親族間売買で分割払いをする場合の注意点を解説

分割払い

親族間売買では、さまざまな理由から住宅ローンを利用できないことが多く、購入資金の工面が難航することがあります。資金の工面が難しい場合に、分割払いを希望される方もいらっしゃいます。

親族間売買で分割払いをすることは可能ですが、いくつか注意すべき点があります。

この記事では、親族間売買における分割払いと、利用時の注意点などについて解説します。

1.親族間売買の分割払い(割賦契約)とは

親族間売買とは、親族の間での不動産の売買のことです。代金を分割で払う場合は、法律用語で「割賦契約」といいます。

(1)当事者の同意があれば不動産は分割払いできる

一般に、不動産売買での支払いは、ローンの借入金を利用して一括払いし、時間をかけてローンを返済するのが一般的です。

これは、不動産の売り主が一括払いでの売却を前提としているためです。裏を返せば、当事者同士の同意があれば、代金の分割払いは可能です。ただし、個人間取引では、売主が分割払いに同意することは少ないといえます。

(2)親族が相手なら長期の分割が可能なことも

一般的な個人間の取引であれば、仮に分割払いができても、長くて5年程度が支払期間の限度となります。それも、物件がなかなか売れないなど、売り主に何かしらの事情があるケースに限られます。

ただし、相手が親族の場合、話は別です。親子や兄弟など、近しい親族間の取引であれば、住宅ローンと同程度の長期の分割に同意してもらえる可能性もあります。

2.分割払い(割賦契約)で親族間売買をするメリット

親族間売買で分割払いを利用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットについて説明します。

(1)住宅ローンが組めなくても購入可能

親族間売買では、住宅ローンを利用できないことがしばしば問題になります。親族間売買への融資は、贈与税逃れや資金使途の悪用などに利用されることがあるためです。売買の存在や貸付金のその後も不透明になりやすく、リスク回避のため「親族間売買には融資しない」という方針を取っている金融機関は少なくないのです。

参考記事:親族間売買で住宅ローンの利用が難しい理由・審査に通らない際の対処法は?

住宅ローン審査に通らず、資金を用意できない場合でも、親族間で分割払いが認められれば、購入が可能になります。

(2)買い主の負担を最低限に抑えられる

売り主との合意によって負担額を最低限に抑えることができるという点も、親族間売買で分割払いを利用する大きなメリットです。

銀行でローンを組む場合、完済時の年齢や物件の価格の関係から、月額の調整には限界があります。しかし、親族が相手の不動産取引であれば、経済状況に応じて毎月の支払額を無理のないよう調整してもらうことが可能です。相手との関係性によっては「何回払いでもいいよ」と言ってもらえるかもしれません。

税金が発生する関係上利息をつける場合でも、住宅ローンより有利な利率で合意できることも多いです。

3.分割払いで親族間売買をするデメリット

メリットの多い分割払いですが、いくつか留意しておくべきデメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか具体的に説明します。

(1)売り主にローン残債があると分割は不可

売り主にローンの残債がある場合、分割払いによる購入は不可能です。

住宅ローンの担保となっている物件には、金融機関が抵当権を設定しています。売買の際は抵当権の解除が必要ですが、分割払いでは債権を一度に回収できないため、金融機関が同意しません。

残債があるケースでの親族間売買は、一括購入の自己資金を用意するか、住宅ローンを契約できる場合のみ可能です。ローンに通りやすくなるコツについては後ほど解説しますので参考にしてください。

(2)相続トラブルの火種になる可能性がある

親族間売買で分割払いを選択し、支払いが長期間に渡ると、相続の際、トラブルの火種になる可能性があります。

例えば、親から子への親族間売買で分割払いをしていた場合を考えてみましょう。親が亡くなって、他の相続人が代金の請求権を相続した場合、支払い先が相続人に変更されます。買主側に有利な条件で契約していた場合、相続人から、分割払いの条件変更を申し入れられる可能性があります。

また、売買の詳細について他の相続人に伝えていなかった場合「一人だけ優遇されたのではないか」などという疑惑を招く原因になりかねません。

このように、支払いが長期に渡ると、相続発生までに完済できない可能性もあるという点には、注意が必要です。

(3)支払いや契約関係が甘くなりやすい

支払いや契約関係が甘くなりやすいのも、親族間売買における分割払いのデメリットといえます。

金融機関から住宅ローンを借りる場合と違い、親族間売買の分割払いでは、支払い先が身内です。「支払いを少しだけ待ってほしい」「ボーナスで払うから夏まで支払いを止めたい」など、つい甘えてしまうこともあるでしょう。また、売主側も「払えるときでいいよ」などと厳しく支払いを求めないことが多いです。

