リバースモーゲージの問題点とは?注意すべきポイントを解説

リバースモーゲージの問題点とは?注意

リバースモーゲージは、老後の資金確保の方法として最近注目されています。
しかし、リバースモーゲージについて調べていると「悲惨」「やばい」などという評判を目にすることもあります。実際、リバースモーゲージにはいくつか注意が必要なポイントがあります。

今回は、リバースモーゲージの問題点、注意が必要なポイントなどについて詳しく解説します。

1.リバースモーゲージはシニア向けの不動産担保ローンの一種

リバースモーゲージは、不動産担保ローンの一種で、主に60歳以上のシニア層を対象としています。リバースモーゲージは一般的な不動産担保ローンと比べて以下の2つの点が大きく異なります。

  • 存命中は元本の返済をしない
  • 元本は死後に一括返済する

それぞれの点について詳しく説明します。

(1)存命中は利息のみ・または支払いなし

リバースモーゲージは、主に、老後の生活を豊かにすることや、介護施設への入居費用を工面するなどの目的で利用されています。

存命中は元本の支払いの必要がなく、利息のみ支払う場合と、支払いが発生しない場合があります。そのため、通常の借り入れとは違い、借入期間中の負担が少ないという特徴があります。家を売却して賃貸住宅に引っ越す場合と比較して、毎月の支払いが大きく軽減されることが多いです。

(2)元本は死後に物件を売って一括返済

リバースモーゲージでは、死後に物件を売却し、元本を一括返済します。相続人が家を残すことを希望する場合、相続人が代わりに返済することにより家を残せる場合もあります。

リバースモーゲージを提供している金融機関によっては、家を売却する代わりに代物返済することにより、借入金の返済を免除されることもあります。

2.リバースモーゲージの問題点とは

老後資金を確保する方法として広く利用されているリバースモーゲージですが、問題点や注意点もあります。具体的どのような点が問題なのか詳しく説明します。

(1)変動金利タイプは返済額が変わる

リバースモーゲージの多くは変動金利タイプです。そのため、金利の増減に応じて返済額が変わることに注意が必要です。

具体的な返済額の変化は、借入金の額や変動前の利率に応じて異なります。仮に、3,000万円借り入れて金利が0.5%変動する場合、毎月の返済額が1万円以上変わることもあります。

毎月の返済は金利のみでも、金利が変動するため毎月の支払い額が一定ではないという点は認識しておきましょう。

(2)資金使途が限られることがある

リバースモーゲージは、商品によっては資金使途が限定されることがあります。

例えば、リバースモーゲージには住宅ローン型のものがあります。このタイプは、家の購入やリフォームなど、住宅関連の用途にのみ借入金を使えます。旅行や外食などのためにお金を使ってしまうと、契約違反になる可能性があるため注意しましょう。

なお、資金使途が限定されない場合でも、事業用資金としての利用や投資用不動産の購入には使えません。資金の不正利用が発覚した場合、その時点で一括返済を求められることもあるため注意が必要です。

(3)リコース型は相続人に負担が残る

リバースモーゲージには、大きく分けてリコース型とノンリコース型の2つの種類に分かれます。最も大きな違いは、契約者の死後に物件を売却して借入金の額に満たなかった場合に、相続人に返済義務が発生するかどうかです。

リコース型 残債が発生した場合に相続人に返済義務が発生するタイプ
ノンリコース型 残債が発生した場合でも、相続人に負担が発生しないタイプ

リコース型の場合、相続人に残債の返済義務が発生します。死後に相続トラブルの火種を残すことにもなりかねないため、リスクについて理解した上で検討することが大切です。

(4)マンションが対象外になるケースがある

リバースモーゲージの中には、土地付きの戸建てのみが対象となるものが少なくありません。これは、価値が変動する建物ではなく、担保価値が安定している土地を評価するためです。この場合、マンションは対象外となります。

マンションを担保にできるケースもありますが、必ずしも全ての物件が対象となるわけではないため、対象となる物件の条件についてしっかり確認する必要があります。

(5)限度額が変動する場合がある

リバースモーゲージでは、貸し付けの限度額が変動することがあります。

リバースモーゲージを取り扱う金融機関によっては、定期的に担保としている不動産の評価を見直すことがあります。評価の低下に連動して限度額が下がると、貸付額によっては限度額を超過する場合があります。
限度額を超過した分は、存命中でも一括返済を求めるという方針をとっている金融機関もあるため注意が必要です。担保評価の見直しの有無や見直しのタイミングは必ず確認しておきましょう。

