任意売却は高額なキャッシュバックに惹かれて契約するのは危険!

注意

自宅が競売にかけられて、自宅の情報が公開されると、任意売却の業者から「売買代金から最大○%のキャッシュバック」「○万円のキャッシュバックを保証」などという謳い文句が記載されたDM(ダイレクトメール)が届くことがあります。

経済的に困窮している中では、そのような謳い文句に惹かれるのも無理はありません。しかし、そのようなDMを送っている業者は悪徳業者である可能性があるため、関わらない方が無難です。

今回は、高額なキャッシュバックを謳う業者が危険な理由などについて、詳しく解説します。

1.キャッシュバックを謳う任意売却業者は要注意

高額なキャッシュバックを謳う業者がなぜ危険なのかは、以下のような任意売却の仕組みを考えることで、おのずとわかります。

(1)任意売却で発生するお金は全て売却代金から出る

前提として理解しておきたいのが、任意売却で発生する費用は、全て売却代金から捻出されることです。不動産業者に払う仲介手数料をはじめ、売却時にかかる費用は、すべて売却代金から確保します。

仮にキャッシュバックを出すとすると、その分も売却代金から捻出するしかありません。

(2)債権者がキャッシュバックを認める可能性

売却代金から費用を捻出するには、債権者の同意が必要となります。

債権者の同意を得るためには、売買代金や売買代金から捻出する費用のリストが含まれた配分案を提出して、交渉することになりますが、費用のリストの中に債務者へのキャッシュバックが含まれていた場合、債権者はその配分案を認めるでしょうか。

ほとんどの債権者は、キャッシュバックを出すのなら、その分多く返済するよう求めてくるでしょう。債権者の立場からすると、すでに住宅ローンを長期間滞納されており、全額回収できるかどうかも見えない状況なので、当然の反応といえます。

このような状況で、売買代金からキャッシュバック分を出すよう求めると、債権者との交渉が決裂して、任意売却自体が不成立になる恐れもあります。

(3)引っ越し代金を確保できることもあるが限定的

任意売却では「引っ越し費用」を売却代金から捻出できることがあります。キャッシュバックと異なるのは、売却にかかる費用の一部として認められることがある点です。同じ債務者のための費用でも、必要経費かどうかが違います。

しかし、昨今の任意売却では、引っ越し代金が認められるケースは少なくなっています。仮に認められても30万円程度が上限と考えてよいでしょう。引っ越し代を確保できず、最低限の家財だけ持ち出して転居することも少なくありません。

2.キャッシュバックを謳う任意売却業者のからくり

前述した通り、基本的に任意売却では、その仕組み上、キャッシュバックを出すことはできません。では、高額なキャッシュバックを謳う任意売却業者の実態はどうなっているのでしょうか。

(1)キャッシュバックは客寄せ広告で実際は支払われない

高額なキャッシュバックを謳う任意売却業者の中には、「キャッシュバック○万円保証」などという謳い文句を単なる客寄せのために利用していて、最初からキャッシュバックを支払うつもりはないという悪質な業者も存在します。

キャッシュバックは成功報酬なので、契約後に「売却活動をしたけれど売却できなかった」と言えば済むと考えているのです。

(2)債権者を騙して売却代金を安く申告する

さらに危険なのが、債権者に売却代金を安く伝え、浮いたお金をキャッシュバックや仲介業者の取り分とする詐欺業者です。これは債権者に対する重大な背信行為であり、民事・刑事どちらでも訴訟沙汰になる可能性があります。

3.他にもある任意売却の危ない業者の特徴

キャッシュバックのほかにも、以下のような特徴のある業者には注意してください。

(1)DMや訪問などの営業活動をしている

競売にかけられた自宅の情報が公開されてから、DMの投函や訪問で営業してくる業者は避けたほうが無難です。

特に訪問営業をしている業者の中には、強引に契約を取り付ける、近所に競売の状況を聞いて回るなど、素行が悪く配慮に欠ける業者が少なくありません。訪問営業には応じないことをおすすめします。

(2)甘い言葉で依頼を取り付けようとする

キャッシュバック以外でも、甘い誘い文句で依頼者を釣り、契約しようとする会社には要注意です。

よくあるのが、高額な引っ越し代で依頼を取り付けようとするケースです。プロに引っ越し代を確約されれば当然依頼者は当てにしますが、ほとんどのケースでは実際に高額な引っ越し代をもらえることはありません。

