不動産競売のスケジュールは?滞納から明け渡しまでの流れを解説

スケジュール

自宅が競売にかけられている、あるいは将来競売にかけられる可能性が高い場合、気になるのが競売の進行スケジュールです。手続きにどの程度の期間がかかるかによって、立ち退きまでの猶予期間も違ってくるからです。

この記事では、住宅ローンを滞納した際の不動産競売のスケジュールと、競売を回避する方法について解説します。

1.滞納から明け渡しまで12か月~18か月程度

一般的に、住宅ローンの滞納から、競売を経て新たな所有者に明け渡すまでには12か月から18か月程度かかります。

ただし、この期間はあくまで住宅ローン滞納1か月目から計算した場合のタイムリミットです。実際には滞納が長期間続いてから明け渡しの準備や競売を回避する方法の模索を始める方も多く、この場合は時間的な余裕があまりありません。

競売開始決定が下された後から準備を始める場合は、明け渡しまではおおむね8か月程度、競売を回避したい場合は6か月程度の猶予となります。

2.滞納から競売が始まるまでのスケジュール

実際に滞納を始めてから、競売が決まるまでの流れとスケジュールについて順を追って説明します。

(1)書面・電話などによる督促

滞納1か月から3か月までは、書面や電話などによる督促が行われます。この段階に滞納分を支払うことができれば、引き続き分割での返済が可能です。ただし、優遇金利で貸し付けを受けている場合、適用対象外となることがあります。

支払いが厳しい場合、このタイミングで借入先の金融機関に相談することで、返済スケジュールの延長などに応じてもらえることがあります。

(2)催告書(最後通告)の到着

滞納3か月から半年が経過すると、金融機関から催告書が届きます。この書類は実質的な金融機関からの最後通牒で、普通郵便ではなく内容証明郵便で送達されます。

催告書には、滞納分と遅延損害金を支払わなければ期限の利益が喪失する旨、法的手続き(競売)により債権回収を始める旨が記載されています。

(3)期限の利益の喪失

催告書が届いた後も放置していると、期限の利益を喪失します。期限の利益とは、期日が到来するまで債務の履行はしなくてもよいという権利のことです。そして、住宅ローンにおける期限の利益とは、事前の取り決め通り返済を続けることで担保される「分割払いの権利」のことを指します。契約書に「期限の利益喪失条項」として定められていることが多いでしょう。滞納を続けると期限の利益を失うため、以降は一括での返済しか受け付けてもらえなくなります

ただし、債権者は一括払いが可能と思っていないため、この時点で競売での家の現金化を視野に入れています。

(4)代位弁済通知の到着

期限の利益喪失から約1か月経過した頃、代位弁済通知が届きます。代位弁済とは、ローンの申し込みの際に締結した保証契約に従い、保証会社が金融機関に対して債務の一括返済を行うことです。

保証会社の支払いにより、住宅ローンの債権は金融機関から保証会社に移転することになります。代位弁済後、保証会社は担保である家を売却して債権を回収するため、競売の準備に着手します。

(5)競売開始決定通知の到着

代位弁済から2か月~3か月ほど経過すると、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。この書類は、保証会社が申し立てた競売の手続きが受理され、競売の開始が決定したことを所有者に通知する書面です。

これ以降、競売の手続きが本格的に進行することになります。

3.競売開始から明け渡しまでのスケジュール

次に、競売開始から明け渡しまでの流れとスケジュールについて説明します。

(1)現況調査の実施

競売の手続きが始まると最初に行われるのが現況調査です。現況調査とは、競売対象の物件の下見・査定のことで、裁判所の執行官と不動産鑑定士が現地を訪問します。これにより家の価値や状況を調べ、競売の売却基準価格の決定や、資料の公開に必要な情報を収集します。

