住宅ローンの返済額を減額する方法と注意点を解説

住宅ローン

住宅ローンの返済が難しい状況で、毎月の支払い額を減らしたいと思われている方は多いのではないでしょうか。コロナ禍には、収入が減少して、住宅ローンの支払いが困難になった方が急増したといわれています。

家庭の経済状況が悪化して住宅ローンの支払いが難しい場合は、借入先の金融機関が用意している猶予措置を利用して毎月の返済を抑えることが可能です。

この記事では、住宅ローンの返済を減額する方法、支払いが困難な状況に陥った際の対処法などについて解説します。

1.住宅ローンの返済額を減額する方法

住宅ローンの支払いが困難になった際は、まず金融機関に相談してください。

「金融機関に相談しても、住宅ローンの返済を減額してもらうなんて無理だろう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、現在借入中の金融機関が設けている猶予手続きを利用することにより毎月の返済額を減額できることがあります。

長引く日本経済の不況や新型コロナウィルスの影響で、住宅ローンを滞納し、競売により家を失う人が増えています。政府はこのような状況を重大な問題として捉えており、住宅ローンの返済が困難な状況に陥った人に対して親身に相談に応じるよう、金融機関に対して通達を出しているのです。

金融機関に相談した場合に、どのような形で返済の減額をしてもらえるのか、具体的に説明します。

(1)毎月の返済額の減額

現在勤めている会社の業績悪化や転職などにより、月々の収入が減ってしまった場合、現在住宅ローンを借入れしている金融機関に相談することで、毎月の返済額を減額してもらえる可能性があります。

例えば、毎月8万円返済している住宅ローンの支払いを6万円に減少させることにより、家計の短期的な負担を減少させることが可能になります。

ただし、この減額措置はあくまで返済を先送りしているにすぎません。返済期間の延長や、支払う金利が増加する可能性があるという点には注意が必要です。

(2)一時的な返済額の減額

短期的に住宅ローンの返済が厳しいという場合は、一時的に毎月の返済額を減らしてもらうという方法もあります。例えば、来月から新たな職場で働くことが決まったので2か月間だけ返済を減額して欲しい場合などです。

この場合も、減額分と元の支払い額の差額については、将来、返済する必要があります。金利分の増加が心配な場合は、経済状況が好転してから繰り上げ返済を行うことを検討してもよいでしょう。

(3)ボーナス返済の変更

ボーナス返済を設定している場合、当初予定していた金額を変更する、またはボーナス返済自体を止めることも可能です。例えば、夏と冬のボーナスで30万円ずつの返済を予定していたけれど、ボーナスが予定より大幅に少なかった場合などに効果的です。

なお、契約当初の完済予定時期はボーナス返済を前提に計画されています。そのため、変更の内容によっては完済時期がずれ込む場合もあります。この点には留意しておきましょう。

(4)コロナ禍の経済状況悪化なら元金据え置きも

新型コロナウイルスの影響による国全体の経済状況の悪化を背景に、独自の救済措置を実施している金融機関もあります。一時的な元金の据え置きなどは、その代表例といえます。

住宅ローンの毎月の返済額は、金利分と元金分の両方が含まれます。元金を据え置くと、元金分の支払いは一時的に猶予され、金利分のみの支払いとなります。毎月の返済額が大きく減少するため、経済状況が悪化した中で大きな助けとなる措置だといえます。

また、審査なしで据え置きを実施する、所定の猶予期間を過ぎた後も面談の結果次第ではさらに猶予期間を延長するなど、柔軟な対応をしている金融機関もあります。

このように、住宅ローンの支払いが困難な状況でも、無理なく返済を続けるための救済措置を提示してもらえることも多いため、住宅ローンの支払いが難しい状況に陥った場合は、早めに金融機関に相談することをおすすめします。

参考URL:新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例|金融庁

2.住宅ローンの総返済額を減額する方法

「住宅ローンの返済を続けていくのが苦しいので、総返済額を減らす方法はないだろうか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。残念ながら、金融機関が用意している猶予措置では、総返済額を減らすことは難しいです。

