実家が競売に?競売を回避する方法・回避できた事例も紹介

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実家に競売の通知書が届いたという連絡を両親から受けて、慌てて対処法を調べているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、実家が競売にかけられることを回避したいという方に向けて、競売を回避する方法を説明します。実際に回避できた事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.実家が競売にかけられる3つのケース

住宅が裁判所の競売で売却される要因はさまざまですが、事例数として多いのは以下の3つのパターンです。

  • 税金を滞納した
  • 家を借り入れの担保にしていた
  • 住宅ローンが返せなくなった

それぞれのパターンについて説明します。

(1)税金を滞納して公売にかかる場合

税金を期限内に納付せずに長期間放置していると、住宅をはじめとした財産を売却され、代金で強制的に税金を徴収されることがあります。

この徴収方法を換価処分といいます。換価処分は、国税徴収法や地方税法に規定された回収方法です。厳密には裁判所の競売とは違い、税務署などが主催する「公売」で売却されます。

市税を滞納した場合、督促状の発送から20日で差し押さえが可能になるなど、法律上は早期に手続きを進行できます。しかし、国税・市税いずれの場合も、期限が到来して即差し押さえ・換価処分となることは稀です。

(2)実家を担保にした借金を滞納した場合

実家を担保に金融機関から貸し付けを受けており、その返済を滞納した場合も、実家が競売になる可能性があります。貸付金を返済できないと、債権者は競売で担保を売却し、その代金から回収を図るためです。

不動産を担保とした貸し付けは、事業用ローンのほか、不動産投資ローン、リバースモーゲージなどでも行われています。

(3)住宅ローンを滞納した場合

当社に寄せられる相談の中で特に多いのが、住宅ローンを滞納した場合です。住宅ローンは、ローンで購入した家がそのまま担保となるため、返済が滞ると最終的に住んでいる家を失うことになります。

住宅ローンの滞納で競売になるケースでは、滞納開始から競売の手続きが始まるまでに、おおむね半年から8ヶ月の猶予があります。できれば、この期間に事態を把握して対処を練ることが望ましいです。

2.実家が競売になった場合の対処法

では、実家の競売手続きがすでに開始されている場合、どのような対策が取れるのでしょうか。この時点で検討できる対処法を3つ紹介します。

(1)知人や親族が入札に参加して買い戻す

考えられる対策の一つとして、知人や親族が家の競売に参加して買い戻すことが挙げられます。競売には、所有者本人が参加することはできないため、親しい間柄の人に代わりに入札してもらう方法です。

ただし、競売の代金は原則として一括納付であり、住宅ローンの貸し付けに積極的な金融機関も多くはありません。購入費用を全額自己資金でまかなうことになるため、購入のハードルは高いといえます。

また、入札したからといって購入できる保証がない点にも注意してください。

(2)個人再生の手続きを取り競売を止める

個人再生を申し立てることによって、競売を止めることが可能です。

個人再生は、裁判所の債務整理手続きの一つです。あらかじめ作成した返済計画を提出し、スケジュール通りに返済することで、債務の8割から9割を削減できます。

個人再生には、住宅ローンを対象から除外する「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度があり、この制度を利用すると自宅に住み続けることができます。

個人再生を「保証会社の代位弁済から6ヶ月以内に」申し立てると、競売の手続きを中止させることが可能です。ただし、借金が複数なければ住宅ローン特則は実質的に効果がないため、利用できるケースは限定的です。

(3)任意売却で競売より早く売る

そもそも競売にしない、競売より早く別の方法で売ることもできます。それが任意売却です。

任意売却は、競売手続き中・または競売になる可能性が高い物件を、債権者の許可を得て競売以外の方法で売ることです。債権者にとってより有利に売却することを条件に、競売を取り下げてもらいます。

任意売却は「どこに売るか」によって大きく3つのパターンに分かれます。それぞれメリットや注意点があるため、把握したうえで検討しましょう。次項で詳しく紹介します。

3.任意売却の3つのパターン

任意売却の売却方法は、以下の3つに分かれます。

  • 一般の不動産市場で売却する
  • 親族に売却する
  • リースバック会社に売る

詳細を見てみましょう。

(1)一般市場で売却を行う

単に「任意売却」と呼ばれる場合、競売と平行して一般市場で売却活動を行うことが多いです。ほかの中古不動産と一緒に市場に出ることになるため、一見して「任意売却物件」「競売にかかっている物件」とはわからないという特徴があります。

家は他人のものになってしまいますが、売却価格は競売と比較して高めです。物件の内見など、売却までのスケジュールも調整できます。

(2)親族間売買で実家を売却する

家族や親戚に売却するケースは「親族間売買」と呼ばれます。売却相手が親族なので心理的抵抗が少なく、新たな所有者が同意すれば、家に住み続けることもできます。一般的には、子世帯に売却することが多いです。「実家を守りたい」という思いをお持ちの方は、ぜひ検討してみてください。

ただし、親族間売買では、購入者側の住宅ローン審査がハードルとなることが多いです。貸付金の不正利用を警戒されるため、親族間売買に協力的な金融機関は多くありません。信頼できる不動産会社が間に入ることで、正当な売買であることを証明する必要があります。

