リースバックの家賃相場や売却価格・買取価格の相場は?

リースバックの家賃相場や売却価格・買取価格の相場は?

リースバックで自宅を売却した後も住み続けることを検討している方の中には、売却時の価格や家賃はどのように設定されるのか、相場はどの程度なのか知りたいという方は多いのではないでしょうか。

この記事では、リースバックの売却家賃と家賃の相場、家賃を安く抑える方法、買い戻す場合の買取価格の相場などについて解説します。

1.リースバックとは

リースバックは、家を売却した後、新たな所有者と賃貸借契約を結び、家に住み続ける方法です。

(1)リースバックのメリット

通常、家を売却した場合、売却した家に住み続けることはできませんが、リースバックなら、売却後も引っ越すことなく、そのまま同じ家に住み続けることが可能です。家を売却してまとまった現金を得たいけれど、しばらくは今の家に住み続けたいという場合に有効な方法です。

基本的にリースバックをすれば、住宅の維持費などは買主が負担します。そのため、家の維持管理費用の負担が軽減されることもメリットといえます。

また、将来的に家を買い戻すこともできるため、思い出が詰まった家を手放したくない場合もリースバックはメリットが大きいといえます。

(2)リースバックのデメリット

リースバックのデメリットとして、売却時の価格が通常の不動産売却よりも安く設定される傾向にあることが挙げられます。また、買い戻す際には売却金額よりも高額になることが多いため、買い戻す場合に損をする可能性が高いこともデメリットといえます。

また、賃貸仮契約の内容によっては、契約期間終了後には退去しなければならないという点にも注意が必要です。

2.リースバックの売却価格と家賃の相場

リースバックで自宅を売却する際の売却価格の相場や、その後、毎月支払う家賃の相場はどの程度なのでしょうか。リースバックで家を売却する際の売却価格と家賃の相場や、売却価格と家賃の関係について説明します。

(1)リースバックで自宅を売却する場合の売却価格の相場

リースバックで自宅を売却する際は、一般的な不動産市場の売却価格の6割~8割程度が相場といわれています。ただし、物件や不動産会社などによって実際の価格は異なります。

近年、リースバック物件は不動産投資家の間で注目されています。投資家側からみると、入居者を募集する手間が省ける、購入した当初から家賃収入を得られるという魅力があるからです。

そのため、投資物件として魅力がある物件であれば、相場より高い価格で購入してもらえる可能性があります。特に、都心部などで将来、地価が上がる可能性が高いエリアの築浅物件などは、相場より高い価格で購入してもらえる可能性が高いでしょう。逆に、過疎地域などの不便なエリアの築古物件は、相場よりも低い価格を提示される可能性があります。

(2)リースバックの家賃の相場

不動産投資家が家を購入した場合、投資の収益を考慮した積算法と呼ばれる計算法により家賃が設定されることが一般的です。周辺の賃貸物件の家賃相場を基準に家賃を設定することはないので、リースバックの家賃は、周辺の賃貸物件の家賃相場より高い傾向にあります。

積算法は、投資物件の買取価格に、期待利回りを掛けて、その値を1年間(12カ月)で割って家賃を算出する方法で、計算式は以下のとおりです。

毎月の家賃 = 家の売却価格 × 期待利回り ÷ 12カ月

自宅を2,000万円で売却した場合、上記の計算式で期待利回りを7%として毎月の家賃を計算すると約11万6千円(2,000万円 × 7% ÷ 12)になります。

しかし、自宅を2,500万円で売却した場合、同じ利回り7%で計算すると、毎月の家賃は約14万5千円(2,500万円 × 7% ÷ 12)となり、2,000万円で売却した場合よりも約3万円高くなります。

つまり、自宅を高い金額で売却すると、その分、毎月の家賃の負担が増えるということです。

3.リースバックの賃料が高い理由

リースバックの賃料が周辺物件の家賃相場よりも高いのは、積算法により家賃が設定されることが主な要因ですが、それ以外にも以下のような理由があります。

(1)物件を自由に売買できないため

リースバックで買い取った物件を自由に売買することはできません。また、売主と買主で賃貸契約を結ぶことになるため、買主にとっては売主にしか賃貸できないという制限があります。

