家族の介護で住宅ローンが払えない場合の対処法

家族の介護で住宅ローンが払えない場合の対処法

家族の介護が必要になり、介護に時間を割くようになると、働ける時間は少なくなり、収入が減ってしまうこともあるでしょう。そうすると、介護にかかる費用が生活を圧迫することになり、住宅ローンの支払いが困難になるケースは珍しくありません。

家族の介護で住宅ローンが払えない場合、どのように対処すべきなのでしょうか。

今回は、家族の介護で住宅ローンが払えなくなる背景、家族の介護で住宅ローンを支払えない場合の対処法などを解説します。

1.家族の介護で住宅ローンが払えなくなる背景

家の購入金額は高額なので、何十年にも渡ってローンを返済していくことになります。長期にわたるローンの返済中に、家族に介護が必要になることもあるでしょう。

家族の介護が必要になって住宅ローンが払えなくなる背景について解説します。

(1)介護費用の工面が困難

家族の介護で住宅ローンが支払えなくなる理由として、介護費用の工面が大変だということが挙げられます。介護の費用は、介護の度合いや必要なサービスによって異なりますが、数百万円はかかると考えられます。

施設に入る場合と在宅介護の場合に分けて、必要な費用について説明します。

①施設に入る場合

施設に入居して介護を受ける場合、最初に入居一時金として数百万円かかります。高額な施設の場合、数千万円にのぼることもあるでしょう。これに加え、利用料が月額数万円~数十万円と日用品の購入費用なども必要です。

在宅介護に比べると、施設入居は介護に時間と労力の負担が軽減される代わりに、費用が高額になります。

②在宅介護の場合

在宅介護では、介護の度合いによって家の改修費用が必要になることもあるでしょう。また、介護用品や訪問介護サービスの利用は継続的に費用が発生します。

施設入居の介護よりも費用を抑えられますが、時間と労力の負担は大きくなります

(2)介護が原因で収入が減少

介護は仕事にも影響するため、退職や転職、雇用形態の変更などによって給与が減少することも住宅ローンが払えなくなる原因のひとつです。仕事を継続するとしても時短に勤務にしたり、正規雇用からパート・アルバイトなどに雇用形態を変更したりしために、以前よりも大幅に収入が減少することもあるでしょう。

また、介護には時間と体力を要します。精神的にも負担が大きく、仕事を続けることが困難になってしまうケースも少なくありません。

(3)病院に入院することは難しい

介護が必要になり病院に入院することを希望する方もいらっしゃるでしょう。しかし、病院に入院するのは難しいのが現状です。

厚生労働省は、高齢者が住み慣れた自宅で生活できるような地域包括ケアシステムを推進しています。そのため、病院に入院するよりも自宅で福祉・介護サービスを受けるように勧められる傾向にあるといえます。

2.家族の介護で住宅ローンを滞納するとどうなるのか?

家族の介護で住宅ローンの支払いが苦しくなった場合、いくつかの方法で対処することができます。

しかし、何も対処することなく滞納を続ければ、以下のようなリスクを負うことになります。

(1)「ブラックリスト入り」する

滞納期間が長引けば、俗に言う「ブラックリスト入り」と呼ばれる状態になります。ブラックリストというリストが実在するわけではなく、信用情報機関に滞納していることが事故情報として記録されるという意味です。

信用情報機関の情報は銀行やクレジットカード会社などの金融機関が個人情報を確認するためのものなので、事故情報が記録されていると新規借入やクレジットカードの作成ができなくなります

(2)連帯保証人に迷惑をかける

住宅ローンに連帯保証人がいる場合、滞納をすれば連帯保証人に迷惑をかけることになります。連帯保証人には債務者と同様の返済義務があり、債務者が返済できない場合は連帯保証人に返済の請求が行われます。

住宅ローンを滞納すれば連帯保証人にも返済請求が行われるようになり、迷惑をかけてしまいます。

(3)自宅を競売にかけられる

住宅ローンの滞納を長期的に続けていれば、最終的に自宅が差し押さえられて、競売にかけられます。競売で売却された場合、速やかに自宅を立ち退かなくてはなりません。

立ち退きを拒否すれば、強制退去によって家財道具などが運び出されてしまいます。

3.家族の介護で住宅ローンが払えない場合に確認すべきこと

家族の介護で住宅ローンが払えないような状況に陥った場合、以下のことを確認しましょう。

(1)収支の見直し

まずは、無駄な出費がないか収支の見直しを行います。スマホ代やサブスクの月額日、不要な買い物など、家計を見直すことで不要な収支を見つけられるかもしれません。

不要な収支を抑えて、住宅ローンの支払いに回すことができれば、住宅ローンの滞納も避けられるでしょう。

自分で家計を見直すことが苦手な場合、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するという手段もあります。