(3)仲介手数料以外の費用を要求する

仲介手数料以外にも着手金、相談料などの名目で費用を請求する業者は、まず悪徳業者と見てよいでしょう。仲介業者を取り締まる宅地建物取引業法では、一部の例外を除き仲介手数料以外の費用を要求できないことになっているためです。

コンサルタント料、着手金、相談料といった費用は一切請求できませんので、このような名目の費用を要求された時点で依頼は撤回した方がよいでしょう。

(4)全体的に話がうますぎる

任意売却は、競売による売却を回避するために有効な手段ですが、万能ではないのが現実です。

任意売却のデメリットや売却後の残債の処理などに関して、聞かなければ何も説明してくれないようでは、任意売却のパートナーとして相応しくありません。

(5)専任媒介・専属専任媒介での契約を強行する

正当な理由なく、専任媒介や専属専任媒介での契約を強要する会社にも注意が必要です。

この二種類の契約形態では、物件の売却活動を一社が独占し、複数の仲介業者に依頼できなくなります。任意売却では、一社のみに任せなければならないというルールはありませんが、複数社に仲介を依頼できる一般媒介契約を嫌がる業者も多いのが実態です。

しかし、自社の都合だけで独占契約を強要するのは、依頼者の利益を無視することに他なりません。相談時は必ず契約形態を聞いてみましょう。

ただし、住宅支援機構など一部の債権者は、窓口を一社に絞るために専任媒介契約や専属専任媒介契約を条件としているところもあります。独占契約を提示された場合、正当な理由があるかどうかを確認してみましょう。

4.任意売却の悪徳業者を避けるためのポイント

任意売却の詐欺業者を避け、本当に信頼できるパートナーを見つけるためにはどうすればよいのでしょうか。具体的なポイントを説明します。

(1)営業を受けても応じない

競売物件の情報が公開されると、訪問やDMでさまざまな業者が営業してきます。しかし、業者からの営業には基本的に応じないことをおすすめします。

競売物件の情報をもとに営業活動を行っている業者の中には悪徳業者も多く、トラブルも多数報告されています。

特に、訪問営業をしている業者には注意が必要です。訪問自体が迷惑であることを伝えて、きっぱりと断りましょう。

(2)依頼前に必ず実績を確認

任意売却の依頼先を選ぶ際は、必ず実績を確認しましょう。初回相談で聞いてみてもよいですが、不動産会社のWEBサイトの情報をチェックすると簡単に調べることができます。

このとき大切なのが「具体的な内容まで掘り下げて書かれているか」という点です。相談件数だけならいくらでも誇張できるため、事例の詳細まで記載されているかをしっかり確認しましょう。

(3)相談時の対応をチェック

候補となる不動産会社を選定したら、実際にその会社に相談してみましょう。

ご自身の状況や今後のご希望などを伝えて、具体的な提案をしてもらい、本当に信頼できる会社なのかを見極めてください。

相談時に「何かおかしいな」などという違和感や不信感などを感じた場合、その場で契約しないようにしましょう。悪質な業者と契約してしまうと、貴重な時間をロスするだけではなく、お金を騙し取られるなどの重大な被害に遭う可能性もあるため、慎重に判断することが大切です。

(4)依頼後に不審な点が発覚したら乗り換えを検討する

不動産会社に依頼をした後で不審な点が発覚する場合もあるでしょう。

そのような場合、「もう正式に依頼してしまったから手遅れなのでは?」と躊躇される方も多いですが、正当な理由があれば契約後でも乗り換えが可能なので、諦めずに検討してみることをおすすめします。

例えば、以下のようなケースでは、期間中の解除が可能です。

  • 不動産会社が売買活動等を誠実に遂行しない
  • 宅地建物取引業法に違反する不正により不利益を受けた

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、通常更新の時期のみ解除できますが、不動産会社に明らかな落ち度があれば無条件で解約できます。

不安な場合、乗り換え先の不動産会社を探す際に、その点もあわせて相談してみましょう。解約に関するアドバイスを受けられることもあります。

なお、一般媒介契約を結んでいる場合はいつでも解約できますし、解約しなくても他の不動産会社に依頼できます。

5.まとめ

任意売却で高額なキャッシュバックを謳う業者は、悪徳業者である可能性が高いので、関わらないようにしましょう。任意売却を成功させるためには、任意売却に関する専門的なノウハウや経験が必要なので、不動産会社選びは慎重に行うことをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、任意売却はもちろん、その後の生活の再建まで見据えたサポートを提供いたします。「仲介業者を変更するべきか迷っている」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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