離婚後の養育費と住宅ローンの支払いがきつい場合の対処法を解説

離婚後の養育費と住宅ローンの支払いがきつい場合の対処法を解説

結婚をして家を購入するとなれば、家族と自分が生涯住んでいく家だと考えて住宅ローンを組むものです。しかし、「子供がいてマイホームのローンを返済中」という状態で離婚するケースもあります。その場合、養育費と住宅ローンの両方を負担することになり、毎月の支払いがきついと感じている方は多いです。
離婚後の養育費と住宅ローンの支払いがきつい場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
この記事では、養育費と住宅ローンの支払いがきつい場合の対処法などを解説します。

1.養育費と住宅ローンの支払いがきつくなる2つのケース

子供がいる夫婦が離婚をすれば、子供の親権者に対して養育費を支払うことが一般的です。
離婚後に養育費と住宅ローンの支払いによって生活がきつくなってしまうケースとして、主に以下のようなパターンが挙げられます。

(1)養育費が高額すぎる

養育費が高額になるほど支払う側の負担は大きくなります。養育費は法律で金額が定められているわけではないため、相場はあるものの夫婦の話し合いで決められることが一般的です。

「相手から要求された養育費の金額に同意して支払っている」「子供につらい思いをさせたくないので多めに払っている」などというケースでは、養育費が相場よりも高額になっているため、経済的な負担が大きくなっていると考えられます。高額な養育費の支払いに加えて住宅ローンの支払いもしている場合、生活は苦しくなるでしょう。

(2)自分が住んでいない家の住宅ローンと養育費の支払いをしている

住宅ローンの支払いが残っている家に親権者と子供が住み、自分は別の家に住むことになるというケースがあります。この場合、養育費と住宅ローンをそれぞれ支払うことになり、経済的な負担は大きいです。
それに加え、自身が住む家の家賃や生活費も確保しなければならないため、生活が苦しくなると予想されます。

2.離婚後の養育費と住宅ローンについて

子供がいる夫婦が離婚する場合、親権を持たない方が親権者へ養育費を支払うことが一般的です。しかし、住宅ローンまで支払う必要はあるのでしょうか。
離婚後の養育費と住宅ローンに関する基本的な考え方について説明します。

(1)養育費の仕組みと相場

離婚をすれば両親のどちらか一方が親権者となり、子供と一緒に暮らします。
離婚をしても親は子供の扶養義務を負っているため、子どもの監護養育費に必要な費用を「養育費」として負担する義務があります。養育費は両親が分担して負担するものなので、親権を持たない方が親権者へと支払うことになります。

養育費の金額は夫婦で話し合い、双方が納得する金額に決定されます。法律では規定されていませんが、養育費・婚姻費用算定表が裁判所の公式サイトに公開されているため、この算定表を参考にして算出することが一般的です。
両親の年収や子どもの人数、年齢などを基に割り出されますが、母子家庭で月5万円、父子家庭で月3万円が平均とされています。

(2)離婚後の住宅ローンについて

離婚後の住宅ローンの支払い義務は誰にあるのかという点についても知っておく必要があります。住宅ローンを組む場合、一般的に「夫が名義人で妻が連帯保証人」「夫のみが名義人」「夫婦でペアローンを組んでいる(夫婦の連帯債務)」の3つのパターンが考えられます。

離婚後はどちらかが家を出ていくことが一般的ですが、家に住んでいるかいないかに関わらず、住宅ローンの名義人が返済をしなければなりません。
離婚後に自分が家を出た場合でも、住宅ローンの名義人として、自分が住まない家の住宅ローンを支払い続けなければならないケースは少なくありません。

(3)養育費と住宅ローンの関係性

養育費には子どもが成人するまでの生活費として、食費や教育費などに加えて住居費も含まれます。つまり、養育費と住宅ローンを別物として考えるのではなく、併せて考えることになります。
養育費の権利者(支払ってもらう側)と子供が住宅ローン返済中の家に住む場合、養育費の算定に住宅ローン返済という事情が考慮されることが一般的です。

(4)住宅ローンがある場合の養育費の計算方法

住宅ローンがある場合、具体的にどのように養育費を算定するのでしょうか。養育費の義務者を「親権を持たない養育費を支払う側」、権利者を「親権を持つ養育費を受け取る側」として解説します。

①養育費の義務者が権利者の住む家の住宅ローンを支払う場合

養育費の義務者が権利者の住む家の住宅ローンを支払う場合、養育費の算定に住宅ローンを支払っていることが考慮されます。なぜなら、権利者は住宅ローンの負担がなく、義務者に住宅ローンの負担があるため、調整しなければ不平等が生じるからです。

