競売にかけられた家を買い戻す方法・住み続けたい場合の対処法を解説

競売にかけられた家

大切な我が家が競売にかけられてしまい、このままでは見知らぬ相手に売られてしまう。経済的に苦しい状況に追い込まれている方にとって、追い打ちのように家を失うのは心理的なショックが大き過ぎるのではないでしょうか。

では、一度競売にかけられた不動産を取り戻すことはできないのでしょうか。

この記事では、競売にかけられた家を買い戻す方法、住み続けたい場合の対処法などを解説します。

1.返済の滞納から競売までの流れ

家を買い戻す方法を解説する前に、まずは競売の流れを確認しましょう。不動産が競売にかかるのは、住宅ローンなど何らかの債務の返済を滞納しており、債権者が競売で不動産の現金化を決めたケースが一般的です。

この場合の流れは以下のとおりです。

【債務の返済滞納から競売で売られるまで(住宅ローンの場合)】

  1. 督促状・催告書・電話などによる支払い請求
  2. 期限の利益(分割払いの権利)の喪失
  3. 代位弁済通知(保証会社による銀行への一括払いの通知)
  4. 競売開始決定通知
  5. 裁判所職員による現況調査
  6. 競売の機関入札通知
  7. 期間入札の公告(競売の参加者募集の開始)
  8. 入札開始
  9. 開札
  10. 売却許可決定と代金納付
  11. 物件の明け渡し

手続の進行によって、どの程度の猶予があるかは異なります。督促の開始から入札が始まるまでは、おおむね10か月から15か月程度です。

2.競売にかけられた家を買い戻す方法はある?

一度競売の手続きが始まると、債権者が取り下げない限り競売は止まらず、家は買受人のものとなります。しかし、ひとたび競売にかかったとしても、物件を他人に渡さない方法はあります。具体例を見てみましょう。

(1)親族などに頼んで入札に参加してもらう

まず、家族や親族に依頼し、入札に参加してもらう方法が挙げられます。無事に親族が落札できれば、住み続けられる可能性は高いですし、後ほど家を買い取らせてもらうこともできるでしょう。

しかし、入札者は一人とは限らないため、当然ながら競り負けて他人の手に渡ってしまう可能性もあります。また、落札を依頼する親族の金銭的負担も無視できません。競売物件の購入資金を貸し付けることに積極的な金融機関は少ないため、資金の工面が難航することも考えられます。

(2)競売入札代行業者に頼む

競売への入札を依頼者に代わって行う「入札代行業者」と呼ばれる業者が存在します。不動産の価値や競売の相場に詳しいため、友人や親族に入札を頼むより、落札できる可能性は高くなります。

ただし、入札代行業者のノウハウも絶対ではありません。ある程度の落札価格を予測することは可能ですが、相場以上の高値をつける人がいると、やはり競り負ける可能性があります。

また、代行業者に依頼すると手数料が発生します。物件の調査だけでなく入札の代行まで頼むと、安い場合でも20万円から30万円程度はかかります。経済的に苦しい状況のなか、これだけの費用を捻出するのは厳しいのではないでしょうか。

(3)新たな所有者から買い取る

物件を落札した方から買い取るのも選択肢の一つとなります。競売物件の所有者は、民事執行法第68条の定めにより競売に参加できませんが、一度売却した物件を再び買い取ることは、法律で禁止されていないからです。

しかし、入札の参加者の多くは、営利目的の仕入れのために来ている業者や投資家、または居住用の家を探している一般の人です。「訳ありの家」であることを承知の上で入札に参加しているため、容易に買戻しに応じることは少ないでしょう。売却してくれる意向があっても、落札価格に利益を上乗せした価格を提示される可能性が高いです。

また、買戻しのための資金をどのように捻出するかも懸念点です。家が競売にかかっている時点で、信用情報機関に事故情報が登録されているため、本人がローンを組むことはほぼ不可能です。また、家族や親族に頼むことを考えても、決して小さな金額ではないため、現実的には難しいといわざるを得ません。

(4)確実な対策は競売にしないこと

ここまで紹介したように、競売で売却されることを前提とした対策は、いずれも有効な方法とはいえないのが実情です。そのため、確実に自宅に住み続けるためには、競売の売却が完了する前に手を打ち、そもそも競売で売却されないようにすることが大切です。

裁判所の競売手続きは、準備が始まったからといって確実に売却まで進むものではありません。一定の条件下で競売が中止されることがあるため、この点を狙って競売を阻止するのが有効です。

3.競売を回避して自宅に住み続ける方法

前述した通り、確実に自宅に住み続けるためには、競売で売却が完了する前に手を打ち、競売を回避させることが重要です。では、具体的にどのような方法で中止させ、どうすれば住み続けられるのでしょうか。

