うつ病で住宅ローンの支払いは免除される?返済できない場合の対処法を解説

うつ病

うつ病になって仕事を休んだり辞めたりした場合、収入が減少して毎月の住宅ローンの支払いが困難になってしまいます。

うつ病が原因で収入が減少した場合、住宅ローンの支払いは免除されないのでしょうか。

今回は、うつ病で住宅ローンの支払いが困難になってしまった場合の対処法について解説します。

 1.うつ病になったら住宅ローンは免除されるのか

病気になった場合は住宅ローンが免除されるケースがあるという話を耳にしたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

うつ病になった場合は、住宅ローンの免除を受けられるのでしょうか。

(1)うつ病を理由に住宅ローンは免除されない

住宅ローンを組んでいる債務者がうつ病になって収入を得られなくなった場合でも、金融機関が住宅ローンの支払いを免除することはありません。

うつ病だけではなく、他の病気や怪我の場合も同様です。地震などの自然災害で住宅が全壊や半壊したとしても住宅ローンの返済義務を金融機関が免除することはありません。

(2)住宅ローンが免除されるケースとは

住宅ローンを組んでいる金融機関によって住宅ローンが免除されることはありませんが、例外的に住宅ローンが免除されるケースがあります。住宅ローンが免除されるケースは、以下の2つの場合です。

①自己破産をした場合

毎月の住宅ローンの返済だけではなく、その他の借金の返済も難しくなってしまった場合、自己破産を検討することもあります。自己破産をした場合、全ての借金の返済義務が免除されることになります。

住民税などの税金の一部は免除の対象外ですが、住宅ローンの返済は免除されます。

②団信に加入していて支払事由になる病気になった場合

住宅ローンを組む際には、団信(団体信用生命保険)に加入することが一般的です。

団信とは、住宅ローンの返済中に何らかの不測の事態により返済ができなくなった場合、本人に代わって住宅ローンの残高を保険金で支払ってくれる制度になります。

団信の支払事由は、加入者が死亡または重度の障害(高度障害)を負った場合です。

2.うつ病のせいで減った収入を補う方法

うつ病になって仕事を休んだり辞めたりすれば収入が減ってしまいます。収入が減って住宅ローンの返済ができないと焦る前に、うつ病のせいで減った収入を補えることができないか検討してみましょう。

うつ病のせいで減ってしまった収入を補う方法について説明します。

(1)労災保険

うつ病の原因が仕事と関連する場合、労災保険の補償を受けられる可能性があります。

労災保険は労働基準監督署に申請することで受け取ることができます。労災保険が適用された場合は、治療費や休業補償(給与の8割)、傷害補償などが給付されます。

ただし、うつ病で労災が認定されることは簡単ではありません。うつ病は複数のストレス要因が重なって発症することが多いため、発症原因が仕事であると断定することが難しいからです。労災認定を受けるためには、長時間労働やパワハラなど客観的に仕事がストレス要因であることを証明できる証拠が必要になります。

(2)健康保険

労災認定されない場合でも、健康保険を利用できる可能性があります。

病気や怪我で働けなくなった場合、傷病手当として最長1年6カ月間は給与の一部が支給されます。うつ病で仕事を休んでいる場合も傷病手当金の対象になります。

ただし、自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険の場合は傷病手当の制度がありません。

傷病手当を申請するには、勤務先の総務部等に相談してください。

(3)住宅ローン返済支援保険

住宅ローン系の保険である「住宅ローン返済支援保険」へ加入していれば、住宅ローンの一部が保険金で支払われます。

この保険は住宅ローンを組む金融機関を通して加入する保険ですが、加入は任意です。

加入していれば、要件を満たす状態になることで一定期間は住宅ローンの心配をしなくて済むようになります。

ただし、全額免除されるわけではないため、健康や経済状態を立て直すことが前提になります。

(4)就業不能保険・所得補償保険

一般的な生命保険や団信では、うつ病は保険適用されません。

しかし、就業不能保険や所得補償保険へ加入していれば、やむを得ない理由で働けなくなった時の収入が補償されます。

これらの保険はうつ病で働けなくなった場合でも利用できる可能性があります。補償内容は契約プランごとに異なるため、加入している場合は保険会社へ問い合わせてください。

3.うつ病になって住宅ローンが支払えなくなった場合の対処法

うつ病になって収入が減ってしまった場合の収入を保険などで補ったとしても、住宅ローンの支払いが難しくなってしまうケースはあります。

住宅ローンが支払えない状態になってしまった場合の対処法をご紹介します。

(1)金融機関へリスケジュールの相談をする

住宅ローンを組んだ金融機関にリスケジュール(リスケ)の相談を行います。リスケジュールは返済計画の見直しをすることです。

リスケジュールでは、一定期間返済額を減額することや、返済期間の延長などにより返済計画を設定し直します。

一定期間を経て回復が期待できる場合には、リスケジュールが認められやすいです。

ただし、住宅ローンを滞納した後ではリスケジュールの相談に乗ってもらえない可能性があるため、滞納する前に相談することをおすすめします。

(2)一般的な方法で売却をする

家の売却価格が住宅ローンの残高を上回るアンダーローンになる場合、一般的な方法で家を売却して住宅ローンの残高を返済することができます。

また、住宅ローンの残高が家の売却価格を上回るオーバーローンの場合でも、残債が少なく、手持ちの資金で残債を一括返済できる場合は一般的な方法で売却することが可能です。