このように買主にとって制限があることも賃料が高い要因の一つといえます。

(2)周辺物件と競合していないから

通常、賃料は周辺の物件と競合になるため、周辺地域の相場をもとにして賃料が決められます。しかし、リースバックの場合は、元所有者である借主にとって、元の自宅に住み続けること自体に価値があります。賃料が周辺の家賃相場より高くても支払うことが想定されるので、周辺の相場に関係なく賃料が設定されます。

4.リースバックの家賃を安く抑える方法

家賃は毎月の固定費の中でも大きなウエイトを占めるので、できる限り安く抑えたいという方も多いでしょう。リースバックの家賃を抑える方法について説明します。

(1)住む期間が決まっているなら定期借家契約にする

不動産の賃貸契約には、以下の2つの種類があります。

  • 普通借家契約:1年以上の賃貸借期間を定め、契約期間満了後も更新を続ける契約
  • 定期借家契約:2年程度の賃貸借期間を定め、契約期間満了後は原則として更新しない契約

通常、普通借家契約よりも定期借家契約の方が家賃は安く設定されるので、住む期間が決まっている場合は、定期借家契約にすることをおすすめします。

「住宅ローンの支払いが困難になり、自宅を売却することになったが、子どもが今の学校を卒業するまではこの家に住み続けたい」「新しい家を建築中なので、その家が完成するまでは今の家に住みたい」などという場合は、定期借家契約を選びましょう。

(2)リースバックの実績が豊富な不動産会社を選ぶ

リースバックの実績を豊富に持つ不動産会社は、優良なリースバック会社と提携していることがあります。優良なリースバック会社経由で自宅を購入してもらえば、相場より高い価格で売却でき、かつ家賃も良心的な金額に設定してもらえる可能性があります。

リースバックの依頼先を選ぶ際は、公式サイトなどでリースバックの実績を確認し、慎重に選ぶことが大切です。

5.リースバックを行う際は価格相場を確認すること

リースバックを行う際は、一般的な不動産市場における自宅の売却価格の相場を確認しておくことが大切です。リースバックは自宅を売却した後も、そのまま住み続けたい方にとって、理想的な方法のように思えますが、実際はさまざまなトラブルが報告されています。

国土交通省が公開している『住宅のリースバックに関するガイドブック』には、市場での取引価格より著しく定額な代金で売却したというトラブル事例が掲載されていました。この事例では、リースバック事業者から提示された700万円で自宅を売却した後に、一般的な不動産市場での取引価格は1億円以上であったことが判明したそうです。

ここまで極端に相場とかけ離れた価格を提示されることは少ないかもしれませんが、リースバック事業者から提示された価格をそのまま受け入れると経済的な損失を被る可能性があります。必ず不動産会社の査定を利用して、相場を調べておきましょう。査定の価格は不動産会社によって異なるので、複数社から査定を受けることをおすすめします。

6.価格相場以外に確認するべきポイント

リースバックを行う際は、自宅の売却価格の相場以外にも確認するべきポイントがあります。特に重要なポイントについて説明します

(1)家賃を無理なく支払い続けられるか確認

リースバックのトラブルで多いのが、賃貸契約の期間中に家賃の支払いが困難な状況に陥ることです。

リースバック契約を行う際に家賃の設定をしますが、前述したとおり周辺の家賃相場より高く設定されるケースが多いので、毎月の家賃を無理なく支払えるか確認することは重要です。

(2)希望する期間住み続けることができるか確認

リースバック契約を結ぶ際は、本当に希望する期間住み続けることができるかどうかを確認することも大切なポイントです。特に、今の家に長く住み続けたい場合は、必ず確認してください。

リースバックの賃貸契約は、契約期間を2年または3年とし、更新を行わない定期借家契約であることも多いです。定期借家契約であることを知らずに契約を締結し、契約期間満了後に退去を迫られるなどという事態を避けるためにも、契約の種類と契約期間をしっかり確認しましょう。

(3)一般の不動産市場で売却した場合と比較

リースバックを検討する際は、一般の不動産市場で自宅を売却して賃貸住宅に引っ越す場合と、リースバック契約をして今の家に住み続ける場合に、どの程度の経済的な差が生じるかを確認することをおすすめします。

「今の家から引っ越したくない」という理由でリースバックを選択する方は多いですが、周辺の家賃相場よりも高い家賃を設定されていることから、長期間にわたり家賃を払い続けると、経済的に不利な状況に陥る可能性があります。