現況調査を行うために所有者の同意は必要ないため、所有者が拒むことはできません。立ち入りを拒否された場合、執行官は鍵を壊して家の中に入ることも認められています。

調査結果は「現況調査報告書」としてまとめられます。外部にも公開され、当事者や利害関係人であれば売却基準価額決定後、それ以外の人は公告日以降に閲覧可能です。
現況調査報告書には、主に権利関係や占有者の氏名などの占有状況、土地の現況地目、建物の種類・構造などが記載されているほか、不動産の写真も掲載されています。
なお、公告日などのスケジュールについては、不動産競売物件情報サイトで確認できます。

参考URL:不動産競売物件情報サイト

(2)競売の期間入札通知の到着

現況調査の結果を受け、競売の入札期間が決定されます。裁判所の不動産競売は、一般的にイメージするオークションとは異なり、一定の入札期間を設け、購入希望者が一度だけ入札する期間入札方式で行われます。この入札可能な期間を知らせるのが、期間入札通知です。

(3)期間入札の公告

期間入札通知の到着から数週間~1か月程度で、期間入札の公告が行われます。対象の物件を競売で売却する旨とその情報を外部に公開することにより、一般の人の中から広く購入希望者を募ります。

具体的には、裁判所に置かれている資料や専用のインターネットサイト(BIT)で、競売物件の情報が閲覧できるようになります。

物件の情報は誰でも無料で閲覧できるため、自宅を知っている人に見られると経済状況を知られるリスクがあります。

(4)競売の実施

入札期間になると、裁判所で入札が可能となります。入札期間はケースによって異なりますが、長い場合でも1か月程度となることが多いです。

(5)開札

入札期間が終了すると、次に開札(結果発表)に移ります。開札の結果、最も高い金額で入札していた人が買受人となります。

(6)売却許可決定・代金の納付

買受人が決まると、裁判所の審査が行われ、その後、売却許可決定が出されます。売却が不許可となることはほとんどなく、その後、関係者からの不服申し立てがなければ、売却許可決定が確定となります。

売却許可決定が出された後、買受人が裁判所に代金を納付すると、その時点で所有権が移転して、家は買受人のものとなります

(7)明け渡し

家の所有権が移転したら、以前の所有者は早々に家を明け渡さなければなりません。強制執行されてもかまわないなら、代金の納付から2か月程度は住めますが、立ち退きに際して精神的・経済的ダメージを受けることになります。

競売での売却を回避できない場合は、所有権の移転日を目処に、計画を立てて引っ越すことをおすすめします。

4.競売を回避できる期限と方法

実は競売は、手続きが始まった後でも回避できる場合があります。競売を回避できる期限と方法について説明します。

(1)競売を回避できる期限

競売を回避する方法によって期限は異なりますが、最後のチャンスは、競売の開札期日の前日です。この日が、債権者の一存で競売を取り下げられる期限です。

制度上は、買受人の同意を得ればそれ以降も競売のキャンセルは可能です。ただし、同意を得られる可能性が非常に低いため、事実上は開札期日の前日がタイムリミットといえます。

(2)滞納前・滞納初期に金融機関に相談する

競売を回避するには、そもそも競売にしないことが重要です。住宅ローンは、返済が難しい場合、早めに金融機関に相談すれば返済計画の見直しに応じてもらえることがあります。

月の返済額を抑える、一時的に利息のみの返済にしてもらうなど、さまざまな形で調整してもらえる可能性があるので、早めに金融機関に相談してみましょう。

(3)個人再生の住宅ローン特則を利用する

競売手続き開始後の場合、個人再生の住宅ローン特則を利用することで、家を残せる可能性があります。

個人再生とは、裁判所の手続きによる債務整理方法の一つです。債務の大部分をカットし、残りを原則3年で返済するよう返済計画を再編し、経済状況の回復を図る制度です。

住宅ローン特則は、債務の中から住宅ローンのみを対象から除外し、他の債務を圧縮する特例のことです。住宅ローンはそのまま残りますが、家を手放す必要はありません。

住宅ローン以外の借金に生活を圧迫されている場合に有効な方法です。

ただし、個人再生の申し立てには「代位弁済から6か月」という期限があります。また、既に競売の手続きが進行している場合、中止命令が間に合わない可能性もあります。利用できないケースも多いため、まずは専門家に相談することをおすすめします。

(4)競売ではなく任意売却での売却を目指す

自宅の売却自体は避けられないけれど、競売より有利に売却したいという場合、競売ではなく任意売却ができる場合があります。任意売却は、オーバーローン状態の家を、債権者の許可のもと一般市場など、競売以外の方法で売却することです。

競売と同時進行で進むのが一般的ですが、任意売却の手続きが先に完了すれば、より高い価格で売却することが可能です。

(5)任意売却の相談はいつまでにすべき?