(3)リースバックで実家に住み続ける

リースバックは、不動産投資を行う会社や個人に家を売却し、その後賃貸住宅として住み続ける方法です。

リースバックの家賃は売却価格に比例するため、高く売るならその後の家賃も相応に高くなる点に注意してください。売却後の適切な家賃設定ができずに失敗するケースも多いので、実績を豊富に持つ不動産会社のサポートが必要となります。

4.競売の手続き開始後に家を守れた例

競売の手続きが始まると「家が売られてしまう」と絶望される方もいらっしゃいますが、競売の通知が到着した後でも、競売を回避できた事例は少なくありません。

当社にご相談いただいた事例の一部をご紹介します。

(1)現況調査後にリースバックに成功した例

最初にご紹介するのは、不景気により退職金が出なくなったこと、離婚したことにより経済状況が悪化したことにより、住宅ローンを払える余裕がなく滞納を続けた方の事例です。

この方は、10ヶ月ほど滞納を続けてしまい、裁判所から現況調査(競売前の下見)の通知が届き、当社にご相談いただきました。

「住み慣れた自宅を手放したくない」とのご希望でしたので、当社の提携するリースバック会社をご紹介し、3社から見積もりを取得。最終的に、もっともご自身に適した一社をお選びいただき、リースバック契約を締結されました。売却後、賃貸住宅として引き続きお住まいになっています。

(2)競売申し立て通知到着後にリースバックができた例

次にご紹介するのは、転職による収入の減少により住宅ローンを滞納してしまい、当社にご相談にいらした方の事例です。相談の時点で、競売の申し立て通知が届いていたため、急いで、現在のご状況・ご希望をお伺いしました。

こちらの不動産には、市税の滞納による差し押さえが入っており、リースバック会社を探すことと並行して、市役所との交渉も必要でした。リースバック会社から評価の高い好立地の物件だったことや、市税の滞納が少額だったことなど状況にも恵まれ、幸運にも約1ヶ月で売却が完了しました。

売却後も残債がありましたが、当社と連携している弁護士事務所を紹介させていただき、残債処理もスムーズに進めることができました。

(3)競売の現況調査後に任意売却ができた例

次にご紹介するのは、勤め先の業績悪化によって解雇され、経済状況が悪化して、住宅ローンを滞納してしまったという方の事例です。

就職活動とアルバイトでの多忙さから督促を放置していたところ、競売開始決定通知が到着し、当社にご相談をいただきました。

状況を伺い、任意売却を提案させていただき、早速、準備に入りました。最終的には現況調査まで至りましたが、無事売却は完了。交渉により退去のための費用も捻出でき、現在は新たな生活を送られています。

(4)現況調査後に親族間売買で住み続けられた例

最後にご紹介するのは、現況調査の通知到着後にご相談をいただき、最終的に親族間売買で住み続けることができた事例です。

この事例では、自宅に現況調査の通知書が到着した際に、奥様よりご連絡をいただきました。状況を伺ったところ、ご自宅に住み続けることを希望されていたため、親族間売買をご提案させていただきました。

幸運にも、娘婿様が購入を希望されましたので、住宅ローンを利用できる金融機関を探すことになりました。親族間売買では、資金使途を疑い積極的に融資したがらない金融機関がほとんどです。今回は、娘婿様と名字が異なること、当社が仲介として売買の正当性を証明したことから、無事借り入れができました。

5.競売にかけられた実家を守るために必要なこと

実家が競売にかけられそうな場合、売却自体は避けられないことが多いです。そのため、「いかに負担を少なく、希望を叶えられる形で有利に売却するか」という観点が重要となります。

任意売却を所有者が一人で行うことはほぼ不可能であり、信頼できる不動産会社をパートナーとして選ぶことが大切なポイントとなります。ただし、一般の不動産会社では任意売却を取り扱わないことが多いです。最低限、以下の条件はチェックしてください。

【任意売却の依頼先の条件】

  • 住宅ローン滞納の専門会社であること
  • 実績が豊富なこと
  • 弁護士など法律の専門家と提携していること

また、任意売却の業界には悪徳業者が少なくないため、そちらにも注意が必要です。お金をだまし取られる、限りある時間を浪費するなどの被害も報告されています。

まずは、上記の条件を満たす不動産会社をピックアップし、余裕があれば複数社の初回相談を利用してみて対応を比較してください。

6.まとめ

実家が競売にかけられることにはさまざまな背景がありますが、重要なのはいかに競売を阻止するかです。まずは、信頼できる不動産会社に相談し、希望を伝えてみてください。

当社は、住宅ローン滞納問題を専門的に扱う不動産会社です。ご相談者様のご希望や状況を丁寧にお伺いした上で、最適な解決方法をご提案します。「住宅ローンを払うのが困難な状況だけど、今の家に住み続けたい」「競売だけはなんとか回避して、近所に知られずに売却したい」など、さまざまなご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

こちらでは、当社での相談から解決までの流れを紹介していますので、参考にしていただければと思います。

寺島 達哉
寺島 達哉

クラッチ不動産株式会社主任。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室相談員。帝塚山大学を卒業後、不動産賃貸仲介会社を経て現在に至る。何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になった方にとっての最善の解決(任意売却・親族間売買・リースバック等)に向けて日々奮闘中。
所有資格:任意売却取扱主任者/宅地建物取引士/相続診断士/賃貸不動産経営管理士
監修者: 寺島 達哉

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