老後破産の原因は?破産しないための対策も解説

老後破産の原因は?破産しないための対策も解説

老後は年金生活になりますが、生活が厳しくなって「老後破産」状態に陥ってしまうケースも少なくありません。老後破産を避けるためには、老後破産の原因を知り、老後破産に陥らないために早めに対策を練ることが大切です。

この記事では、老後破産の原因や対策について解説します。

1.老後破産する人は多い?

近年耳にすることが増えてきた「老後破産」ですが、具体的にどのようなものなのでしょうか。老後破産の定義や、老後破産の現状についてみていきましょう。

(1)老後破産とは

老後破産は、老後に生活が苦しくなってしまい、破産手続きをすることや破産手続を検討することです。

一般的に「破産」とは、財産を失うことを意味します。法律的には、返済できない債務を抱える債務者の財産などを清算し、生活の再生を図るための法的手続きを指します。

(2)老後破産の現状

日本弁護士連合会の2020年度の調査によると、破産者の多い年代は30代~50代です。60代~70代以上の割合は全体から見ると少ないものの、年々増えていることが分かります。特に70歳以上は2002年の調査では2.73%でしたが、2020年の調査で9.35%と大幅に増加しています。

破産手続をするのは若い世代だけではなく、定年退職を迎える60代から70歳以上にも多く、少子高齢化が進むことで今後も増えることが予想されます。

参考:日本弁護士連合会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」

2.なぜ老後破産が起きるのか?老後破産の原因

老後破産は実際に増加傾向にありますが、なぜ老後破産は起きてしまうのでしょうか。

老後破産を招く主な原因として、以下のようなことが挙げられます。

(1)収支のバランスが悪くなる

老後破産に限らず、破産手続をする人の理由に最も多いものは、「生活苦・低所得」です。

特に定年退職をした後、収入が年金のみになれば、貯蓄を切り崩しながらの生活になります。

年金という収入はあるものの、受給額は決して多くはありません。予想していたよりも年金受給額が少なく、収支バランスが悪化して生活苦に陥るケースは多いです。

また、年金生活になった後も現役で働いていた頃の生活水準を維持していれば、収支バランスが崩れる原因になります。

(2)住宅の費用がかさむ

住まいにかかる費用も老後破産を引き起こす要因になることが多いです。

自宅を購入した時には返済できると考えて住宅ローンの契約をしますが、住宅ローンの返済期間は非常に長いです。その間に転職やリストラ、減給など予期せぬことが起きて、収入が減少することで返済が苦しくなるケースも少なくありません。そうなると、住宅ローンの返済負担が大きいことで貯蓄ができないまま老後を迎えることになります。

借入れの時点で、老後も返済を続けなければならないような返済計画にしているケースもあるでしょう。また、戸建て住宅を購入している場合、長く住むほど自宅の修繕や改装が必要になります。自宅を維持するための費用で生活が圧迫され、老後破産に陥ることも多いです。

(3)医療費や介護費の増加

加齢に伴い、予期せぬ病気や怪我は増えます。医療費の窓口負担は70歳以降になれば軽減されますが、病気や怪我が増えるので医療費の負担額は大きくなります。手術や入院が必要になれば、より高額な医療費を負担しなければなりません。

また、高齢になれば介護が必要になる可能性もあります。介護保険や自治体のサービスなども利用できますが、自己負担が必要な部分もあるので介護費用負担は生活を圧迫することになるでしょう。

老後の医療費や介護費は事前に予測することが難しい支出なので、老後破産を招く原因のひとつになります。

(4)離婚

「熟年離婚」という言葉が広まっているように、熟年夫婦の離婚は増加しています。

離婚をすれば、これまで夫婦で築いてきた財産は分配され、受給できる年金も一人分になります。そうなると、夫婦二人分の資産や年金で生活していた場合、収入と資産が減少することで生活が苦しくなることが考えられます。

離婚後の新しい生活準備などの出費も痛手になり、老後破産を招く原因になるでしょう。

3.老後破産しやすい人の特徴

老後破産しやすい人には、共通した特徴があります。

将来的な老後破産を避けるためにも、自身が老後破産しやすい人の特徴に当てはまっていないか確認してみましょう。

(1)住宅ローンの返済が老後まで続いている

給与は50歳頃から減給されていくことが多く、住宅ローンの支払いは高齢になるにつれて負担が大きくなります。老後資金の貯蓄ができないまま定年を迎え、住宅ローンの返済が残っていれば、残していた僅かな資産と年金から支払うことになります。退職金で住宅ローンを支払おうと考えている場合も、退職金で住宅ローンを支払えば老後の貯蓄が少ないため、破産が起きやすいです。

定年後も同じ職場や他の仕事で再就職する方もいますが、給料は激減するので住宅ローンを払い続けることは簡単ではありません。住宅ローンは定年退職までに払い終えられるように組むことが大切です。

(2)生活水準を変えられない

定年退職をして年金生活が始まれば、収入は大幅に減少します。収入が減少したにも関わらず、現役で働いていた頃の生活水準のまま暮らしていれば、貯蓄はどんどん減少してしまいます。年金だけで賄えなくなれば、老後破産を招くことになるでしょう。

