住宅ローンの返済が厳しい際の「返済プランの見直し」や「再編」は可能なのか?

住宅ローンの返済が厳しい際の「返済プランの見直し」や「再編」は可能なのか?

住宅ローンの返済が厳しい際にまず検討することは、返済プランの見直しや再編です。

「転職して給料が少なくなった」「離婚で収入が減ってしまった」など住宅ローンを組んだ時には予想していなかったことが発生し、住宅ローンの返済が厳しくなることは誰にでも起こり得ます。

また、将来的に住宅ローンの返済が苦しくなるのではないかと不安になっている方もいるでしょう。

ここでは、住宅ローンの返済プランの見直しや再編について詳しく解説します。

1.住宅ローンの返済プランの見直しや再編は可能か?

住宅ローンの返済が厳しいからといって滞納してしまうと、自宅はいずれ競売にかけられてしまいます。

住宅ローンの返済プランの見直しや再編ができれば毎月の支払負担が軽減されるため、生活の立て直しができるでしょう。

住宅ローンの返済プランの見直しや再編は可能なのでしょうか?

(1)住宅ローンが払えない人は多い

フラット35を取り扱う住宅金融支援機構の調べによると、住宅ローンの借入時に比べると現在の負担が大きくなったと感じる人が3割にも及ぶことが分かっています。

その理由は、物価の上昇や収入の変化、想定外の支出などさまざまです。

実際にリスク債権管理の割合は約3%となっており、100人のうち3人以上の人が住宅ローンを滞納しているとされています。

20204年10月より変動金利の見直しによる金利上昇が始まり、今後はさらに住宅ローンの返済が困難になる人が増えることが予想されます。

参考:住宅金融支援機構

(2)住宅ローンはリスケジュールできる

住宅ローンの返済が厳しくなった際には、借入をしている金融機関へ相談することで住宅ローンの返済プランの見直しや再編をすることが可能です。

このことを「リスケジュール」と呼びます。

リスケジュールで住宅ローンの返済が免除されることや、総返済額が減額されることはありません。

しかし、返済プランを見直すことや再編することで、毎月の返済負担を軽減することができます。

ケガや病気、転職、離婚など一時的に収支に変動があった場合、リスケジュールは大きなサポートになるといえます。

2.住宅ローンの返済プランの見直しや再編でできること

リスケジュールには、複数の方法があります。

ご自身の状況に合った住宅ローンの返済プランの見直しや再編を選ぶことが大切です。

金融機関によって対応は異なりますが、主に5つの方法があります。

(1)返済期間の延長

住宅ローンの契約時のスケジュールよりも返済期間を延長することで、毎月の返済額を軽減します。

例えば、20年で完済するという契約だったものを、リスケジュールによって30年や40年という期間延長が可能になります。

住宅ローンは返済期間が延びるほど、毎月の返済額は少なくなります。

ただし、返済期間が延びると利息が発生する期間も長くなるため、総返済額は高くなるので注意が必要です。

また、完済時の年齢が80歳を超えない範囲内での延長に限られていることが一般的です。

(2)一定期間の返済額の減額

病気やケガ、転職などで一時的に収入が減少する場合もあるでしょう。

そうした場合には、収入が減少してしまう期間のみ返済を減額するという方法があります。

例えば、ケガや病気の入通院で収入が半年間ほど減少した場合、その半年間の返済額を収入の減額率に合わせて減らすというものです。

ただし、一定期間が過ぎると返済額は増え、減額した分を支払っていかなくてはなりません。

そのため、返済期間の延長や返済総額の増額が起こることを知っておきましょう。

(3)一時的な利息分だけの返済

元金を据え置き、一時的に利息分だけを返済するという方法もあります。

住宅ローンの毎月の返済額には、借入れた金額である元金と利息分が含まれています。

この元金の部分を一時的に返済に猶予をもたせ、利息分だけを返済する方法です。

一時的に利息分だけを返済することになれば、返済負担は大幅に軽減されます。

ただし、将来的には返済が必要になり、猶予期間を長く持たせるほど総返済額は高額になるので注意しましょう。

(4)ボーナス返済の見直し

ボーナス返済を設定したものの、ボーナスの減額や支給中止によってボーナス返済が苦しくなるようなこともあるでしょう。

こうした場合には、ボーナス返済の中止や見直しが可能です。

ボーナス返済の中止や見直しを行った分の返済額は、毎月の返済額を増やすことで調整します。

(5)前倒し返済や増額など

住宅ローンの前倒し返済や毎月の返済額の増額などにより、将来的な返済負担を軽減するという方法もあります。

住宅ローンの前倒し返済は、元金の一部もしくは全てを予定よりも前倒しで返済する方法です。

繰上げ返済をすれば、将来支払う予定だった金利を節約することができ、総返済額が軽減されます。

また、家計に余裕がある場合には、毎月の返済額を増額させることができます。

3.返済プランの見直しや再編をするメリット

住宅ローンの返済プランの見直しや再編をすることで、住宅ローンの返済負担が軽減されるなどのメリットがあります。

返済プランの見直しや再編をするメリットについて、具体的にみていきましょう。

(1)返済負担を軽減できる

住宅ローンの返済プランの見直しや再編を行う最大のメリットは、返済負担を軽減できるという点です。

現時点で住宅ローンの返済が厳しくなっている場合、このまま放置すれば返済できずに滞納することになり、最終的には自宅を競売にかけられてしまうかもしれません。

その時の状況に応じた住宅ローンの返済プランの見直しや再編を行えば、返済の負担が軽減されます。

毎月の負担が軽減されれば、その間に収支の見直しなどを行なうことで、生活を立て直せる可能性があります。

また、現時点では住宅ローンを返済できていても、金利の上昇など経済が変わることで将来的に返済が困難になることも考えられるでしょう。

こうした場合には、返済に余裕のある今のうちに返済額の増額や前倒し返済しておき、将来に備えることができます。

(2)一時的な支出をカバーできる

住宅ローンの返済プランの見直しや再編は、一時的な支出をカバーするために利用されることが多いです。

例えば、「ケガで一時的に仕事を休職することになった」「子供が私立高校へ行くことになって入学費用がかかる」など、家計の負担が一時的に増えるようなケースではリスケジュールが役立ちます。