(6)年齢制限がある

リバースモーゲージはシニア向けの商品のため、その多くに年齢制限が設けられています。具体的な年齢は商品によって異なりますが、60歳以上を対象としている商品が一般的です。50歳以上、または55歳以上から利用でき商品もあります。
年齢制限の上限は80歳と定めている商品が多いです。

(7)長生きするほどリスクが発生しやすい

長生きすることは喜ばしいことですが、リバースモーゲージではリスクになってしまいます。リバースモーゲージで借入れが可能な金額は住宅の価値をもとに計算されるため、上限があります。長生きをすると上限を超える可能性があり、高齢になってから生活費が賄えなくなるというリスクがあるのです。

また、リバースモーゲージでは、長期の返済リスクを抑えるために期限付きのプランを提供している金融機関もあります。期限付きの場合、契約期間の終了よりも長生きしていれば、元金と利息を一括返済しなければなりません。一括返済できない場合には、自宅を売却することになるでしょう。

自宅の売却価格を返済に充てても残債がある場合、そのまま借金を負うことになります。
高齢になって自宅を失って借金を負うことは、大きなリスクになるといえます。

(8)家を遺産として残せない

リバースモーゲージは、契約者の死後に家を売却、または金融機関に譲渡します。そのため、家を遺産として相続人に残すことはできません。

相続人が希望する場合は、元本相当額を金融機関に支払って家を相続できることもありますが、金銭的な負担が発生する点には注意が必要です。

リバースモーゲージの利用を検討する際は、推定相続人の中に家を相続したいと希望している人がいないかを確認した上で、推定相続人全員にリバースモーゲージのことを伝えておきましょう。

3.リバースモーゲージの商品を選ぶ基準

リバースモーゲージの利用条件やリスクについて理解した上で、リバースモーゲージを利用することを決めた場合、どのような基準で商品を選べばよいのでしょうか。

(1)資金使途を明確にする

まず、何のために借り入れが必要なのかを明確にしましょう。リバースモーゲージは、資金使途が制限されている商品もあるため、ご自身の目的に合う商品を選ぶ必要があります。

「とにかく老後資金を確保しておきたい」など目的が漠然としている場合、資金使途を問われないフリータイプを選択するとよいでしょう。事前に取り決められている資金使途から逸脱すると契約違反となる可能性があるため、必ず資金使途の制限の有無を確認しておきましょう。

(2)一括受け取りか分割受け取りか

リバースモーゲージには、借入金を年金のように分割で受け取るタイプと、一括で受け取るタイプがあります。
退職後の生活を豊かにすることが目的であれば、分割受け取りタイプの方が都合がよいかもしれません。一方で、介護施設への入居など、まとまった金額が必要な場合は、一括受け取りの方がよいでしょう。資金の利用目的に合う受け取り方法を選びましょう。

(3)毎月金利の支払いをするかどうか

リバースモーゲージの金利支払いパターンには、毎月支払うタイプと、死後の元本返済分に金利を繰り入れるタイプがあります。前者は毎月の負担が発生しますが、後者は金利を返済しない分、担保の最低評価額が厳しいなど条件が異なることがあります。

経済的に余裕がある場合は、毎月金利の支払いをするタイプを選んだ方が、貸し付け条件は緩和されることが多いです。この点も考慮しながら商品を選びましょう。

(4)家を遺産として残したいかどうか

リバースモーゲージに申し込む前に、家を遺産として残したいかどうか決めておく必要があります。
通常、リバースモーゲージは契約者の死後に家の売却代金で元本を返済するため、相続人が家を相続することはできません。家を遺産として残したい場合は、相続人が元本の返済をすることにより家を相続できる商品を選びましょう。

4.リバースモーゲージにはどんな人が向いているのか?

リバースモーゲージは問題点もありますが、状況によってはメリットの多いローンです。

以下のような人にはリバースモーゲージが向いているといえるでしょう。

  • 住む家には困っていないが、預貯金が少ない
  • いざという時のために資金を備えておきたい
  • 老後の生活を充実させたい

リバースモーゲージは自宅の評価額によって融資額が決められることや、自宅を担保にするので自分の死後に自宅を相続する人がいないことが前提になります。そのため、自宅の相続を希望する人がいなくて、上記に該当する場合に向いているといえます。
自宅に住み続けながら老後資金を確保したい場合はリバースモーゲージ以外の対処法もあるため、自身の状況や資産に応じて適した方法を検討するとよいでしょう。