任意売却を検討する際は、なるべく早く任意売却の実績を豊富に持つ不動産会社に相談することをおすすめします。滞納初期に相談することが理想的で、遅くとも競売開始決定通知が届いたタイミングで問い合わせることが望ましいです。

任意売却の期日は、開札期日の前日です。この日までに買主を探し、代金の決済と所有権の移転登記が完了できなければ、家は競売で売却されてしまいます。

(6)入札がない場合は?

入札期間中に誰からも入札がなくても、競売を免れられるわけではありません。その場合、特別売却という方法で、再度売却が試みられます。
特別売却とは、最初に入札書を出した人が買い受けるという、いわゆる早いもの勝ちのシステムです。
特別売却で誰も入札しない場合は、最低入札価格を下げて、再度期間入札を行います。それでも入札がない場合、再び特別売却をし、この手続きを合計3回繰り返します。
入札を3回試みても買い手が現れなければ、競売は取り消しになりますが、債務者の抱える債務はなくなりません。返済できなければ、債権者から訴訟を提起される可能性もあるので注意しましょう。

5.競売を回避するための任意売却の流れ

任意売却によって競売を回避したい場合は、以下のような流れで進めることになります。

(1)書類を準備して不動産会社に相談

任意売却の不動産会社への相談はできるだけ早い段階で行うのが望ましいです。まずは、任意売却の実績が豊富な不動産会社を探して相談にしましょう。
また、相談に訪れる前に以下の書類を準備しておくと、不動産会社が現状を把握しやすくなり、手続きをスムーズに進めてもらいやすくなります。

【相談前にそろえておきたい書類】

  • 金融機関からの督促状や代位弁済通知書など、ローン残高がわかる書類
  • 裁判所からの書類など競売開始までの日数がわかる書類
  • 建物の図面や土地の測量図など自宅の状態がわかる書類

(2)自宅の査定

実際に現地へ赴いて、所有者立ち会いのもと査定を行い、査定額を見積もります。

(3)不動産会社による債権者との交渉

査定額を算出後、債権者と交渉し、任意売却を行うことに対する同意を求めます。

(4)売却活動・内見対応

債権者から同意を得ることができれば、売却活動を開始します。不動産会社による売却活動は、一般の不動産と同様に行われ、任意売却である旨は公表されません。購入希望者にのみ伝えます。
購入希望者が現れれば、内見に対応する必要があります。前向きに購入を検討してもらうためにも、家の中を片づけておきましょう。

(5)買主との契約の締結・決済

買主が決まれば、当事者同士で売買契約を締結します。その後、債権者への売却価格や抵当権解除に関する確認を経て、代金の決済、所有権の移転などについての登記手続きが完了すれば、買主に引き渡します。

(6)競売の取り下げ

任意売却が成立すれば、債権者が取り下げ書を裁判所に提出し、競売手続きが取り下げられます。

6.任意売却を利用して住み続ける方法

「住宅ローンの支払いが困難な状況で任意売却を検討しているけれど、できれば今の家に住み続けたい」というご希望をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

その場合、売却先を親族またはリースバック業者等にすることにより、引き続き、家に住み続けられることもあります。具体的な方法について説明します。

(1)親族に売却する親族間売買(親子間売買)

