に不備のある契約になる可能性があるため、契約書の作成は不動産業者に任せるべきといえます。

まとめ

身内で不動産などを売買する際には、適正な価格で売却するよう注意しなければなりません。身内だからといって価格設定を低くしすぎてしまえば、みなし贈与が成立する可能性があります。

特に不動産は取引価格が高額になるため、みなし贈与が成立すれば支払う税金も高額になってしまいます。みなし贈与を回避するためには、適正価格で売却するようにしましょう。適正価格がわからない場合は、不動産業者に相談しましょう。

当社は、数多くの親族間売買を手掛けてきた住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。「みなし贈与とみなされないための適正価格を知りたい」「親族間売買で住宅ローンを利用できる金融機関が見つからない」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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