5.住み続けたいならリースバックも検討できる

「自宅に住みながら老後資金を確保したい」という希望を叶えたいなら、選択肢はリバースモーゲージだけではありません。ここでは、リバースモーゲージと同時に検討されることが多いリースバックの概要を紹介します。

(1)リースバックとは

リースバックは、簡単にいうと売買契約と賃貸借契約が一緒になった契約のことです。投資目的で不動産を探している投資家や企業に家を売却し、その後賃貸借契約を結んで住み続けます。これにより、自宅を売却して売却代金を得た後も、今まで通り住み続けることができます。

リースバックは、死後の家の処分や管理の負担を売却先に任せることができるため、相続人同士が不動産を巡って「争続」に発展するリスクを軽減できます。こうした点からも、今注目を集めている方法です。

(2)終の棲家とするなら契約形態に注意

高齢者がリースバックを行う場合、賃貸借契約の契約形態には注意してください。リースバックには定期借家契約と普通借家契約の2つのタイプの賃貸借契約があり、定期借家契約では長期にわたって居住できないこともあるからです。

家を終の棲家としたい場合は、普通借家契約の締結が必要です。契約内容はしっかりと確認しておきましょう。

(3)賃料は売却代金に比例する

リースバック契約の賃料は、売却代金に比例します。高く売ろうとすると、その分売却先の会社が元を取ることが難しくなるため、賃料も高くなります。

長く住みたい場合は高値での買い取りを要求するのは必ずしも得策とはいえません。住みたい期間や必要な資金の額、周辺の家賃相場なども考慮しつつ、リースバック会社からの見積もりを評価してみてください。

6.住宅ローンの返済で老後の資金に困っている場合の対処法

住宅ローンの返済が老後まで続き、老後の資金に困ってしまうというケースも少なくありません。
住宅ローンの返済で老後の資金に困るような場合の対処法には、以下のような方法が挙げられます。

(1)住み替えローンを利用する

住み替えローンとは、現在住んでいる家の住宅ローンの残りと、新居を購入するための資金を併せて借入するローンです。
住み替えローンを利用すれば、自宅を売却することができながら、新しい住宅を購入するための資金も作ることができます。
老後は小さめの家に買い替えたいという場合で、住宅ローンの返済目途もあるケースでは有効な手段といえます。

(2)自宅を売却する

住宅ローンが老後の生活に必要な資金を圧迫する場合、自宅の売却を検討してもよいでしょう。
自宅を売却する場合、アンダーローンとオーバーローンで対処法が異なります。

①アンダーローンの場合

アンダーローンとは、家の売却額が住宅ローンの残債を上回っている状態です。

住宅ローンが残っている状態であったとしても、アンダーローンなら売却額で返済することができます。そのため、一般の不動産市場で売却することが可能です。

②オーバーローンの場合

オーバーローンとは、家の売却額が住宅ローンの残債を下回る状態です。この場合、家を売却しても残債が残るため、手持ちの資金で残債を完済できなければ抵当権を外すことができず、一般的な方法で売却できません。しかし、任意売却という方法で売却することは可能です。

任意売却は一般の不動産市場で自宅を売却することができ、売却額を住宅ローンの返済に充てます。金融機関との交渉次第では、生活に負担の少ない範囲内の分割払いで返済することが可能です。

(3)債務整理を検討する

住宅ローン以外の借金の返済も重なって老後の資金に不安があるという場合、債務整理をするという選択肢もあります。
債務整理は、借金を全額もしくは大幅に免除するための裁判手続きです。

自己破産では自宅を含めた財産を手放すことになりますが、個人再生なら住宅ローン以外の借金が大幅に免除され、住宅ローンはそのまま払い続けることが可能です。

7.まとめ

リバースモーゲージは、不動産で資金を得るには有用な方法ですが、必ずしも万人向けとはいえません。まずは資金使途や毎月の支払い方法、借入金の受け取り方なども考慮し、ご自身に適した方法かどうかを検討してみてください。リバースモーゲージが難しいと判断した場合は、リースバックを検討してもよいでしょう。

当社は、多くのリースバックを手掛けてきた不動産会社です。ご相談者様の状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な方法をご提案します。「住宅ローンの支払いが困難な状況だけれど、住み慣れた自宅に住み続けたい」などというご相談にも対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

こちらでは当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

「払えない」「住み続けたい」今すぐご連絡ください! 任意売却・リースバックの無料相談はこちら

0120-279-281
24時間受付 メールでのご相談はこちら