状況によっては、一般市場で自宅を売却して、家賃の安い賃貸物件を探した方が、経済的に有利な場合もあります。売却価格や家賃の金額差を慎重に考慮した上で、判断することが大切です。

(4)修繕費用の負担を確認

賃貸の際に、修繕費用が借主と貸主のどちらの負担になるか、事前にチェックしておきましょう。通常、賃貸契約では、物件の修繕は貸主が行いますが、リースバックでは借主負担で行う場合があります。

自宅の経年に伴う配管や外壁の修繕は、大きな経済的負担となることもあるので注意が必要です。

(5)将来買い戻したい場合は確実に買い戻せるか確認

リースバックを利用する方の中には、将来、買い戻すことを希望されている方もいらっしゃるでしょう。その場合は、確実に買い戻せるように、契約書に「再売買の予約」に関する条項が含まれているか確認しておきましょう。「再売買の予約」とは、売却した不動産を再び買い戻すための予約のことです。

契約書に「再売買の予約」が含まれていないと、実際に買い戻したいときに買い戻せなくなる可能性があります。買戻しが可能な期間と買戻し価格についても、当事者間で合意したうえで契約書に明記しておきましょう。

7.リースバック後、家を買い戻す場合の価格相場

将来、家を買い戻す場合の価格の相場は、売却価格よりも2割程度高くなることが多いです。

「家賃を払い続けてきたのに、売却価格を上回る金額を払わないと買い戻せないのはおかしい」と思われるかもしれませんが、買主である不動産会社や投資家にとって、リースバック物件を購入することは不動産投資の一環です。

不動産投資では、不動産を所有している間に得られる家賃収入(インカムゲイン)も重要ですが、売却時に得られる売却益(キャピタルゲイン)も重視されることが多いです。売却益を得るためには、売却価格よりも高い価格で売却する必要があるので、ほとんどの場合は売却価格よりも高くなるのです。

8.住宅ローンが残っている場合のリースバック以外の売却方法

住宅ローンの返済が難しい場合には、リースバック以外にも以下のような対処法があります。

(1)親族間売買

親族間売買とは、名前の通りに親族間で家を売買する方法です。
親族が買手になるため、通常の売却よりも売却の条件や価格設定に柔軟性を持たせられる点に魅力があります。リースバックと同様に親族に買い取ってもらい、そのまま自宅に住み続けることもできるでしょう。

ただし、みなし贈与など税金に関するリスクがあるため注意が必要です。

(2)個人再生

住宅ローン以外にも借金があり、自宅に住み続けながら返済負担を軽減したい場合には個人再生をするという手段もあります。

個人再生とは債務整理の一種で、借金を大幅に減額できる裁判手続きです。

個人再生には住宅ローン特則という制度があり、住宅ローンはそのまま払い続けることが可能です。そのため、自己破産のように自宅を手放す必要はありません。

(3)任意売却

住宅ローンが残っていて自宅を売却した資金で住宅ローンを完済できない場合、抵当権を外すことができないため、一般的な不動産売却の方法で売却することはできません。しかし、債権者の同意を得ることができれば売却が可能です。この方法を任意売却といいます。

任意売却は通常の売却と同じ不動産市場で売却活動が行われるので、競売よりも高値で売却できる可能性が高く、競売を回避する方法として利用されています。

自宅を手放すことになりますが、賃料の安い賃貸住宅などに引っ越すことにより生活を再建しやすいというメリットがあります。

まとめ

この記事では、リースバックの売却家賃と家賃の相場、家賃を安く抑える方法、買い戻す場合の買取価格の相場などについて解説しました。

リースバックは自宅を売却した後も引っ越さずに家に住み続けられるという大きなメリットがあります。ただし、売却価格が不当に高額だった、家賃の設定が周辺の相場よりも大幅に高く設定されたなど、不利な条件で契約を結び、不当な不利益を被るケースも少なくないため注意が必要です。

リースバックを検討するなら、リースバックの実績を豊富に持つ不動産会社に相談することをおすすめします。

当社は、数多くのリースバックや任意売却を手掛けてきた不動産会社です。ご相談者様の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、その先の生活まで見据えて、最適な解決方法をご提案します。「リースバックを検討しているけれど、売却価格や家賃設定はどの程度が妥当なのか知りたい」「住宅ローンを払えないけれど、住み慣れた自宅に住み続けたい」などというご相談にも数多く対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

こちらでは当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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