(3)任意売却をする

オーバーローンで売却後にローンを一括返済できない場合でも、任意売却によって家を売却することができます。

任意売却は、ローンを組んだ金融機関の同意を得てオーバーローンの状態で売却を行い、ローンの残債を分割で返済していく方法です。

任意売却をせずにローン返済の滞納が続けば、最終的には自宅が競売にかけられることになります。任意売却は競売とは違い、一般市場で売却できるため、高い価格での売却が期待できます。任意売却ができれば、ローンの残債も多く返済できて売却後の生活も立て直しやすいです。

(4)債務整理をする

住宅ローンの返済が厳しいだけではなく、他の借金もあって生活が苦しくなってしまっている場合には、債務整理を検討すべきかもしれません。

裁判所を介した債務整理方法には、個人再生と自己破産の2種類があります。

①自己破産

自己破産をすれば、住宅ローンを含めて全ての借金が免除されます。そのため、住宅ローンやその他の借金の返済に苦しむことがなくなります。

ただし、自己破産では生活に必要な範囲を超える財産は換価・処分して債権者へ分配されるため、家や車などを手放すことになります。

②個人再生

個人再生は、大幅に減額された借金を3年間分割で返済していく債務整理方法です。

自己破産とは違い、債務は残りますが、大幅に債務を圧縮できます。

そして、財産を処分せずに済むことや、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することにより自宅を手放すことなく債務を整理できるというメリットがあります。

4.自宅を売却するべきか判断する基準

うつ病で住宅ローンが支払うことが難しくなった場合の対処法をご紹介しましたが、家を売るべきか売らないべきか悩む方も多いでしょう。

そこで、自宅を売却するべきかどうか判断する基準を説明します。

(1)家を売らない方がよいケース

家を売らなくてもよい、もしくは売らない方がよいと考えられるケースとして、以下のようなケースが挙げられます。

  • うつ病の症状が軽く、早い段階で仕事復帰できる見込みがある
  • 家族の思い出が詰まった家なので手放したくない
  • 小さな子供がいるため気軽に引っ越せない
  • 保険を利用すれば住宅ローンの返済が苦しくなくなる

住宅ローンの返済の見通しがつく状態なら、金融機関にリスケジュールの相談をすることで解決できる可能性があります。

また、生活が厳しくなっても家を手放したくない場合、リースバック親族間売買という方法で住み続けることができる可能性もあります。

(2)家を売るべきケース

一方で、家を売却した方がよいと考えられるケースとして、以下のようなケースが挙げられます。

  • うつ病の症状が重く、仕事への復帰が長期間見込めない
  • 家を売却すればローンを返済できる
  • 保険などを利用しても住宅ローンを払うことが難しい

うつ病の症状が重い場合や、保険などで収入を補っても返済が難しい場合は、自宅を売却した方が経済的な負担を減らせます。

5.うつ病で住宅ローンの支払いが困難になった場合の注意点

うつ病で住宅ローンの支払いが困難になってしまった場合、以下の点に注意して下さい。

(1)無理をしないこと

うつ病になってしまったものの住宅ローンの支払いが困難になることを避けるために、無理をして仕事を続ける方もいらっしゃいます。しかし、無理をすればするほど症状が悪化してしまう恐れがあります。

また、うつ病で療養中に住宅ローンの支払いで頭を悩まされることは、さらなるストレス要因になります。

(2)滞納状態のまま放置しない

住宅ローンが支払えず、悩んだまま滞納状態を続けてしまうケースもあるでしょう。

滞納状態をそのまま放置すべきではありません。滞納が3カ月続けば、金融機関にリスケジュールの相談に乗ってもらえなくなります。

また、さらに滞納が長期化すれば家が差し押さえられてしまい、競売にかけられることになってしまいます。

6.まとめ

うつ病で住宅ローンの支払いが難しくなったとしても、金融機関に返済を免除してもらうことはできませんが、うつ病の症状が軽度の場合は早期に仕事復帰できる可能性もあるため、リスケジュールや保険利用で解決できるかもしれません。

しかし、症状が重い場合や、その他の借金も抱えている場合、解決が難しいでしょう。住宅ローンの支払いが困難な状況に陥っている場合は一人で悩みを抱え込まず、適切な相談先に相談しましょう。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」「競売だけはなんとか回避したい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

参考URL:相談から解決までの流れ

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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