一時的な支出の増加で収入や支出が近い将来に戻るケースならば、リスケジュールをしても再び返済することができるでしょう。

4.返済プランの見直しや再編をするデメリット

住宅ローンの返済プランの見直しや再編をすることはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。

デメリットについても理解した上で、リスケジュールの活用について検討しましょう。

(1)返済総額が増える

住宅ローンの返済プランの見直しや再編をすれば、結果的に返済総額が増えるケースが多いです。

変更するプラン内容によって異なりますが、返済期間が長くなれば金利が増えるため、返済総額が増えます。

毎月の返済負担が軽減されても、返済総額が増えることはデメリットといえます。

また、返済期間が長くなれば、将来的な負担も大きくなることが考えられます。

高齢になって収入が減ってからも返済が続くようなプランにすると、年を取ってから再び返済が困難になるかもしれません。

定年退職後は年金生活や再雇用になりますが、収入は減少することが一般的です。

返済期間が延びても返済を続けられるのか、ライフプランも含めて検討しましょう。

(2)再審査が必要になる

住宅ローンの返済プランの見直しや再編をするには、再び審査が必要です。

再審査では、これまでの返済履歴が確認されるため、滞納など信用情報に問題があると審査が通りにくくなります。

住宅ローンの返済の滞納だけではなく、クレジットカードや他の借入れの滞納・遅延なども信用情報には含まれます。

また、転職をして勤続年数が短い場合や、収入が減少している場合も、再審査に影響する可能性があります。

金融機関の審査では、返済能力があると判断されなければなりません。

住宅ローンの返済プランの見直しや再編が適しているようなケースでも、再審査を通過できるとは限らないので注意が必要です。

(3)根本的な解決にはならない

住宅ローンの支払いが現時点で困難になっている場合、住宅ローンの返済プランの見直しや再編をしても根本的な解決にはならない可能性があります。

毎月の返済額を減らすことはできても、長く住宅ローンの返済は続きます。

一時的に支出があって困っている場合や、短期的に収入が減少しているだけですぐに収入が戻るという場合ならば問題ないでしょう。

しかし、収支が変わらないのであれば、総返済額が増えることで将来的に再び返済が困難になる可能性があります。

根本的な解決にならないような場合は、他の解決方法を検討すべきです。

5.返済プランの見直しや再編ができないケース

住宅ローンの返済プランの見直しや再編は、誰でもできるというわけではありません。

金融機関に相談しても、認められない場合もあります。

次のようなケースでは、返済プランの見直しや再編ができない可能性が高いでしょう。

(1)リスケジュールをしても返済が難しい

リスケジュールをしても将来的に返済が難しいと判断されるようなケースでは、断られてしまう可能性が高いです。

「リストラにあって再就職が年齢的に難しい」「病気が長引いて治る見込みがたっていない」など、返済の目途がたたないような状況では、返済能力がないと判断されます。

リスケジュールを成功させるには、近い将来に収入が増加して返済できるという目処が必要です。

将来的に収入が増加するかどうか分からない場合や、収入を増やすことができない場合には、リスケジュールは向いていないといえるでしょう。

(2)すでに滞納している