(1)競売は債権者が申し立てれば取り下げられる

競売の手続きは、債権者が裁判所に申し立てることで行われる債権回収の手段の一つです。そのため、期日内であれば債権者の意思によって取り下げられます。

競売を中止させるには、債権者に「別の方法で家を売却して返済する」ことを提示した上で交渉し、取り下げてもらう必要があります。家を売却して債権者に返済する、ご自身は自宅に住み続けるという二つの要素を満たす方法として、リースバックと親族間売買(親子間売買)という方法が考えられます

(2)売却後賃貸住宅として住み続けるリースバック

リースバックは、家を投資家や不動産会社などに売却し、新たな所有者と賃貸借契約を結ぶ売却方法です。売却後の家は賃貸となりますが、住み慣れた家に住み続けながら、売却代金を得ることが可能です。固定資産税や管理費などの支払い義務がなくなるというメリットもあります。
ただし、リースバックにはメリットだけではなく、以下のようなデメリットが存在します。

  • 一般市場で売却するより売却価格は安い
  • 高く売却すると家賃も高くなる
  • そもそも成功率が低い
  • 定期借家契約で期限付きの賃貸契約となることがある

リースバックの条件は、売却先の不動産会社や投資家によって異なります。成功させるためには複数の会社に相談し、自分に適した売却先を慎重に吟味することが大切です。

(3)親族に売却する親族間売買(親子間売買)

親族間売買とは、親族に不動産を売却して、売却後も住み続ける方法です。愛着のある実家が、他人ではなく家族や親族の所有物となるため、売却に際しての心理的な抵抗も小さいといえます。ただし、親子間売買には以下のような問題点が存在します。

  • 住宅ローンを融資してくれる金融機関が少ない
  • 買主と「家を残したい」という意向が一致しなければならない
  • 相続税逃れの売買とみなされないよう、適正価格での売買が必要

特に住宅ローン審査は大きな足かせとなることが多く、どの金融機関なら融資が可能なのか、事前に知っていなければ成功させるのは難しいでしょう。

4.競売を回避するために実績豊富なプロに相談する

競売を回避して自宅に住み続けるためには、債権者を説得して、リースバックや親族間売買を成功させることが必要となります。

しかし、いずれも自分で行うのは困難を極めるため、専門知識とノウハウを有する不動産会社に相談することをおすすめします。相談先を選ぶ際のポイントについて説明します。

(1)競売で売却される前に対策を打つことが重要

前述した通り、競売で家が他者の手に渡ることを阻止したいのであれば、競売での売却そのものを阻止することが最も確実です。一度売却された物件を買い戻すには相応の費用がかかり、経済的に困窮している中で資金を調達するのは難しいためです。

不動産会社に依頼してリースバックや親族間売買を行う場合、依頼者側で取り急ぎ用意する必要のある費用はありません。また、売却後の残債処理についても不動産会社に相談できるというメリットがあります。

(2)相談先には知識と実績が豊富な会社を選ぶ

相談先としておすすめなのは、親族間売買やリースバックなどに精通しており、競売間近の物件の売却をサポートしてきた実績のある会社です。

競売を回避するには、債権者との交渉や売却価格の調整、住宅ローン契約のサポートなど、イレギュラーな業務が多数発生するからです。大手や地元の不動産会社ではまず扱わないため、必ず実績のある会社を選びましょう。

親族間売買やリースバックなどの実績は会社の公式サイトに掲載されていることが多いので、まずは会社の公式サイトで実績を確認しましょう。その後、電話や面談などで詳しく話を聞き、複数社比較した上で依頼先を選ぶと安心です。

(3)なるべく早く初回相談を行う

債権者による競売の取り下げ手続きには期限が設けられています。競売の開札期日前日がタイムリミットとなるため、この日までに親族間売買やリースバックで売却を完了させなければなりません。

既に競売の準備が始まっている状況では一刻の猶予もないため、できる限り早く不動産会社に連絡し、初回相談を行うことをおすすめします。

5.まとめ

競売にかけられた物件を確実に買い戻す方法はなく、資金調達の面からも現実的とはいえない場合が多いです。そのため、「今の家に住み続けたい」というご希望をお持ちの場合、売却後の買戻しを目指すのではなく、売却前に競売以外で売買を成立させて競売を中止させることが大切です。

売却後も住み続ける方法としては、親族間売買とリースバックの二つの方法が存在します。いずれも個人で手続きを進めるのは困難なため、なるべくお早めに実績を豊富に持つ不動産会社に相談することをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱い、数多くの親族間売買やリースバックを成功させた実績を持つ不動産会社です。「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」「競売だけは回避したい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一

「払えない」「住み続けたい」今すぐご連絡ください! 任意売却・リースバックの無料相談はこちら

0120-279-281
24時間受付 メールでのご相談はこちら