親族間売買とは、家を親族や家族に家を売却することで、住み続ける方法です。売却完了後は、新たな所有者となった親族と賃貸借契約または使用貸借契約を結びます。

一般的には親の借金を子が肩代わりする形で親子間の売買が行われることが多いです。

購入者側が住宅ローンを利用して購入する場合、審査が通りにくいことが問題となります。ほとんどの銀行は、相続税や贈与税の脱税等の懸念から、親族間売買に積極的に融資しないためです。

そのため、親族間売買を検討する際は、審査通過の見込みのある金融機関に申し込み、かつ仲介会社が売買の正当性を証明することが重要なポイントとなります。

(2)リースバックで賃貸物件として住み続ける

リースバックとは、家の売却と売却後の賃貸契約がセットになった契約です。売るのも借りるのも同じ家なので、売却後も住み続けることができます。売却先は、リースバック業者や投資家などです。親族間売買とは違い、子や親戚に協力してもらう必要はありません。

リースバックでは、売却後の家賃は売却価格に比例します。そのため、住宅ローンの債権者が納得する金額では賃料が高くなりすぎて、利害関係者の間で折り合いがつかないことも多いです。

ただし、居住期間や契約形態を工夫することで、家賃を抑えられるケースもあります。

7.競売手続き開始後でも住み続けることができた事例

競売の手続きが始まった後に当社にご相談いただいた案件の中で、「今の家に住み続けたい」という希望を実現できた事例もあります。具体的な実例をいくつかご紹介します。

(1)現況調査の通知の到着後に任意売却ができた事例

最初にご紹介するのは、東大阪市で自営業を営まれている50代のH様の事例です。

競売の現況調査の通知書が家に届き、どうしたらよいかわからないと、奥様よりご相談をいただきました。

住み続けることをご希望されていましたので、当社からはリースバックと親族間売買の二つの選択肢をご提案しました。娘婿様が購入を希望されたため、親族間売買を進めることとなりました。

娘婿様が家を購入するには住宅ローンが必須でしたが、親族間売買に対して積極的に融資する金融機関は決して多くありません。この事例では、当社が仲介会社として売買の正当性を証明したこと、娘婿様と苗字が異なることで無事審査を通過しました。債権者とも協議の結果、親族間売買が完了し、ご希望通り、住み続けることができました。

(2)競売開始決定通知到着後に親子間売買で住み続けられた事例

次にご紹介するのは、貝塚市の会社員、40代のU様の事例です。

元ご主人名義のご自宅にお住まいでしたが、収入の減少により元ご主人がローンの支払いを滞納し、「このままでは競売にかけられてしまう」とご相談をいただきました。

お話をお伺いしたところ、残債が1,200万円ほどあり、預金では賄いきれないけれど住み続けたいとのご希望でした。そこで、お子様の名義でローンを組み、親族間売買を行うことを提案しました。

こちらで見込みのありそうな金融機関をいくつか選び、融資してもよいという回答のあった金融機関をご紹介しました。競売の手続きは無事止めることができ、売却後も無事に住み続けられています。

(3)現況調査実施後にリースバックで住み続けられた事例

最後にご紹介するのは、岸和田市にお住まいの会社員、60代のY様の事例です。

退職金や離婚による貯金の減少から住宅ローンを滞納した結果、裁判所から現況調査の通知が届き、当社にご相談いただきました。

お話をお伺いしたところ「可能であれば住み続けたい」と希望されていましたので、当社からはリースバックをご提案し、当社が提携しているリースバック会社の中から3社分の見積りを取得してY様にご確認いただきました。

3社の中からY様にとって最も良い条件の会社をお選びいただき、無事リースバックが完了し、現在は賃貸住宅として住み続けることができています。

8.まとめ

住宅ローンの滞納が長期化すると、最終的には自宅が競売にかけられることになります。競売を回避したい場合、まずは住宅ローン滞納問題に精通した不動産会社に相談することをおすすめします。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。「競売だけは回避したい」「住宅ローンを払えないけれど、今の家に住み続けたい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。相談は滞納開始前からでも可能ですので、将来的に競売になる可能性が高い場合はお早めにご相談いただければと思います。

当社での相談から解決までの流れはこちらで紹介していますので、参考にしてください。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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