(2)利用できる公的サービスや補助金・助成金

介護費用を抑えるために、国や自治体による公的サービスや補助金・助成金を利用しましょう。

それぞれ利用できる条件などは異なりますが、条件に該当していれば介護手当や介護サービスの利用のサポートを受けられます。

介護費用を抑えることができれば、その資金を住宅ローンの返済に充てることができるかもしれません。

(3)団信の契約内容

住宅ローンを組んだ際には、団体信用生命保険(団信)への加入が条件になっていることが多いです。団信の特約をつけている場合、要介護状態になれば介護保険金が支払われるなどの保証があります。金融機関ごとに保証範囲や要介護レベルの条件などは異なるため、契約内容を再度確認しましょう。

特約をつけるかどうかは任意なので、契約時に特約をつけているのか契約書などで確認してください。また、特約をつけている場合は、保証の対象に該当するのか金融機関に相談するとよいでしょう。

(4)ローン残債と自宅の売却相場額

住宅ローンの返済が難しい場合には、まずローン残債を調べましょう。ローンの残債は、借入期間のホームページや残高証明書。返済予定表で確認できます。

ローン残債を確認し、返済額が多い場合には自宅の売却も検討することになります。その場合、自宅の売却相場額を調べる必要があります。

周辺の売却相場を調べたり、不動産会社へ査定を依頼したりして売却額の相場を調べてください。

4.家族の介護で住宅ローンが払えない場合の対処法

家族の介護で住宅ローンが払えない状態に陥った場合、いくつかの対処法があります。

介護や生活の状況などに応じて適切な対処法は異なるため、自分に合った対処法を検討してみてください。

(1)金融機関にリスケジュールの相談をする

介護が必要になることが一時的な場合や、住宅ローンの残債が少ない場合には、金融機関にリスケジュールの相談をすることで解決できる可能性があります。

リスケジュールとは、住宅ローンの返済スケジュールを見直すことです。具体的には、返済期限の延長や、毎月の返済額を減らすなどの方法が挙げられます。金融機関に理由を丁寧に説明すれば、了承してもらえる可能性があります。

(2)ローンの借り換えを検討する

金利の高い住宅ローンを利用している場合、金利の低い住宅ローンに借り換えするという対処法もあります。近年では住宅ローンの金利を金融機関が競っているため、契約している金融機関よりも条件の優れた金融機関を見つけやすいでしょう。

ただし、住宅ローンの借り換えには、ローン解約と新規借入にそれぞれコストがかかるという点には注意が必要です。ローンの借り換えをするコストを考慮しても借り換えた方が得な場合にのみ有効な方法です。

(3)住み続けたい場合はリースバックする

住宅ローンは払えないものの自宅には住み続けたいという場合、リースバックなら自宅に住み続けながら住宅ローン問題を解決できます。リースバックは、リースバック会社や不動産会社へ自宅を売却し、売却した相手に賃料を払いながら住む方法です。

リースバックは将来的に自宅を買戻したいという場合に有効な選択肢といえます。

ただし、買戻しの金額は周辺地域の相場よりも高く設定されるケースが多いです。買戻しができるかどうかという点も踏まえて検討するようにしましょう。

(4)売却も検討する

住宅ローンの返済が難しい場合、自宅を売却することを検討しましょう。

自宅の売却額が住宅ローンの残債よりも高額になるアンダーローン状態の場合、売却額で住宅ローンを完済できます。住宅ローンの残債が売却額を上回るオーバーローン状態の場合は、手持ちの資金で住宅ローンの残債を支払えないと抵当権を外すことができないため、一般的な不動産売却の方法で売却することはできませんが、任意売却という方法で売却することは可能です。

任意売却は通常の売却と同じ不動産市場で売却活動が行われるので、競売よりも高値で売却できる可能性が高いです。そのため、競売を回避する方法として選択されることが多いです。任意売却を成功させるためには、債権者との交渉をスムーズに進めるための専門的なノウハウが必要なので、任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社に相談することが大切です。

まとめ

今回は、家族の介護で住宅ローンが払えなくなる背景、家族の介護で住宅ローンを支払えない場合の対処法などを解説しました。

家族の介護が原因で住宅ローンが払えないという状況に陥る前に、まずは保険の内容や利用できる補助金や制度の確認を行いましょう。こうした見直しを行っても住宅ローンの返済が難しい場合には、競売を回避するためにも、できる限り早い段階から適切な解決策を検討することが大切です。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。多数の解決実績に基づくノウハウで、相談者様の状況やご希望に適した解決策をご提案させていただきます。

「競売だけは回避したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

「払えない」「住み続けたい」今すぐご連絡ください! 任意売却・リースバックの無料相談はこちら

0120-279-281
24時間受付 メールでのご相談はこちら