「当事者がよければよい」という考え方もあります。しかし、いつまで経っても完済できないと、当事者間の関係が悪化するおそれもあるため、注意が必要です。売主の経済状況が悪化した場合、「滞納分をまとめて払ってほしい」などと要求されてトラブルに発展するかもしれません。

そのようなトラブルを防ぐためにも、無理のない範囲内で分割回数を少なく設定し、金融機関から融資を受けているのと同じだという意識で契約に臨みたいところです。

4.親族間売買で分割払いにしたいときの注意点

親族間売買で分割払いを利用したい場合、余計な支出やトラブルを防止するために、いくつか注意すべき点があります。

(1)無利子だと贈与税の対象となることも

不動産売買でローンを利用する際や分割払いにする際は、通常ある程度の利息を設定するのが一般的です。親族間の売買だからといって、無利息で契約してしまうと、利息分は贈与とみなされて、課税対象となる場合があるため注意が必要です。

ただし、贈与には基礎控除といって、税金がかからない範囲が存在します。利息分が基礎控除の範囲に収まるのであれば、無利息での分割でも問題ないケースもあります。この辺りは、親族間売買に精通した不動産会社に相談し、入念なシミュレーションを行った上で判断することが望ましいでしょう。

(2)譲渡所得税の期限は分割払いでも変わらない

不動産を売買して利益(譲渡所得)が出た場合、譲渡所得税と住民税の課税対象となります。税金の支払期日は、分割払いにした場合でも一括払いの場合と変わらないため、場合によってはそれまで受け取った代金では足りず、売主が貯金を切り崩さなければならないこともあるでしょう。

譲渡所得税の申告は、資産を譲渡した翌年の3月15日が期限となります。あらかじめ概算を計算し、支払いが難しい場合は税額分を頭金として受け取っておくのも一つの方法です。

(3)事前に他の親族に話を通しておく

親から子供の一人に実家を売却する場合などは、事前に他の相続人に話を通しておくことが大切です。他の相続人の立場からすると、概要を明かさないまま実家を売買されると、不信感を抱く要因となります。

相続の際にトラブルにならないよう、他の相続人に売買の予定や金額を伝えておくとよいでしょう。

5.親族間売買の分割払いは不動産会社に依頼する

親族間売買で分割払いを検討する場合、次の三つの理由から、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

(1)親族間売買は適正価格での売買が重要

親族間売買では、適正価格で取引を行うことが非常に重要です。親族の間の取引なので「安くしてあげたい」と思われる方も多いようですが、価格を相場より大幅に安価に設定すると、贈与税の対象となることがあります。

「いくらが適正価格かわからない」「適正価格の範囲で安くしてあげたい」という場合、まずは適正価格を知ることが大切です。不動産会社の査定を利用して適正価格を把握した上で、価格を設定するようにしましょう。

(2)ローン契約可能な金融機関を探してくれる

分割払いを検討する方の中には、住宅ローンの審査に通らなかったために、住宅ローンを利用できなかった人も多いです。親族間売買は不正の隠れミノにされやすいというリスクがあることから、多くの金融機関は貸付を行いません。

数少ない親族間売買に融資してくれる金融機関を探すには、親族間売買の実績を豊富に持つ不動産会社に相談し、親族間売買に対して融資をしてくれる金融機関を紹介してもらうと効率的です。

当社では、地元の銀行や信用金庫に断られた方が、当社が提携している金融機関の審査に通過して住宅ローンを利用できた事例も多数あります。

(3)利子や税金の相談に乗ってくれる

親族間売買には、所得税や贈与税など、さまざまな税金が関係します。そのため、発生する税額や控除なども考慮しながら、適正な価格や利子を算出することが大切です。親族間売買の実績を豊富に持つ不動産会社に依頼すれば、このような煩雑な計算を任せることができます。

「贈与税のかからない範囲で安い価格に設定したい」「できれば利子は払いたくないけれど、贈与と認定されるのは困る」など、希望を伝えた上で、適正な価格や利子を提案してもらうとよいでしょう。

6.まとめ

分割払いは、資金が少ない方や住宅ローンを利用できない方にとって便利な方法です。ただし、専門知識が必要な側面が多く、個人で判断して売買を行うのはさまざまなリスクが伴います。そのため、親族間売買に精通した不動産会社に相談しながら進めることをおすすめします。

当社は、数多くの親族間売買を手掛けてきた住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。「親族間売買で住宅ローンを利用できる金融機関が見つからない」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

参考URL:相談から解決までの流れ

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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