金融機関の猶予措置は、あくまで短期的な負担を軽減して経済状況の回復を図るためのものなので、借入れた金額の全額を返済する必要があります。

それでは、住宅ローンの総返済額を減らすためには、どのような方法があるのでしょうか。

(1)繰り上げ返済で金利分を減らす

住宅ローンの総返済額を減らす方法の一つとして、繰り上げ返済を行うことがあります。

繰り上げ返済とは、一時的にまとまった金額を返済することで、当初の予定より早くローンを完済することです。返済期間が短くなる分、将来的に発生する予定だった金利を削減できるため、総返済額も減少します。

ただし、子供の教育費や車の買い替えなど、大きな支出が見込まれる場合は、手元に資金を残しておいた方がよいかもしれません。家計のバランスを考えながら慎重に検討しましょう。

(2)金利の低いローンへの借り換え

現在契約しているローンより金利の低いローンに借り換えることで、金利を削減することもできます。住宅ローンは借り入れの金額が大きいため、金利が0.1%違うだけでも、将来的な返済額は数10万円~100万円単位で変わることも少なくありません。

ただし、短期的な支払いを減少させる効果は薄いため、住宅ローンの支払いが難しい状況に陥っている場合には向きません。また、ローンには金融機関の審査があるため、借り換えできないこともあります。また、借り換え時には、元のローンの一括返済にかかる手数料なども発生するので、総合的に考慮して、プラスになるかどうかを判断することが大切です。

3.返済額を減らしても返済が難しい場合の対処法

毎月の住宅ローンの返済額を減額してもらえても、支払いが難しい場合、家の売却も視野に入れる必要があります。しかし、昨今の住宅市場では、家の売却価格が住宅ローンの残高より安いオーバーローン状態の場合も多いです。オーバーローン状態の場合、不足分を手元の資金から捻出して完済しなければ抵当権を抹消できないため、売却ができません。

その場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。

(1)オーバーローン状態でも任意売却が可能

オーバーローン状態の物件を、債権者の許可を得た上で売却することを任意売却といいます。

任意売却の大きなメリットは、競売を回避して、より負担の少ない方法で売却できることです。住宅ローンの支払いが困難な状況で滞納を続けてしまうと、いずれ自宅は競売にかけられてしまいますが、競売には以下のようなデメリットがあります。

  • 売却価格が安い(一般市場の半額~7割程度)
  • 家の写真や情報が競売の専用サイトに公開される
  • 裁判所の決定した期日に明け渡さなければならない
  • 売却代金は全額返済に充てられる

任意売却の場合、売却は一般市場で行うことが多いため、売却の進み方は通常の不動産売却とほぼ同じです。通常の不動産と同様に売却活動を行うことになるため、競売のようなデメリットはありません。

(2)任意売却の相談は専門の不動産会社に

任意売却自体は、法的には通常の不動産仲介と変わりません。そのため、宅地建物取引業の登録をしている会社であれば、法律上は問題なく扱うことができます。ただし、任意売却には、通常の売却では発生しない特殊で専門的な業務が多いため、任意売却に関する専門知識や実績を持たない不動産会社では十分な対応ができない可能性が高いです。

任意売却を実現させるためには、債権者が納得できる売却代金の配分案を作成し、債権者と交渉しなければなりません。任意売却の実績を豊富に持つ会社は、債権者である金融機関や債権回収会社と信頼関係を構築できているため、交渉をスムーズに進めることができます。また、ケース別の対処法などについても熟知しているため、実績のない会社と比べ、任意売却の成功率が高くなります。

任意売却の相談先を探す際は、インターネットなどで任意売却を得意とする不動産会社を探し、公式サイトに掲載されている実績などを確認するとよいでしょう。その上で、実際に話を聞いて、信頼できる不動産会社かどうかを慎重に見極めましょう。

4.まとめ

毎月の住宅ローンの支払いが苦しい状況に陥った場合は、まずは借入れ中の金融機関に相談してみましょう。経済状況の悪化でローンの返済に悩む人は決して珍しくはありません。

各金融機関は、毎月の支払いの減額や一時的な元金の据え置きなどの救済措置を用意し、支払いが困難になった方の相談に応じています。

また、金融機関に相談して救済措置を適用してもらった後も返済が難しい状況が続く場合は、競売を避けるためにも、できる限り早めに任意売却に精通した不動産会社に相談することをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱い、任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。「住宅ローンの支払いが困難な状況だけれど、今の家に住み続けたい」「裁判所から競売の通知が届いたけれど、どのように対処すればよいかわからない」などというご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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