現役で働いていた時と同じような出費を続け、生活水準を変えたくないと考える人は老後破産しやすいので注意が必要です。

(3)老後の貯蓄がない

老後は収入が減少することを踏まえ、働ける年齢の間から貯蓄をしておくことは大切です。

しかし、無理な住宅ローンを組んだり、収支バランスの悪い生活を続けたりしていると、老後のための貯蓄をすることができません。老後の貯蓄がなければ年金だけで生活することは難しく、老後破産に陥るリスクが高まります。

子供の教育や自分の趣味にお金をかけすぎている方、退職金で事業を始めようとしている方は特に注意が必要といえるでしょう。

(4)想定外の出費が発生した

長く生きていれば、何らかのトラブルや問題が起きて想定外の出費が発生することはあります。大きな病気や怪我をした場合は、治療のために高額な医療費を負担しなければなりません。交通事故を起こしてしまい、被害者へ慰謝料を支払わなければならないような事態が起きることもあるでしょう。

また、高齢になると詐欺や悪徳商法の被害に遭い、これまで築いた資産を失うようなケースもあります。想定外の出費が発生したことで老後破産に陥ることもあるため、生活費だけではなく貯蓄が多いほど安心できるといえます。

4.老後破産すると起きること

老後破産の原因や老後破産しやすい人の特徴などを解説してきましたが、実際に老後破産するとどのようなことが起きるのでしょうか。

(1)自宅を失う

債務過多で返済が難しくなって老後に破産手続をする場合、自宅を失うこともあります。

法的な破産手続には「自己破産」と「個人再生」の2種類があります。自己破産は債務を全て免除してもらえる代わりに、所有する自宅や車などの資産を清算しなければなりません。個人再生なら住宅ローン特則という制度を利用することにより自宅を維持できますが、老後で収入が減少している状況では減額された債務の返済も厳しいと考えられるため、自己破産手続しか選択できない可能性があります。

(2)生活の立て直しが難しい

破産手続をすれば債務の減額や免除により、債務の返済に悩まされることはなくなります。しかし、そこから生活の立て直しをすることは簡単ではありません。まず、債務整理によって自宅などの資産を失っている中で、新たな生活拠点を探す必要があります。年齢が高齢になるほど新しい仕事を探すことも難しく、年金で生活を立て直すことになるでしょう。

日常の生活も年金だけでは十分とはいえないため、生活は再び苦しくなる可能性があります。

5.老後破産を避けるための対策

老後破産をすれば自宅を失い、生活の立て直しが難しくなるなどのリスクがあります。老後破産を避けるためには早い段階から対策を立てておくことが重要です。

(1)支出を見直す

現役で働いて収入があるので支出は気にしないという方もいらっしゃるかもしれませんが、支出の見直しは定期的に行いましょう。老後の貯蓄をするために無駄な出費を抑え、少しでも貯蓄に回せるお金を増やすことが大切です。

また、定年後にいきなり生活水準を変えることは難しい人も多いため、できるだけ早い段階から節約なども取り入れて、老後の収入に合わせた生活水準に慣れる準備をしておくとよいでしょう。

(2)老後資金の貯蓄をする

年金や退職金に頼って貯蓄をしないことは危険です。退職金は減額されてしまう可能性がありますし、年金も予想よりも少ないと感じるかもしれません。

また、予想外の出費によって貯蓄を崩さなければならない事態に陥ることもあります。老後資金に不安を覚えないように、少しでも早い段階から貯蓄を増やしていくようにしましょう。

(3)住宅ローンを早めに返済する

住宅ローンの返済は、長引くほど生活を圧迫する原因になりやすいです。50歳を過ぎて給料が減少しても住宅ローンの返済があれば、老後のための貯蓄はなかなかできないでしょう。

年金生活が始まった後も住宅ローンを支払っていれば、生活費が圧迫されていくことで老後破産に陥る可能性があります。住宅ローンは早めに返済できるように、無理のない借入れをすることが大切です。返済が難しいと感じる場合には、早めに売却することも視野に入れましょう。

(4)債務の返済が難しい場合は早めに相談する

債務の返済が難しい場合は、なるべく早めに専門家に相談しましょう。経験豊富な専門家に相談すれば、状況に応じた適切な方法を提案してもらえます。

債務の返済が滞ってから考えるのではなく、早い段階で積極的に行動することで、生活を立て直しやすくなります。

まとめ

この記事では、老後破産の原因や対策について解説しました。

老後破産を避けるためには、早めにしっかりと将来設計を立てて必要に応じて対策を講じることが大切です。

住宅ローンが老後まで続くことは老後破産を招く原因になりやすいため、住宅ローンの返済期間が長い人や、現時点でも住宅ローンの負担が大きい人は、専門家にアドバイスを受けながら対策を講じることをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。多数の解決実績に基づくノウハウで、相談者様の状況やご希望に適した解決策をご提案させていただきます。

「競売だけは回避したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

「払えない」「住み続けたい」今すぐご連絡ください! 任意売却・リースバックの無料相談はこちら

0120-279-281
24時間受付 メールでのご相談はこちら