この場合は、「裁判所が公開している養育費の算定表の金額から住宅ローン相当額を差し引く」もしくは「義務者の基礎年収を算出する際に考慮する」という方法で計算します。

②養育費の義務者が義務者の家の住宅ローンを払っている場合

養育費の義務者が、離婚後もそのまま住宅ローンのある家に住み続けるというケースもあります。この場合、住宅ローンを支払っているという点は考慮されません

そのため、算定表から算定した養育費を支払い、住宅ローンも支払う必要があります。ここで注意が必要なのは、権利者が連帯保証人になっているケースです。義務者が住宅ローンを滞納すれば、権利者が住宅ローンの返済を請求されます。
権利者も住宅ローンを返済せずに滞納を続ければ、最終的に差し押さえられて競売にかけられることになってしまいます。

3.養育費と住宅ローンの支払いの負担を軽減するための対処法

養育費と住宅ローンの支払いで生活がきつくならないように負担を軽減するためにはどうすればよいのでしょうか。
家に住み続けることを前提にした場合の対処法として、以下の2つの方法が挙げられます。

(1)養育費と住宅ローンを相殺する

親権者が子供と家に住み続け、住宅ローンの名義人が家を出るという場合、家を出ていっても住宅ローンを払い続けなければなりません。
こうしたケースでは、養育費と住宅ローンの返済を相殺する方法が一般的です。養育費に現在住んでいる家の住宅ローンは家賃として含まれることになるため、名義人はローンを返済することで養育費の一部を支払っていると考えられます。

(2)養育費を減額してもらう

住宅ローンの名義人が今まで通りに家に住宅ローンの残っている家に住み、子供と親権者が出ていく場合もあります。
この場合、住宅ローンの支払いは養育費に考慮されませんが、住宅ローンと養育費の支払いが重なることが経済的に厳しいというようなケースもあるでしょう。そのような場合、養育費の減額交渉により、解決できる可能性があります。

本来であれば自分の住む家の住宅ローンを返済することは当然なので、養育費の減額が認められることはありません。しかし、相場よりも養育費が高額なケースや、生活が厳しいという義務者の事情を相手が考慮してくれる場合には、交渉により養育費を減額できる可能性があります。

4.住宅ローンの支払い問題を解決するための方法

養育費の支払いは親の義務でもあるため支払う必要がありますが、住宅ローンの負担を軽減することで生活が楽になることもあります。
住宅ローンの負担を軽減する方法として、以下の3つの方法が挙げられます。

(1)金融機関にリスケジュールを相談する

住宅ローンの支払いが難しい状況に陥った場合は、住宅ローンの借入れをしている金融機関にリスケジュール(返済計画の見直し)の相談をすることにより負担を軽減できる可能性があります。リスケジュールにより、毎月の返済額を減額できれば、経済的な負担が軽減されます。

ただし、リスケジュールは住宅ローンの支払い総額を減額する仕組みではなく、返済期間が伸びて、返済総額が増える可能性があります。また、リスケジュールには審査があるため、必ずしも認められるとは限りません。

(2)アンダーローンなら通常売却する

アンダーローンとは、家を売却額が住宅ローンの残債を上回ることをいいます。
アンダーローンなら、通常の方法で自宅を売却することで住宅ローンを完済できます。

(3)オーバーローンでも任意売却できる

オーバーローンは、アンダーローンとは逆に、住宅ローンの残債が家の売却額を上回ることをいいます。オーバーローンの場合は、手持ちの資金で住宅ローンの残債を完済できない限り、抵当権を外すことができないため、通常の方法で自宅を売却することができません。

しかし、「任意売却」という方法で売却することが可能です。任意売却とは、債権者の同意を得て通常売却と同じ市場で自宅を売却する方法です。住宅ローンが返済できずに競売にかけられるよりも高額で売却できる可能性が高いため、競売を回避するために選択される方が多いです。
任意売却を実現するためには、専門的なノウハウが必要にあるため、任意売却に精通した不動産会社を選ぶことが大切です。

まとめ

養育費と住宅ローンの返済が重なって支払いがきつい場合、養育費もしくは住宅ローンの見直しが必要になります。養育費は親として支払い義務があるため、住宅ローン問題を解決することが先決だといえます。
住宅ローンの残額が多い場合でも任意売却ならば家を売却でき、その後の返済負担も軽減されます。離婚後の新しい生活で返済に追われてしまわないようにするためにも、任意売却を検討してみてください。

任意売却には専門の不動産会社のサポートが必要になるので、まずは任意売却を扱う不動産会社へ相談してみることから始めてみましょう。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。
養育費の支払いにより住宅ローンの支払いが難しくなったという相談を受けて任意売却により解決したケースなど、さまざまなご相談に対応しております。
こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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