すでに住宅ローンの返済を滞納している場合、住宅ローンの返済プランの見直しや再編を相談できない可能性があります。

住宅ローンだけに限った話ではありませんが、金融機関で借り入れをする際には信用が重要視されます。

すでに滞納している状態では信用が損なわれており、リスケジュールをしても再び滞納するのではないかと金融機関は考えます。

そのため、住宅ローンの返済プランの見直しや再編をしたい場合には、滞納をする前に相談すべきです。

すでに滞納をしている場合でも、滞納3カ月目よりも前ならば相談に乗ってもらえる可能性があるので、早急に金融機関へ連絡を取りましょう。

6.返済プラン変更が難しい場合の別の解決方法

住宅ローンの返済プラン変更や再編が難しいからといって滞納を続ければ、自宅は競売にかけられてしまいます。

返済プラン変更や再編が難しい場合には、別の解決方法を検討しばければなりません。

リスケジュールできない場合の解決方法には、次のような方法が挙げられます。

(1)借り換えローン

借り換えローンとは、借入している金融機関とは別の金融機関で新たに住宅ローンを組み直す方法です。

借入している金融機関の住宅ローンは一括返済されることになり、新たな金融機関で分割返済を行っていきます。

借り換えローンは、現在借り入れしている金融機関よりも低い金利の住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額や利息を減らせるというメリットがあります。

ただし、借り換えローンを利用するには、一定の要件を満たさなければなりません。

金融機関によって条件は異なりますが、以下の条件を掲げる金融機関が多いです。

  • 現在借り入れしている住宅ローンと借り換え先の金利差が年1%以上ある
  • 借入残高が1000万円以上
  • 残りの返済期間10年以上

また、借り換えローンを利用するには手数料が発生するため、手数料を支払っても得になるようなケースに適しているといえます。

(2)任意売却

リスケジュールをしても将来的に住宅ローンの返済が困難になりそうな場合には、家を売却することを検討しましょう。

売却額が住宅ローン残額を上回るアンダーローンの場合は通常通りの売却ができますが、売却額が住宅ローン残額を下回るオーバーローンの場合は任意売却という売却方法になります。

任意売却では、借入している金融機関に売却する許可を得て売却活動を行い、売却額で住宅ローンを返済します。

そして、残った住宅ローンは生活に支障をきたさない範囲での分割などの方法で返済していきます。

任意売却は通常の不動産売却とは異なり、専門的な知識が必要です。

任意売却を相談する場合は、任意売却の実績や経験が豊富な不動産会社を選びましょう。

まとめ

住宅ローンの返済が厳しい場合には、返済プランの見直しや再編によって返済負担が軽減されます。

返済の前倒しや増額の場合は将来的な返済負担が軽減されますが、一時的な返済額の減額などは根本的な解決にならない可能性があります。

現時点で住宅ローンの返済が厳しく、将来的な返済の目途が立っていない場合には、任意売却も検討してみてください。

まずは一人で悩まずに、借入している金融機関や、任意売却に精通する不動産屋に相談してみましょう。

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一

「払えない」「住み続けたい」今すぐご連絡ください! 任意売却・リースバックの無料相談はこちら

0120-279-281
24時間受付 メールでのご相談はこちら